自分が経験したスポーツの漫画しか読んでいない、ということはありませんか?今回は、サッカーに精通している人はもちろん、そうではない人にもおすすめできるサッカー漫画をご紹介します。
原作の綱本将也と作画のツジモトによる、既刊42巻(2017年1月時点)の作品です。「モーニング」で2007年から連載されており、2010年にはアニメ化もしました。
かつてETUという人気サッカーチームに所属していた達海猛は、チームを抜け海外へ行きますが、怪我によって選手生命が絶たれてしまいます。そして残されたETU自体も弱小サッカーチームへと落ちぶれてしまっていました。
- 著者
- ツジトモ
- 出版日
- 2007-04-23
ETUが返り咲くため、達海を監督としてチームに呼び戻すことにします。どうにかイギリスにいた達海を見つけ出し日本に帰ってくることになりますが、待ち受けていたのは達海を裏切り者とみなすサポーターや選手たちでした。
この作品のタイトルにもなっているジャイアントキリングは、「大番狂わせ」という意味です。達海はまさにそんな弱いものが強いものを打ち負かす、ということに強く魅力を感じています。
ETUの監督を引き受け、達海はどんどんチーム内に改革を起こします。鋭い眼光で笑みを浮かべる姿は漫画のキャラクターに必須のカリスマ的魅力を十二分に内包しています。敵とETUの弱点両方を攻略していく過程は、サッカーファンの胸を熱くするものがありますね。
サッカーに詳しくない人でも、チームを作り上げ、各々が決意をもってコートに立ち、時にギャグをかます、たくさんのカッコイイ登場人物たちに目が釘付けになってしまうことでしょう。
『GIANT KILLING』に関しては「「ジャイアントキリング」の面白さ50巻までネタバレ紹介!名作サッカー漫画」の記事で詳しく解説しています。
作者の安田剛士による、既刊20巻(2017年1月時点)の作品です。「週刊少年マガジン」で2013年から連載されており、2016年にはアニメ化もしました。
中学でいじめられっこだった柄本つくしは、聖蹟高校へ進学が決まった矢先、不良に絡まれます。そのとき彼に助け船を出したのが天才サッカープレイヤーの風間陣でした。彼の誘いにより、サッカー初心者のつくしは高校でサッカー部に入ることになります。
- 著者
- 安田 剛士
- 出版日
- 2013-07-17
ここで紹介されているほかの漫画とは違い、主人公が全くの初心者、ゼロからサッカーを始めます。普通は「追いつけるわけない」「無駄なことだ」と切り捨てて考えられてしまいますが、つくしは誰よりも努力し、決して卑屈になりません。
人のアドバイスもよく聞き、誰よりもひたむきに練習する姿に、次第に部員たちはつくしのことを受け入れていきます。彼のサッカーを表した言葉があります。それは他校の選手とフットサル場でサッカーをした際のこと。
「誰かのために走ります それが僕のサッカーです」(『DAYS』より引用)
つくしはそんなことを心の中で言い、ゴールに貢献するのです。決してうまいわけでは無いけれど、ひたむきにつくしが走るシーンは胸が熱くなります。
周りのキャラクターも魅力的です。何故かカエルの着ぐるみを着て雨の中つくしの自主練を見守る陣、小説家の夢をあきらめた自分のようになってほしくないとつくしを激励するマネージャーの生方、同じく未経験者で入部したチームのキャプテン水樹。
多くの仲間が彼を応援し始めます。それぞれの胸の思いに、まるで読んでいる自分まで応援されている気になり、つい目頭が熱くなってしまう作品です。
『DAYS』に関しては「漫画「デイズ」の魅力を最新26巻までネタバレ紹介!」の記事で詳しく解説しています。
原作の伊賀大晃と作画の月山可也による作品です。「週刊少年マガジン」で2006年から連載されており、2012年にはアニメ化もしました。
日本サッカーのエースプレイヤーとして期待される逢沢傑の華麗なるプレーを絶賛する、一歳下の弟である逢沢駆。友人に怪我を負わせてしまったトラウマにより人前でサッカーをすることはなくなり、マネージャーとして選手たちのそばでサッカーに焦がれる日々を送っていました。
- 著者
- 月山 可也
- 出版日
- 2006-08-17
幼馴染が転校してきたり、夜の公園でひそかに宇宙人のマスクを被った人物とサッカーをしたり、傑からレギュラー選考の試合に出場するように言われたり、駆のサッカー生活は徐々に変化を見せ始めますが……。
第一巻の冒頭から、駆による傑のプレー実況が熱いです。現地に試合を見に行ったことがある人ならわかる、会場の熱気をリアルに描き出しています。ひとつひとつの動きの解説がサッカー愛の強い駆だからこそできるクオリティで説明されています。
逢沢兄弟は初登場時はまだ中学生です。傑は、中学三年生にして抜群ののかっこよさでと登場します!女性読者の目も惹きつけてしまいますね。そして転校してくる幼馴染もこれまた美少女!男性読者にとっても嬉しいキャラクターです。
登場人物が魅力的であるゆえに、途中読み続けることが辛くなるほどのシリアス展開もあります。駆は障壁を乗り越えられるのか。サッカーを通して一人前に成長していく駆を応援したくなる青春サッカー漫画です。
『エリアの騎士』に関しては「漫画『エリアの騎士』最終57巻までネタバレ!11年続いた魅力を振り返る!」の記事で詳しく解説しています。
