『ひぐらしのなく頃に』を生み出した竜騎士07のゲーム『うみねこのなく頃に』のコミカライズ作品。アニメ、小説とさまざまなメディアで楽しめますが、今回は漫画の「うみねこ」についてご紹介していきます。
ミステリーとファンタジーが入り混じった世界観で描かれる謎解き推理漫画『うみねこのなく頃に』。
アガサ・クリスティー作のミステリー小説『そして誰もいなくなった』を下地に、「嵐の孤島」「予告状」「謎の人物」「怪奇現象」などの典型的なクローズド・サークルの要素を盛り込んだ作品となっています。
原作は『ひぐらしのなく頃に』でブレイクした「竜騎士07」。
同人サークル「07th Expansion」の代表者で、サークル立ち上げ当初は「Leaf Fight」というカードゲームの制作をおこなっていました。その後、代表作となる『ひぐらしのなく頃に』のサウンドノベル第1話を制作。
「ひぐらし」は当初はまったく注目されていませんでしたが、体験版を無料公開し、小説を発表するたちまち注目を浴びたのです。
- 著者
- 竜騎士07
- 出版日
- 2008-06-21
こうして「ひぐらし」が結果的に大成功へと終わり、竜騎士07は「ひぐらし」の雰囲気を保ったまま、新たなサウンドノベル第2弾『うみねこのなく頃に』を制作。ファンタジーとホラーの色が強い「ひぐらし」に対し、「うみねこ」はファンタジーとミステリーの色を強くしています。
そんな『うみねこのなく頃に』は、2009年にテレビアニメ化もされています!
また、2020年に「ひぐらし」のアニメ新プロジェクト始動をきっかけに、「うみねこ」もテレビアニメ第2期を所望するファンの声が続々と上がりました。
最後までアニメ化してほしいという願いは叶うのでしょうか?注目して見守っていましょう。
「うみねこ」は「ひぐらし」と同様に多数のメディアミックスをされており、先ほど紹介したテレビアニメのほかにも、コミックスや小説、ゲームなどさまざまな媒体で楽しむことができます。
そして、今回は多数のメディアミックスの中から「コミックス」に焦点をあてて「うみねこ」のご紹介をしていきます。
本作はスマホアプリ『マンガPark』で無料で読むことができます。気になった方は以下からどうぞ。
コミックスの特色として、 原作のサウンドノベルと同じくEpisode1~Episode4の「出題編」と Episode5~Episode8の「展開編」の2部構成となっていますが、複数のイラストレーターが担当しているのです。各々のエピソードでの差異を楽しむことができます。
さて、それではネタバレを含む「うみねこ」を「出題編」「展開編」とご紹介していきましょう。
『ひぐらしのなく頃に』についておさらいしたい方は以下の記事をご覧ください。
漫画『ひぐらしのなく頃に』が無料!読む順番や各シリーズの魅力を紹介!
『ひぐらしのなく頃に』は多くの人が、1度は名前を耳にしたことがある作品ではないでしょうか。しかし「話が多すぎてどれから読めばいいのかわからない!」という人も多いはず。そこで今回は「ひぐらしのなく頃に」シリーズの魅力を紹介していきます。
- 著者
- ["竜騎士07", "夏海 ケイ"]
- 出版日
1984年10月4日、大富豪の右代宮(うしろみや)家が所有する六軒島にて、年に一度の親族会議が行われます。一見、和やかな再会にみえますが、大人たちの頭の中はあることでいっぱいでした。
六軒島にはかつて魔女・ベアトリーチェから授けられた10トンもの金塊が隠されており、それを巡った「遺産相続」という議題が親族を争わせることとなるのです。
そして、いないはずのベアトリーチェから届く手紙、次々と殺されていく親族、これらははたして「人間」の仕業か。それとも、「魔女」の仕業か。
初めに伝えておきますが、「うみねこ」は島で起きた殺人の犯人を暴くことを最終的な目的としていません。主人公・右代宮戦人(うしろみやばとら)とベアトリーチェによる、殺人は人間の仕業か魔女の仕業かの論理合戦となります。
2人の論理対決が「メタ世界」と呼ばれる不思議な空間で展開され、人間の仕業だと証明できれば戦人の勝ち、それが証明できなければベアトリーチェの勝ち、という形で勝敗を決するのです。
本作の焦点は終始人間の犯行か魔女の犯行かへとあてられています。このことを踏まえたうえで、記事や漫画を読み進めてください。
- 著者
- ["監修:竜騎士07", "夏海 ケイ"]
- 出版日
物語は「Episode1」から始まります。
余命の近づいた右代宮金蔵が魔女・ベアトリーチェから授けられた10トンもの金塊。そのありかがベアトリーチェの肖像画の下にある碑文に記されていたのです。そして、その金塊をみつけた者が右代宮家のすべてを手にするといわれ、親族たちは血眼になって金塊を探します。
しかし、次から次へと不可解な殺人事件が起こるのです。到底人間が出来るとは思えない犯行に、18人しかいないはずの島に19人目の存在が浮上。魔女ベアトリーチェの犯行なのでは……?
