古典ホラー漫画『不思議のたたりちゃん』の魅力をネタバレ紹介!面白い!

更新:2021.11.12

実写映画もされた犬木加奈子の名作『不思議のたたりちゃん』。不思議な力を宿す少女が、いじめの首謀者に復讐をしていくホラー漫画です。ネタバレを含みますので、ご注意ください。

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ホラー漫画『不思議のたたりちゃん』の魅力をエピソードから徹底紹介!面白い!

著者
犬木 加奈子
出版日

『不思議のたたりちゃん』は、犬木加奈子による少女ホラー漫画作品で、1991年より講談社「少女フレンド」で連載していました。ホラー漫画でありながら、イジメの首謀者をイジメられっ子が不思議な力を使って復讐をする爽快活劇です。 時にはグロテスクすぎる復讐をする多々里。 

今回はそんな古典ホラー漫画『不思議のたたりちゃん』をご紹介していきます。

『不思議のたたりちゃん』あらすじ

『不思議のたたりちゃん』あらすじ
出典:『不思議のたたりちゃん』1巻

 

神野多々里(かみのたたり)は、心優しい中学生ですが、少々陰鬱な性格と風貌が災いして幼いころからクラスメイトや先生からもイジメの対象にされていました。そんな多々里は実は生まれつき不思議な力が宿っている魔界少女でした。

ある日、多々里の教室に一匹の芋虫が入ってきたことがきっかけで小さな騒動が起こりました。多々里のクラスメイトの青野は、芋虫の大群を見つけるとその芋虫を使って多々里に嫌がらせをすることを思いつき……。

 

『不思議のたたりちゃん』のエピソード1:芋虫を使った復讐

『不思議のたたりちゃん』のエピソードの中でも「トラウマ」として今も語られるのが「芋虫を使った復讐」です。

穏やかな春4月。教室の窓を開けていると、多々里の教室に1匹の芋虫が入ってきたことで残酷で悲しい事件が起こります。

芋虫を見るや教室内はパニック状態となり、その芋虫を殺そうとするクラスメイトを制止し、ハンカチで芋虫を逃がした多々里の行動は、周囲の反感を買ってしまいました。

休み時間、芋虫の大群を見つけた多々里のクラスメイトの男子生徒は気持ち悪がりながらも芋虫を何度も何度も執拗に踏み潰し殺します。

さらに男子生徒の行動はエスカレートしていき、芋虫をイジメの道具として使用する事を思いつき、多々里をターゲットに……。この時、男子生徒は人としての心を失っていました。

男子生徒の多々里に行なったいじめは、あまりにも残酷なモノばかり。多々里の教科書に生きた芋虫を挟み重みをかけて潰したり、芋虫の死骸を靴に入れたり……。

クラスメイトも多々里がいじめに合っているのに誰一人助けることなく、逆に面白がっていました。

多々里は感情を押し殺しながらいじめに耐え続けていましたが、遂に多々里の限界を超える出来事が起こります。 

著者
犬木 加奈子
出版日

給食の時間、多々里の給食に大量の芋虫が混入。多々里が泣きながらいじめの首謀者である男子生徒に詰め寄ると、男子生徒は「お前のような虫ケラは、いじめられる為に生まれたんだ」と言い放ち、給食を多々里に押し付けました。

容姿や陰鬱な性格でいじめられ続けた多々里にとって、男子生徒のその言葉は自分の存在を全否定されたも同然だったのでしょう。怒りが頂点に達した多々里は復讐を決めます。

多々里の不思議な力で、その日を境に男子生徒は芋虫の幻覚に悩まされるように……。どんな場面でも芋虫が男子生徒を襲い、睡眠も食事も取れなくなってしまいました。

さらには男子生徒の背中は割れ始め、それはまるで芋虫を連想するかように……。多々里の復讐のフィニッシュを決めるように男子生徒の背中が弾けると、割れた背中から無数の芋虫がうごめきながら出てきました。

復讐を終えた多々里は、芋虫を穏やかな眼差しで見つめるも、多々里にとってショッキングな現実がまっていました。

それは、生きていく為には小さな命をむしり取らなければならないという現実……。多々里にはその事が分かってはいるものの、どうすることも出来ないジレンマが描かれています。

『不思議のたたりちゃん』のエピソード2:女の子の顔面が……

多々里のクラスメイト絵麻は、絵を描くのが得意で将来は漫画家になりたいと思っていました。

ある日の美術の時間、2人1組で相手の顔を書く事になり、絵麻は多々里と組むことに……。

絵麻は漫画のようなタッチで多々里を描き、多々里は本格的なデッサンで上手に絵麻を描きあげると、美術教師は多々里の絵を褒め、絵麻の絵は「お人形のようだ」と批判。

この事で自信家の絵麻のプライドは傷つきます。偶然の事故で絵麻が持っていた絵の具の付いた絵筆が多々里の顔についたにもかかわらず、謝ることもしない絵麻は多々里の顔に絵の具で故意に落書きをし、顔を歪ませながら嘲笑いました。