新川直司による、全2巻の作品です。「マガジンイーノ」で2009年から2010年の間に連載されていました。
中学二年生の恩田希は男子サッカー部に所属しています。腕は確かなものですが、もちろん女の子なので試合には出させてもらえません。時間がたてばたつほど、体格差がうまれてしまうことを、希は実感していました。
- 著者
- 新川 直司
- 出版日
- 2014-10-17
新人戦が近づき、幼馴染の谷安昭、通称ナメックに女だから男には勝てないといった内容の挑発を受けます。希はナメックを打ち負かすために、新人戦に出場しようと驚くべき手段に出ます。
なでしこJAPANが優勝したことにより、女子サッカーの人気が高まってきたころに連載されたこの作品は、全国のサッカー女子の気持ちを代弁しているような作品です。
小学生の頃は男の子に混じり遊べていましたが、年を重ねるうちにスポーツにおけるハンデが大きくなっていきます。サッカーが大好きな気持ちも、一生懸命練習してきた日々も、男の子と何ら変わりはないにも関わらず、自身のプレー場が制限されていく現状にやるせなさが感じられます。
思春期特有の「女の子らしさ」を捨て、新人戦にでるために希がとった手段はなかなか思い切ったもの。根性をすえた希が「女のほうが弱い」という固定観念を覆していき、数々の爽快プレーを魅せてくれる点がこの作品の見所です。
物語の中心人物はサッカー少年の安藤ソラです。物語はソラが中学校最後の大会で自分の才能に限界を感じ、サッカーを辞めたところから始まります。プロのサッカー選手になる夢を諦めたものの、心のどこかではサッカーに対する未練をくすぶらせているソラ。
- 著者
- 中村 尚儁
- 出版日
- 2010-12-03
ある日、彼の目の前に突如女子サッカー日本代表、若宮四季が現れます。独りよがりな選手だったソラに、四季は「サッカーは一人でやるものじゃない」と、優しく伝えて去っていきました。ところが部の引退試合を終えて帰宅したソラを出迎えたのは、四季に関する衝撃的なニュースと意外な過去で……。
この物語は安藤ソラと、彼を取り巻く人物を描いたオムニバス形式の漫画になっています。一つ一つの物語で、それぞれの主人公たちはソラに励まされ、勇気づけられ、活路を見出していきます。
スポーツ漫画ならではの爽やかさと熱いお話が魅力です。ソラ自身と彼を取り巻く人々が胸に抱いた想いがオムニバス形式でカラフルに色付けられて生きます。登場人物の分だけ物語が立体的に立ち上がり、胸にくるアツい想いも増していきます。まさに十人十色……、この場合、十一人十一色の気持ちが詰まった1冊です。
作者の高橋陽一による、全37巻の作品です。「週刊少年ジャンプ」で1981年から1988年の間に連載されていました。アニメ化や映画化、小説化、ゲーム化などが実施された大人気作品です。
幼少期からサッカーとともに過ごしてきた天才サッカー小学生の大空翼は、同じく小学生にして天才ゴールキーパーの若林源三に勝負を挑むところから物語は始まります。
キャプテン翼
全日本少年サッカー大会を舞台とする小学生編、全国大会連勝に向けてさまざまなライバルたちと戦う中学生編、大会の優秀選手を集めてヨーロッパに遠征するジュニアユース編、そしてエピローグというように、『キャプテン翼』は時系列で大きく四章に分けることができます。
これまで紹介してきた作品とは異なり、登場人物たちは見たこともないような技を繰り出します。サッカー漫画は人気がない、という当時の風潮をガラリとぶち壊した作風に、主要読者の少年たちは心を躍らせたことでしょう。
現実ではありえない超人プレーは、現代のSF漫画に通じるところがあるように思えます。「正統派サッカーではないじゃないか!」と目に角を立てず、少年時代の心に戻り、あらゆる仰天シュートに感嘆の声をあげてみてはいかがでしょうか。
愛媛県に住む中学3年生の筠絵・青井葦人は、荒削りなものの、才能を感じさせるプレイをするフォワード選手。
しかしもう少しで地区予選のベスト4に入り、県大会に出場できるかもとなった時に、ある問題を起こして敗北を喫します。
そのあとやけになって走りまくる彼の前に現れたのは、東京の強豪Jクラブのユース監督・福田達也。葦人のプレイと問題行為を見ていた彼は、なにやら考えがあるようで……。
- 著者
- 小林 有吾
- 出版日
- 2015-04-30
本作の魅力はユースサッカーのリアルさでしょう。主人公は地域では光る才能を見せ、福田に目をかけられたものの、始まりはセレクションから。
高校ユースサッカーは、昇格が11人、推薦枠が3人選ばれます。そして最後にセレクションという枠があり、そこから一人だけが進むことのできる狭き門だと作品で説明されます。
葦人は技術的に上手いわけではなく、性格的にもワンマンプレイが目立ってしまう人物。勝利ではなく、活躍する姿を見せるというセレクションで輝くことができません。しかしそこから彼は考え抜き、あるアイディアで夢をつかむのです。
ユースサッカーのリアルな環境描写と、葦人のプレイに向かう姿勢、他キャラたちとの群像劇に熱くなる本作。サッカーをあまり知らない方でもリアルにその世界を感じることのできるおすすめ作品です!
『アオアシ』に関しては「漫画『アオアシ』の魅力を最新刊14巻まで全巻紹介!【ネタバレ注意】」の記事で詳しく解説しています。