一族すべての人間が殺され、残ったのは戦人ただ一人。そんな彼の前にベアトリーチェが姿を現しました。自らが魔法で殺したと告げるベアトリーチェに対し、戦人は人間が考えたトリックだとベアトリーチェを否定し、「魔女の存在」を賭けた戦いが幕を開けたのでした。
「うみねこ」も「ひぐらし」と同様に、エピソードの1つが終わるごとに話がリセットされ、何度も犯行が繰り返されます。
「Episode2」「Episode3」も主な流れは変わりませんが、ピックアップされるキャラクターが各エピソードで違い、さまざまな視点や観点から物語を楽しむことができるのです。
また、視点が変わることで読者もさまざまな情報を集めることができ、物語の真実へと近づくことができます。
そして、やはり出題編の見どころは戦人とベアトリーチェの論戦になります。通常の推理小説とは違った思考論理が多く展開され、「うみねこ」の独特な世界観を構築するのです。
例えば作中で「チェス盤思考」と呼ばれるもの。戦人の義母・霧江が愛用している思考で、チェス盤を180度ひっくり返し相手の立場になって物事を考えるという思考術です。戦人もこの思考術に感銘を受けており、作中にて多用しています。
また、「悪魔の証明」という論戦の行われるメタ世界におけるルールがあり、「完全な反証ができない限り、あらゆる仮説は認められる」とされています。
しかし、悪魔の証明がある限り際限のない魔女犯行の仮設、人間犯行の仮説が認められ、勝敗がつかなくなってしまうのです。そこで際限のない仮説の論戦を防ぐために、「赤き真実」「青き真実」というルールが用いられ、これこそが論戦の肝となってきます。
「赤き真実」は基本的に魔女側が用いるもので、魔女が赤文字で記した言葉は疑う余地のない真実となり、反論が不可能となるのです。対して、「青き真実」は魔女説を否定する仮説に用いられ、悪魔の証明が認められているメタ世界にて、青き真実は赤き真実で反論しない限り認められてしまうのです。
さまざまな論理思考、赤き真実と青き真実、これらは読者にも多くのヒントを与え、「六軒島殺人事件」の真相へと導いてくれます。
さらに、出題編の見どころとしてもう1つ挙げられるのが、出題編最終話である「Episode4」。
このエピソードでは六軒島へと訪れなかった戦人の妹・縁寿(えんじゅ)に焦点をあてて書かれており、「うみねこ」がどのような視点から描かれた物語なのかという重大なヒントを得ることができます。
ファンタジーとミステリーの入り混じった作品『うみねこのなく頃に』。あなたは魔女の犯行だと認めてしまいますか?それとも、人間の犯行だと証明できますか?
ぜひとも自分の頭でも真実へと迫ってみてください。
出題編での4度の戦人とベアトリーチェの戦いを経て、物語は展開編へと進みます。引き続き人間対魔女の戦いが描かれますが、展開編では魔女側に戦人、人間側に「奇跡の魔女」と呼ばれるベルンカステルが配置した探偵・古戸ヱリカを据えて論戦が展開されるのです。
なぜ、戦人が魔女側に立つこととなったのか。その理由に今回の「六軒島殺人事件」が起こることとなる秘密が隠されています。「ベアトリーチェ」とはどのような存在なのか、ここに本作の真実が込められているのです。
その真実にたどり着いた戦人が「黄金の魔術師」の称号を得て、ベアトリーチェに代わり新たなゲームマスターとして六軒島殺人事件を構築します。
ちなみに、本作は先に言ったようにあくまで六軒島殺人事件が魔女の犯行か否かを争っているので、事件に関連する事柄以外の魔女の存在の有無は別物です。これを頭に入れておかないと若干受け入れがたい物語となってしまうかもしれません。
- 著者
- ["竜騎士07", "秋タカ"]
- 出版日
さて、展開編のみどころは何といっても「ベアトリーチェ」という存在の真実が明かされるというところでしょう。何度もいうように、これこそが物語の発端であり核心です。「うみねこ」は彼女の正体を明かさなければ真相へとたどり着けないのです。
そのヒントとなるものが「Episode6」にて明かされます。古戸ヱリカが赤き真実で「六軒島には18人の人間がいる」と宣言しますが、戦人とベアトリーチェは「17人だ」と宣言。
赤き真実は絶対的な真実なので、17人と18人のどちらもが正しいこととなります。ということは、ある観点からは17人、ある観点からは18人とカウントされると推察できます。ここにベアトリーチェの真実と本作の謎が秘められているのです。
この赤き真実を経て、物語は「Episode7」へと突入します。このエピソードで語られるのは人間の欲望の際限のなさ。何においても自身の利を求める人間の汚さが描かれます。
あまりにも惨い事実を右代宮家唯一の生き残りの縁寿は突きつけられ、絶望に苛まれてしまうのです。しかし、絶望に染まった縁寿に戦人が手を差し伸べます。
そして、ラストエピソード「Episode8」が戦人から縁寿へと語られます。これこそが「六軒島」で起きた出来事の真実で、「うみねこ」の核心が語られるエピソード。決して辛い話でも悲しい話でもない、最後のゲームが縁寿へと捧げられるのです。
『うみねこのなく頃に』はどのような結末を迎えるのか。ぜひとも自身の目で確かめてみてください。
- 著者
- 竜騎士07
- 出版日
- 2008-06-21
さて、ここまで「うみねこ」の作品紹介をしましたがいかがでしたか?「ひぐらし」の雰囲気を残しつつ、独特な世界観を作り上げた「うみねこ」は一見の価値ありです。
ミステリーとしてもファンタジーとしても、さまざまな楽しみ方ができる作品となっています。無料アプリ「マンガPark」にて公開中なので、この機会にぜひとも読んでみてください。
そして、物語の真相へとたどり着いてください。