著者
犬木 加奈子
出版日

常に自分が注目される事を当たり前に思い、自分よりも長けている相手の存在が気に入らない歪んだ心を持った絵麻。その心は醜く、多々里にさらに酷い仕打ちをします。

水を含ませた絵の具の付いたティッシュを多々里の顔に投げ付け、その場面を見たクラスメイトも面白がって次々に多々里にティッシュを投げつけます。抵抗することも許されなかった多々里は絵の具まみれに……。

多々里はただ楽しく絵を描きたかっただけなのに、自分の虚栄心の為だけにあまりにもひどい仕打ちをする絵麻に復讐を決めます。

多々里の不思議な力で絵麻の顔はぐちゃぐちゃに変形。その顔は多々里をいじめていた時に絵麻が見せた表情と同じでした……。 

多々里は清々しい顔つきで「ちょっとだけ意地悪をされたけど、絵麻とは仲良く出来そう」と思います。 歪んだ心を持つ相手を、歪んだ顔でお返しする多々里の復讐劇。自業自得とはいえ、クラス全員がいじめの首謀者側に付くという「闇」がリアルで残酷でもの悲しいですね。

『不思議のたたりちゃん』のエピソード3:美人な先生の後頭部が……

『不思議のたたりちゃん』のエピソード3:美人な先生の後頭部が……
出典:『不思議のたたりちゃん』1巻

木陰で読書を楽しむ多々里に声を掛けてきた新任教師の花野は、若く美しく優しい性格ゆえに生徒から慕われていました。

ある日、多々里は花野から借りた本を事故で破ってしまいます。すぐ花野に謝罪し、花野も許してくれましたが、その件をきっかけに花野による陰湿ないじめが始まります。

花野の表向きは生徒に慕われる良い教師ですが、実は自分の気に入らない生徒にはいじめを行なう性格が破綻した教師で、前の学校では、いじめをやりすぎて2人の生徒を自殺に追い込んだ事実も判明……。

解剖の実験時には、気分の悪くなった多々里に自分の近くに来るように強要した挙句、「いじめについて口外したらこうなるから」とマウスの内臓を多々里の顔に押し当てながら脅迫。多々里は花野を押し、逃げようとした瞬間、花野は薬品棚に頭をぶつけ後頭部に軽い怪我をします。

残虐非道な花野を本気で怒らせてしまった多々里は、このままだと自分が花野に本当に殺されてしまうと恐怖を感じ、花野に復讐を決行。

翌日、頭を包帯で巻いた花野はいつもどおりに授業を始めると、生徒に対する暴言が飛び交います。ざわつく教室内。花野からの暴言が止まる事はなく、花野の頭を覆う包帯や緩んだ瞬間、大きな口が現れました。

教師という立場を利用し、ストレス発散の為に生徒をいじめ続けてきた花野にピッタリの復讐方法。多々里の不思議な力で「本心の口」を得た花野は、心で思ったことが全て出てしまうように……。

性格破綻している花野にとって、本心が知られることは自身が最も恐れていたことでしょう。逃げるように学校を去った花野がその後どうなったのかも気になるところですね。

漫画『不思議のたたりちゃん』を読もう!

著者
犬木 加奈子
出版日

多々里の周りにいるのは、なぜか人として問題がある人ばかりです。自分がされて嫌なことでも平気で多々里にしてきたり、自分の都合で多々里に残酷な仕打ちをしたり……。

ただ気味が悪いだけで何もしない生き物を平気で殺し、その死骸をイジメの道具に使ったり、自分よりも長けている生徒に嫉妬心を剥き出しにしながらいじめの標的にしたり、ストレス発散の為に教師の立場を利用しながら生徒に嫌がらせをしたりと、人としてのモラルが欠け軌常を超えた時、多々里は復讐の為に自分の持っている不思議な力を使います。

古典ホラー漫画の良さが充分に描かれている本作は、復讐といっても人を殺めたりするのではなく、目には目をの精神の元での復讐劇の為、時にはグロテスクな、時には少しだけお仕置き程度のモノまで幅広く展開しています。

この他にも、トラウマ級に恐ろしい「菌に侵される少女」や「人の物を盗む少女の悲劇」、「オバケ屋敷とクラスメイト」などのエピソードもあります。

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