パフェを読む【ハナエ】
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パフェを読む【ハナエ】

更新:2020.11.30 作成:2017.11.30

パフェの語源はパーフェクト。パフェの語源はパーフェクト。パフェの語源はパーフェクト。さて、パフェの語源は?

ハナエプロフィール画像
シンガー
ハナエ
1994年2月27日生まれ、福岡県出身。可愛さと中毒性をあわせ持つ歌声が魅力のガールポップシンガー。13歳の時にGreat Hunting(現ユニバーサルミュージック新人発掘育成セクション)担当者の目に留まり、2011年6月「羽根」でメジャーデビュー。TVアニメ『神様はじめました』第1期・第2期のテーマソングとなった3rdシングル「神様はじめました / 神様お願い」、7thシングル「神様の神様 / おとといおいで」が国内外で話題となる。2015年3月には2ndアルバム『上京証拠』をリリース。この作品は全世界251カ国でも配信された。2016年3月には作詞をすべて手がけた3rdアルバム『SHOW GIRL』をリリースした。2017年、クラウドファンディング限定で1stミニアルバム『Red Lips, Red Kiss』、初となる詩集『路上のロリータ』を発表した。 http://ameblo.jp/hanae-officialblog/
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パフェの語源はパーフェクト。

という事実そのものがもうパーフェクトで、つまりは完璧で(大切なことなので2回言いました)、わたしはそれを心の底から気に入っている。パフェを食べる際には必ずこの事実を思い出し、今目の前にある食べ物は完璧という言葉を背負って作られたのだ、今から完璧を口にし咀嚼し吸収するのだと心構えをし、完璧を恐れるなというダリの名言を胸中で唱え、いざ食さんとスプーンを握る。本当に恐れているのは総カロリーだが。

正確に言えばフランス語で“完全な”という意味の“parfait”、その英語による発音“パーフェイ”から名付けられたとされる。フランス語でも英語でも、つまり“完全なデザート”“パーフェクトなデザート”ということである。ちなみに“サンデー”は、安息日である日曜日に贅沢なパフェを食べることが憚られるからという理由で幾分か質素に作ったものである。パフェはフランス発、サンデーはアメリカ発、と考えてもよいそうだ。

完璧という名の下に生まれ完璧を求められる、皇族のように煌びやか且つ悲しい運命を背負ったパフェよ。おお、パフェよ! 週4くらいで食べたいです。

今回は、パフェについて書かれた本をご紹介する。

もぐ∞

著者
最果 タヒ
出版日
2017-10-13

この連載で最果タヒ作品を取り上げるのは2回目だ。『もぐ∞』にはパフェについて書かれた章が前半と後半にそれぞれひとつずつある。嬉しい。最果さん、パフェ、好きなんですね。わたしも好きです。

詩人である著者が食べることについて語ったエッセイ集。どの章も“ああ、わかる”とため息混じりにつぶやいてしまいそうな食べ物にまつわるエピソードが書かれている。「グッバイ小籠包」「ジャジャーン!ポールエヴァン!」「抹茶ソフト現代詩」「担々麺経由世界行き」と目次がすでに美味しいが、今回はパフェをテーマに本を選んだのでパフェについて書かれた章をご紹介する。

このエッセイの第1章の名前は「パフェはたべものの天才」。はい、そうですね、異論はありません。パフェは天才です。

著者はパフェをたべものの天才とする理由を、こう語る。

なぜならパフェにとってはケーキもアイスもわらび餅も、具材でしかないからだ。概念のレイヤーが違う。象と地球どっちが大きい?みたいなことになってしまうよ。パフェは、何もかもを内包する。

確かにフルーツもプリンもシュークリームも単体で充分存在感があるのに、パフェというひとつの食べ物として結束されてしまったら為す術もない。全面降伏である。愛媛県には豚カツがぶっ刺さった豚カツパフェなるものがあるそうだ。もう意味がわからない。

そしてもうひとつのパフェについて書かれた章の名前は「パフェは自給自足のロマンチック」。はい、そうですね、異論はありません。パフェはロマンチックの権化です。

たとえば綺麗な喫茶店に入ることや、プラネタリウムに通うことや、美しいパフェを食べることは、ロマンチックをコントロールして、自分の心や体のバランスを正常に保とうとすることに思える。
自給自足のロマンチック。お一人様でパフェを食べる、という行為、私にはとても大人っぽい。大人になるしかない人生ならば、私はそういう大人になりたい。

レトロな喫茶店で、お洒落なカフェで、フルーツパーラーで、ひとり姿勢を正してパフェを食べている大人がいたら素敵だと思う。いや、ひとりでパフェを食べている姿が美しい、そんな大人になれたらそれこそが素敵だ。美しいものや美味しいものにたったひとりで対峙できること。それが何からの逃避でもないこと。ロマンチックという無駄を心置き無くひとりで静かに楽しめる、孤独でご機嫌な大人に憧れる。

東京パフェ学

著者
斧屋
出版日
2015-03-20

パフェ評論家・斧屋氏によるパフェの考察本。パフェを123本食べた著者が書いた、ペフェ好きによるパフェ好きのための本である。パフェ評論家とはなんなのか、パフェは本で数えるのか、と野暮な横槍はさておき、とにかく情報量が凄い。資生堂パーラーや銀座千疋屋といった老舗のパフェ、今時なカフェのパフェ、さらにはコンビニのパフェまで、東京都内または近郊のパフェを事細かに分析している。なかなかメニューには載らないであろう、パフェを真横から撮った写真を眺めているだけでも幸せになれる。パフェは構築美だ。

どのパフェを食べようか、どのお店に向かおうか、パフェ好き・スイーツ好きにこの本はきっと役立つだろう。しかしわたしは読んでいるうちに心も食欲も満たされてしまい、実際は数店舗にしか足を運んだことはない。絶対に胃もたれしない強靭な消化器官と絶対に太らない体質を持ち合わせていたら、この本に載っているパフェを片っ端から制覇したい。

パフェには幸せな記憶が詰まっている。幼い頃、家族で行ったファミレスで背伸びをするように食べた大きなチョコパフェ。上京した日、空っぽだが根拠のない希望に満ちた部屋で食べた小さなコンビニのパフェ。のちに数少ない友人となる人に新宿で笑い殺されながら食べたフルーツパフェ。でもそろそろ、パフェにまつわる切ない記憶も欲しいところだ。