サッカーを通じて、努力することや友情の大切さを教えてくれる名作『ホイッスル!』。なんとスマホで無料で読むことができるのです。この記事では、続編の『ホイッスル!W』もあわせて、登場人物の魅力をご紹介していきます。
中学校のサッカー部を舞台にくり広げられる、努力・友情・勝利を描いた『ホイッスル!』。その魅力はなんといっても、全編にわたって展開されるサッカーのリアルな描写ではないでしょうか。
突如主人公の能力が開花するとか、魔球を会得するとかいう極端な設定は無く、地に足ついたスポーツ漫画として人間味にあふれています。
主人公は少年漫画の王道をいく、常に一生懸命でがむしゃらな性格。あきらめずに信じて続ければ必ず道が開けると、努力を惜しみません。
彼を取り巻くチームメイトたちは個性豊かですが、誰かひとりに突出した能力があるわけではなく、日々の練習の賜物として技術の向上が描かれている点が読者の心を掴むのでしょう。
1998年から2002年まで連載された本作ですが、その次世代編として2014年に『サムライファイト』が発表されています。主人公の息子をメインに展開し、「あのキャラの子ども?」「あのキャラが目立たない脇役で登場した!」など垂涎の内容です。
また無印の続編として2016年から連載されている『ホイッスル!W』にもご注目。無印にも登場するある人にゆかりのある人物を主人公にして、サッカーに夢中になっていく少年たちの姿をコミカルに描いています。
2017年現在2巻まで刊行されているので、今後の展開が楽しみですね。
この記事では、無印と「W」の登場人物の魅力を中心にお伝えしていきます。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
サッカーが大好きで、いつかプロになって世界で活躍することを夢見る主人公の風祭将(かざまつりしょう)。サッカーの名門校である武蔵森学園に入学しました。
しかしいくら気持ちが強くても実力がともなわず、また身長も146センチと低かったことから、3軍でひたすら雑務をこなす毎日です。
しかも2軍の生徒から、背が低いと1軍には絶対あがれないと言われてしまい、ここにいてもサッカーができないと理解した彼は、桜上水中学へ編入することにします。
しかし「武蔵森のレギュラー選手がやってきた」と誤解を受け、練習ゲームに参加するものの実力の無さを露呈してしまいました。
恥をかいたことから1度はサッカー部から姿を消しますが、サッカー自体が好きな気持ちは消すことができず、復帰。実力のある水野や佐藤、変わり者の不破をはじめとする仲間たちと切磋琢磨するなかで、選手としても人間としても成長していきます。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
サッカーが大好きで、プロになるためにひたむきに努力し続ける本作の主人公が風祭将です。
文武に優れたサッカーの名門・武蔵森学園のサッカー部に所属し、1軍入りを目指していましたが、身長の低さゆえにプレイをさえてもらえませんでした。そんな状況を打破するべく、自らの意思で桜上水中学へ編入します。
しかしこれまでリフティングしかしてこなかった彼は、サッカー部へ入部した初日にミニゲームで失敗し、チームメイトから不信を買ってしまうのです。
ただ彼のサッカーへの思いは強く、下手なりに頑張る姿にチームメイトの見方が変わります。その後は士気を高めるムードメーカーとして、足りない技術を補いながら切磋琢磨していくようになるのです。
特に運動神経がいいわけでも、秀でたセンスがあるわけでもない平凡な風祭。しかし常に努力を惜しまない気持ちだけは持っていて、小柄な体格を活かした戦い方を身につけるなど自らの武器を増やしていきます。
そしてどんな練習や試合にも本気で取り組み、周囲も目を見張るほどの結果を出すようになるのです。逆境でも諦めずに前を向いて突き進んでいくがむしゃらな姿は、チームメイトの心を動かし、読者の心も打ちます。
実の父親は他界しており、母方の伯父である風祭家の次男として育てられました。亡き父親はサッカー選手として知られた存在です。
努力を続けた風祭は、「ナショナルトレセン」という選手強化育成システムの東京都選抜候補に補欠として選ばれるほど目覚ましい成長をとげ、水野や佐藤を戦慄させました。しかしトレセン決勝戦の最中に左ひざに重傷を負い、もうサッカーはできないと宣告されてしまうのです。
一時は抜け殻のようになってしまいますが、渡欧して大手術を受けた後、懸命なリハビリにより現役復帰を果たします。
