最後に紹介したい本【ハッカドロップス】

最後に紹介したい本【ハッカドロップス】

更新:2021.12.2

ハッカドロップスのマイです。こちらで毎月5冊の本を紹介して参りました。物語の中では、たとえば現実社会にあるような、正解も間違いも決まっていなくて、善か悪かなんて二極を迫られることもない。そんな自由さとまともさに安心できることから、本を読むことが好きでした。本の世界に居場所みたいなものを見つけたこともありました。 あらゆる本を読んでいるわけでもないので、本当に個人的なおすすめでしかないのだけれど、毎月拙い文を読んでくれていた方、ありがとうございました! 最後にこれらの本を、おすすめします。またどこかでお会いしましょう。

ブックカルテ リンク

魚のように

著者
中脇 初枝
出版日
2015-07-29

女の子の友達の間にある感情は複雑で、好きとか嫌いとか、そんな一言では表せない。

私は、君子が私を許すから、君子を憎むことすらできない。(本文より)

優しすぎるもの、無垢なものに対する苛立ちと、そのふたりを見つめる弟の視点。優秀な姉と比べて劣った子として育てられてきた弟。姉への感情もまた、一極では表せない。だから本になっているのだ、と思った。

西日の町

著者
湯本 香樹実
出版日
2005-10-07

女の子の友達の間にある感情は複雑で、好きとか嫌いとか、そんな一言では表せない。

私は、君子が私を許すから、君子を憎むことすらできない。(本文より)

優しすぎるもの、無垢なものに対する苛立ちと、そのふたりを見つめる弟の視点。優秀な姉と比べて劣った子として育てられてきた弟。姉への感情もまた、一極では表せない。だから本になっているのだ、と思った。

西日の町

著者
よしもと ばなな
出版日
2007-05-29

まだ起こっていないことに対する不安。過去の経験から勝手に何かを思い込んだりすることって人生を続けていくうちに増えていくけど、思っているようには意外とならないよって言ってくれる本だと思いました。

求められているときに求められた動きをすること……まるでスポーツの試合のように、ただ全身で、その場に求められていることを判断すること。そうしたら扉は開く。(本文より)

身に覚えがあるのに、言われないと気付かないことがたくさんある。

ユタとふしぎな仲間たち

著者
三浦 哲郎
出版日
1984-09-27

小さい頃、全員そうなのかは分からないけど、生活にファンタジーがあったように思う。今思い出そうとすると、あれって本当にあったんだっけと疑うようなこと(靴の中で小人が演奏会してるのを見た記憶とか)も、ある。

寅吉じいさんの説によれば、神様とか、ほとけ様とか、人間の霊魂とか妖怪とかは、実際に存在すると思えば存在するし、存在しないと思えば存在しない、つまりその人の気持ちしだいで、存在したり、しなかったりするものだということであった。(本文より)

少年と座敷わらしとの出会いも、少なくとも本の中では本当に起こっていることなのだ。

カンパネルラ

著者
長野 まゆみ
出版日

兄弟の間には特別な感情がある。特に、下から上に対する憧れと、信仰のようなものを私は末っ子だったのでとても覚えている。

夏織が素気なくとも、人を寄せつけずにいる限り、柊一は安心できた。柊一が近付くことができないように、外の誰も兄には近付けないと思える。(本文より)

夏休みみたいな景色の浮かぶ文章、水彩の絵を見ているような気持ちになる。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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