次世代編と呼ばれる『サムライファイト』や『ホイッスル!W』では、結婚して2児の父となり幸せに過ごしている様子が見られるので、ファンは必見ですよ。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
風祭が転校した桜上水中学でミッドフィルダーを務める水野竜也(みずのたつや)は、登場するキャラクターのなかでもずば抜けたサッカーセンスと技術を持った人物です。
頭もよく顔もよいため、ファンもついているのですが、本人はサッカーに夢中で女っ気はまったくありません。
サッカーの名門である武蔵森学園への入学が決まっていたものの、顧問をしていた父親を嫌っていたために無名校である桜上水中学に通っているという、思春期&反抗期真っただ中。
センスは抜群ですが、やや人づきあいが苦手な節があり、メンタル面で不安定になりやすく、周囲と自分との技術の差や意識の差を感じてイライラしている姿も多く見られます。
しかし不器用な性格ながらもチームをまとめ、風祭の練習に付き合うなど意外と面倒見のよい部分やリーダーシップを持ち合わせているのです。
突出した技術を持っているため注目されることが多く、ナショナルトレセン東京都選抜に選ばれてからも、コーチ陣に一目置かれていました。
その東京都選抜のメンバーとして出場したソウル市選抜との試合で、「もっと遊べよ」とアドバイスされたことで、いままで凝り固まった思考をしていた自分に気づき、「サッカーを楽しむこと」を思い出すシーンが印象的。
しかし、選抜で技術の高い人間と出会ったり、成長し続ける風祭とプレーしたりするうちに、自分だけが取り残されていると感じてしまいます。関西選抜に選ばれた佐藤との接し方に悩んだり、対戦相手と親し気に話す風祭にいらだったりと情緒不安定な姿も垣間見え、葛藤する思春期の少年らしい様子はリアリティ抜群。
父親を毛嫌いしている場面も多く描かれますが、病院に運ばれたことを知った時の動揺した姿を見ると、素直になれないだけで本当は大好きなことがよくわかる、優しい少年です。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
水野と同等、もしくはそれ以上のサッカーセンスを持つ佐藤成樹(さとうしげき)。お調子者の関西人で、サッカーに限らずさまざまな運動をこなせる身体能力と運動神経を兼ね備えたスポーツマンです。同級生からは「シゲ」と呼ばれています。
元々は桜上水中学のサッカー部に在籍していましたが、とある理由で退部。その後はいろいろな部活に「助っ人」として顔を出していました。そんな時風祭が転校してきて、その愚直で真っ直ぐな人柄を気に入り正式にサッカー部に入部。センスと技術の高さをいかんなく発揮して、水野とともにチームを牽引する要となっていきます。
最初のころは、楽しければそれでいいと、サッカーに対して本気で取り組む姿勢を見せていませんでした。しかし風祭と水野が選ばれたナショナルトレセンの東京都選抜に漏れ、自分が悔しがっていることに気づき、いつしか本気でサッカーに取り組むようになるのです。
この真相は、つかみどころのない性格でいつも本質をかわしてばかりのシゲに本気でサッカーに向き合ってほしいと考えたコーチの松下が、選抜入りを断ったのですが、これによって自身の情熱を自覚したシゲは、後に関西選抜メンバーとして風祭と水野の前に立ちはだかることになります。
最終的に、本作のラスボスはシゲだったということですね。
京都出身の彼は、1年間日本を放浪した後に中学に入学したため、学年は同じですが風祭たちより1歳年上だったり、実家が有名な呉服店でその跡取り息子なのに家出をしていたり、妾の子としていじめられたりと、実は秘密の多い人物。
ともすればかまってほしいと話題の種に出しそうなものですが、ひけらかさずにひらりとかわす姿が、彼をよりいっそう魅力的にしているのでしょう。
全身全霊でサッカーと向き合い自分で道を切り拓いていく風祭の姿に触発され、自身の枷を外して思いのままに走りだすシゲは、人としてとても強くなります。
風祭と対戦するために、家出までした実家の父親に頭を下げ関西選抜に推薦してもらうと、実力でメンバー入りし、風祭が所属する東京都選抜との戦いに臨むのです。圧倒的な実力で風祭の前に立ちはだかる彼の姿をぜひ目に焼き付けてください。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
桜上水中学のサッカー部でゴールキーパーを務める不破大地(ふわだいち)は、開校以来の天才児として学校中に名を知られている有名人です。
天才敵頭脳と論理的思考によって、本人は無自覚ながら相手の欠点をあげつらい、そのプライドをズタボロにしてしまうため、「クラッシャー不破」という二つ名を持っています。
常に飄々としていて無表情ゆえ学校イチ絡みづらい人間としても認識されていて、特定の友人はおらず一匹狼のように過ごしていました。そんな彼にとって、転入早々無邪気に接してきた風祭は、未知の存在。
彼が笑顔で語る「サッカーの面白さ」の理由を知りたくなり、サッカー部へ入部するところから彼のサッカー人生が始まります。
そして、元来持ち合わせていた鋭い読みと反射神経、統計によるパターン思考でキーパーとして髙いスキルを発揮し、桜上水の正キーパーとしてレギュラー入りを果たしました。
しかしキーパーとしての能力は申し分ないものの、これまでなんでもひとりでこなしてきた彼にとって、他人との関わり合いは無意味なことだと思っていました。ただ時間が経つにつれて、個人のスキルが高くてもチームが連携していないと得点に繋がらないことに気づき、それからは彼なりの方法でチームメイトに歩み寄るようになりました。
仲間を信頼し、信頼されることによって困難な現状も打破できることを知った彼は、息の合った連携プレーを見せるようになります。時折り負けず嫌いな面を出しつつも、サッカーを通じて少しずつ人間らしくなっていく様子に、親心が芽生えてしまうかもしれません。
キーパーとして名高い武蔵森学園のキャプテン・渋沢に、「ゴールキーパーが面白いか」と訪ねに行くなど、その行動力も見どころです。
風祭と同じ桜上水の2年生で、補欠としてくすぶっていたのが高井真人(たかいまさと)です。
技術はそれほど高くありませんが、サッカーが大好きだという想いは他の登場人物たち同様にアツいものを持っています。
お調子者で真面目な性格のため、辛いことからは目を背けつつそのことに罪悪感を覚えてしまうというリアルな人間性が描かれています。
風祭がサッカー部に入部してきた時に起きたいざこざを経て、彼に一目置くようになりました。その後は風祭のように諦めない気持ちを抱き、レギュラーとして試合に出場するために練習を積んでいくことになるのです。
当初はフォワードとして試合に出ていましたが、コーチの松下のもとで練習を重ねるうち、広い視野の不足を指摘されてフォワードのポジション争いにも敗れてしまいました。それからは練習を休みがちになってしまいます。
しかしサッカーが好きだという自分の気持ちを再確認し、足りないとされた視野をサイド方面に特化するためにウイングバックへとポジションを変更し、活躍の場を広げるようになりました。
ビジュアル面ではお世辞にもカッコいいとはいえませんが、人情味のある優しさが彼の魅力です。風祭がナショナルトレセンへ行くか、桜上水に残るか決断を迫られていた時も、「もちろん選抜いくよな」と後押しするなど、思いやりの気持ちを見せていました。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
サッカーの強豪校である武蔵森学園の3年生で、キャプテンを務める渋沢克朗(しぶさわかつろう)。
ゴールキーパーの才能があり、「この世代で1番優れたキーパー」として高い評価を受けています。ナショナルトレセンの東京選抜メンバーに選ばれた際にも、正ゴールキーパーになるほどの実力者です。
恵まれた体格と、技術や身体能力があり、おまけに性格も温厚で面倒見がよい彼。そのためか、喧嘩の仲裁に入って水をかぶってしまったり、後輩のグチに付き合わされたり、試合中にディフェンス全員が攻撃へまわりひとりでゴールを守らなければならなくなったりと、苦労人気質なところもたまりません。
ゴールキーパーというポジションの重要性をしっかり理解しているうえ、自分がキーパーであることへの誇りも持っています。リーダーシップがあり、判断も的確で、仲間を大切にするという作中屈指の人格者なので、ついつい皆が頼ってしまう気持ちもわかりますね。
不破から「ゴールキーパーの楽しさ」について尋ねられた際は、ゴールキーパーそのものというよりも、「サッカーが楽しい」「仲間とやるから、楽しいのさ」と笑顔で答えました。
藤代誠二(ふじしろせいじ)は渋沢と同じく武蔵森学園に通うエースストライカーで、その実力は折り紙つき。
フォワードとして活躍し、チームメイトのフォローがなくてもたったひとりでゴール前までボールを運べる突破力があります。足の速さを活かしたドリブルが武器で、普通に走っている選手が追い付けないほどの速さで走り抜けるのです。
またスピードだけでなく、ボールさばきやフェイントなども秀逸で、高度なテクニックを持ち合わせたオールラウンダーだといえるでしょう。
フレンドリーな性格をしていて、偵察兼陣中見舞いと称して桜上水中を訪れた際は、いつの間にか部員たちと馴染み一緒に練習をするほど。
そんな藤代ですが、唯一の欠点といえば「ニンジンが嫌い」ということくらいでしょうか。全寮制の武蔵森での食事では、自分用にニンジン抜きのメニューを作らせていて、選抜合宿の際は風祭の皿に自分のニンジンを乗せていました。
最終的にニンジンを克服できたのかは……謎のままです。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
桜上水と同じ地区にある強豪校・国部第二中学校でサッカー部に所属する天城燎一(てんじょうりょういち)。大柄な体格と圧倒的な実力を持った風祭のライバルのひとりです。
初登場時は家庭の事情にお節介をやいてくる風祭を嫌い、粗野で乱暴な一面を見せていましたが、実はお坊ちゃまで育ちが良く、乳母のかずえを大切にしている心やさしい少年です。
当初は、サッカーも社会も実力で勝ち上がっていくもので、自分さえいればあとは不要といった自己中心的な考えから個人プレーに走りがちでしたが、桜上水中学との試合を経て傲慢だった自分に気づき、元々持っている優しさを表に出すようになりました。
しかし、心の支えにしていたかずえの死により、サッカーを続けていく気力を失ってしまいます。そんななか風祭たちとフットサルをしたことをきっかけに、再びサッカーを続けていくことを決意し、実力をいっそう開花させていくことになるのです。
その後はナショナルトレセンの東京都選抜候補として選出され、最終メンバー入り。しかし徐々に調子を落としていきます。見かねた風祭に理由を尋ねられると、かずえの形見であるお守りに入っていた母親の連絡先をたどり、離れていた家族に会ったことで、「ドイツに移住して家族と暮らすか、選抜に残るか」の選択で迷っていることを打ち明けました。
風祭は、自分自身の産みの母が他界しており会いたくても会えない状況であること、会わずに後悔するなら会ったほうがいいと言いつつも、ドイツへ行ってほしくはないという矛盾した心情を吐露します。そしてその状況を踏まえて、天城に勝負を挑んでくるのです。
その決着のつかない戦いで自身の迷いを吹っ切った彼は、ドイツへ行くことを決意し、選抜を離脱することになります。
続編の『ホイッスル!W』で再び登場し、選手としてバイエルンで活躍しつつ、結婚して生まれた息子とサッカーをして楽しんでいる姿が描かれました。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
地区大会の予選決勝で桜上水中と対戦することになった飛葉(ひば)中学校サッカー部キャプテン、椎名翼(しいなつばさ)。小柄で女の子のような顔立ちをしていますが、内面は非常に好戦的です。
頭の回転が速く、反論の余地をなくして相手を論破してしまう皮肉屋。また外見とは裏腹に男らしい性格をしており、桜上水との試合後は風祭に対して兄貴分のようにアドバイスをする、よき理解者のような存在です。
このような性格のため、敵も多いけど信頼の置けるセンターバックとしてチームメイトから認められています。ディフェンスの要として活躍し、自身を中心とした統率のとれた守備で最終ラインを死守するラインコントロール能力にも優れているため、「ピッチにもうひとり監督がいるようだ」と評されることも。
風祭と同じくらい小柄ながら運動能力は抜群で、ミドルシュートもロングシュートも打てる脚力があり、ドリブルなどのボールコントロールにも優れているほか、いざとなれば「リベロ」として前線まで攻撃に参じるくらいのスピードとスタミナを兼ね備えています。
外見で見くびられるのを嫌って武道を嗜んでいる一方、大柄の選手に勝つことを嬉しがる年相応の少年らしさも持ち合わせた魅力的な人物です。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
水野や三上と同じくミッドフィルダーとして活躍する郭英士(かくえいし)。U-14代表にも選ばれた経験を持つエリート選手です。
個人で課題をクリアできる能力とリーダーシップを備え、常に冷静で安定感のあるプレースタイルが特徴。
戦術を組み立てるのがうまく、頭の切り替えも早いため、司令塔としてのセンスも抜群で、味方への正確なパス回しはもちろん、自身で現状を打開する突破力も兼ね備えたマルチプレイヤーだといえるでしょう。
冷静沈着で大人びた印象ですが、同じU-14でしのぎを削った真田や若菜とはプライベートでも仲がよく、いつも3人で固まっている様子は微笑ましく感じます。
母親が韓国人ながら日本育ちであることを、ソウル市選抜の選手に揶揄されたことで、アイデンティティに迷ってしまいました。しかし今のチームメイトがいる日本こそが自分のふるさとだと認識し、迷いを断ち切ることができるメンタルも強い選手です。
三上亮(みかみあきら)は、武蔵森学園のミッドフィルダーを務めている3年生。サッカーの名門とされる武蔵森の1軍選手としてゲームメイクしてきた自負とプライドを持っているため、同じポジションで自分より才能があると噂される水野に嫉妬し、敵視しています。
プライドの高さゆえか、メンタルが不安定な部分も垣間見えますが、技術は抜群。ナショナルトレセン東京都選抜の選考合宿でも高いスキルを発揮しました。
最終的には選抜にはなれなかったものの、サッカー部に残って活躍し、都大会優勝に導いています。
裕福な家庭に生まれ、プロサッカー選手を父に持つ天城煌牙を主人公にして、少年たちの心の交流を描く『ホイッスル!W』。無印の続編になっています。
学校ではオレ様で、取り巻きたちと「サッカーごっこ」をして遊んでいる小学生の煌牙。サッカーセンスはあるけれど、ルールもまともに知らない彼が、転校生の黒瀬拓海と出会うところから物語は始まります。
ある出来事がきっかけで心を閉ざすようになった拓海と、サッカーが好きだけど技術が伴わない煌牙……ひと波乱もふた波乱もありそうな2人のサッカー少年の成長物語です。
- 著者
- 樋口 大輔
- 出版日
- 2017-05-19
ある有名サッカープレイヤーを父に持つ小学生の天城煌牙(てんじょうこうが)。裕福な家庭で何不自由なく育った彼は、自己中心的なオレ様の性格をしていて、強引に周囲を振り回してしまういわゆる典型的な「お坊ちゃん」タイプです。
上級生に絡まれている友人を助ける際にはとび蹴りを披露するなど、衝動的で乱暴な面がありますが、本来の性格は天真爛漫で裏表がないため、友人からは慕われています。
父親の影響もありサッカーが好きな気持ちはひと一倍あるのですが、サッカーのせいで父と祖父がすれ違っていると感じていて、大好きなおじいちゃんのために家では好きな気持ちを表せないでいます。
「サッカーなんて簡単」と思っていた煌牙ですが、体育の時間に上手にボールを操ることができず、シュートの1本も決められない現状にショックを受けました。また転入生の黒瀬拓海の技術を目の当たりにしたことで、
「アイツ カッコ良かったな。」
「アイツみたいにカッコイイプレーしてみたい…な」(『ホイッスル!W』1巻より引用)
と憧憬を抱き、うまくなりたいという想いを抱くようになります。
今後の彼のサッカー人生がどのように展開していくのか、目が離せませんね。
ちなみに煌牙の父親で有名サッカープレイヤーとは、何を隠そう、無印時代に圧倒的な存在感と実力を誇った天城燎一!親子のほほえましいやりとりにも注目してみてください。
- 著者
- 樋口大輔
- 出版日
- 2017-11-10
小学生ながら卓越したサッカー技術を持っているもうひとりの主人公が黒瀬拓海(くろせたくみ)です。
しかし彼はなぜか頑なにサッカーを「やりたくない」と拒否しています。東北から東京へ引っ越してきて、おじさんの元で生活をしているのですが、いつも少しつまらなそうな顔をしているのが気になるところ。
実は拓海が住んでいたのは宮城県。サッカーを教えてくれた大好きな兄を震災で亡くしていて、そのトラウマからサッカー恐怖症になってしまったようなのです。
そんな彼に、煌牙は何度もサッカーをやるようにすすめます。最初は煩わしく思っていた拓海ですが、しだいに心を開いていくのです。
どうやらサッカーへの情熱を失っているわけではないようなので、今後煌牙とともにサッカーを楽しめるようになるよう期待しましょう。
作中で顧問の先生が述べたように、ゆくゆくはWウイングとして2人の活躍を見られるかどうかも要チェックです。
名作の多いサッカー漫画の中でも特におすすめの作品を集めた<外れなしのおすすめサッカー漫画7選!>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
『ホイッスル!』は、読み進めるうちに心がアツくなる名作です。その続編である『ホイッスル!W』も、手に汗握る展開がくり広げられるに違いありません。サッカーが好きな人はもちろん、そうでなくても1度手に取ってみてください。読了後はきっと爽やかで穏やかな気分を味わえるはずですよ。