多肉植物が話しかけてくる!? しかも生意気だけどなんだか可愛い! 母の経営する多肉植物専門店「PAPAS」の臨時店員となった花田章と、魔法で章と話せるようになった可愛いタニクたちとの日々を描いた『タニクちゃん』。可愛いだけでなく多肉植物を育てるための知識も学べる内容です。 この記事ではそんな本作の魅力を3つご紹介!
- 著者
- よねまる
- 出版日
- 2016-07-08
多肉植物に関する知識が何もない花田章と、たくさんの喋る多肉植物たちとの日常を描いた『タニクちゃん』。多肉植物が好きなタニラーはもちろん、ちまちました可愛いキャラクターに癒されたい人にもオススメの作品となっています。
章が何も知らないということもあり、多肉植物の育て方や種類などが丁寧に描かれているのが魅力ですね。ただ真面目に解説しているわけではなく、コメディタッチで描かれているため、楽しく読み進めることができます。
多肉植物の知識と、可愛いがたくさん詰まった本作の魅力について、ネタバレも含め紹介していきます。
母の経営する多肉植物専門店「PAPAS」の臨時店員となった花田章。多肉植物のことを何も知らない章に不安を覚え、お店のタニクたちはお花の妖精を呼び出すと、章と話せる魔法をかけてもらいます。
章はタニクちゃんたちの愛ある指導を受けながら、常連の女性・望月との恋を進展させようとタニクに協力を仰いだり、章を好きなタニクがヤキモチを妬いたり、向かいの花屋と競ったりと、多肉植物を通して周りの人との絆も深めていきます。
お花の妖精に章と話せる魔法をかけてもらった多肉植物たちが、愛情込めて厳しく章を鍛えながら、自分たちの生活の安全を心配しつつ、章との絆を深めていく本作。喋れるようなったタニクたち非常に可愛いのが魅力です。
擬人化ではなく、土に入っている部分に顔と手足が現れ、頭の部分に観葉植物の葉の部分がくるという可愛らしい姿が特徴的です。サイズは鉢に入る大きさのままなので、小さいのがわちゃわちゃとしているのがとても可愛らしいですね。
メインとして登場するのはベンケイソウ科のエケベリアデスメチアナの通称「エケベリア」と、同じくベンケイソウ科のセダム、通称「セダムちゃん」です。セダムは乙女心という園芸名がつけられていて、章にときめくと花を咲かすという特性があります。
みんなが章をいぶかしみ、不安を抱えているなか、水不足で枯れそうになっているところを章に助けられ、セダムは一目惚れをします。そのため、章が口説こうとしている常連の女性、望月にヤキモチを妬き、小さい体を目一杯使って2人の仲を邪魔しようと画策。
その妨害がうまくいくことはありませんが、ヤキモチを妬く姿や、ときめいている姿は、小さいからかどれもふわっとした柔らかい雰囲気で、とても可愛いものです。
メインのエケベリアやセダムは全身タイツを履いているような姿で描かれますが、侍のような格好をした子や、牛のような形の子など、多肉植物としての特性や名前と合わせて、タニクたちも様々な姿となって登場します。
多肉植物は変わった名前がつけられていることも多く、作中では、その名前から連想される顔つきで描かれています。しかし、植物だからか基本的にみんなゆるくのんびりとした表情をしているため、大きな木のようなタニクや、トゲトゲしいタニクも可愛らしい印象を受けますよ。
主人公の章が無知ということもあり、多肉植物の種類から育て方、植え方まで詳しい説明がされています。多肉植物の増やし方、いくつかの種類の多肉植物を一緒に植える「寄せ植え」など、長期的な付き合い方やオリジナル感を出す方法など勉強になることも。
タニクたちだけでなく、常連の望月や、章の従妹のさくらなど、タニクに詳しい人たちが出てくることで、実生活でも役立つような多肉植物のお世話の仕方を知ることができます。
多肉植物の基本的な知識はもちろんですが、多肉植物自身以外の、鉢のことなどにも作中では触れられています。
作中では使わなくなった缶をアレンジ・リメイクして使う「リメイク缶」というものが登場。ただ缶に土を詰め多肉植物を植えるのではなく、缶をペンキで塗り直したり、わざとラベルと焦がしたりするなど、アレンジ方法もたくさん載っています。
他にも、大きめの鉢に多肉植物を植え、その周りに小物を置くなど、多肉植物をインテリアとして考えたときの見せ方も多く、部屋にオシャレに緑を増やしたいという人が見ても楽しい作品となっていますよ。
- 著者
- よねまる
- 出版日
- 2016-11-08
また、多肉植物だけでなく、多肉植物と相性のいい植物との寄せ植えについての話も。多肉植物は環境が整っていれば手もかからず育てやすいですが、そうでなければすぐに弱ってしまいます。
ほぼ水やりが必要のない多肉植物と、高頻度で水やりが必要な他の植物では相性が悪く、一緒に植えるとどちらかが枯れてしまうこともありますが、比較的相性のいい、あまり水やりをしなくていい植物と多肉植物は一緒に植えることも可能で、多肉植物の鉢により華やかさを出すことができます。
多肉植物に関することもたくさん説明されていますので、多肉植物に興味のある方はぜひお手にとってみてください。
基本コメディタッチで、はちゃめちゃ愉快に物語が進んでいくので、多肉植物に詳しくない人や、タニラーほどの興味がない人でも楽しく読むことができます。
30歳を超えた男性が小さな動く植物と戯れる姿は、どこか哀愁漂うものがありますが、その小さな子たちがわちゃわちゃと動き回る姿は、どこか一生懸命で癒されるものがありますね。
また、章が基本的にゆるく、タニクたちが喋ることも普通に受け入れるような人間なため、読んでいる方もストレスなく読み進めることができます。向かいの花屋とは衝突することも多々ありますが、そのやりとりはどこか子どもの喧嘩っぽく、決して嫌な印象を抱かせません。
作品全体に悪い「負の感情」というものがないため、抵抗なく読むことができるんですね。もちろん、章にくっついてまわるタニクたちが可愛いということも要因のひとつでしょう。
他にも、出てくるタニクが全員一気に喋らないのも、読みやすさの一因となっているのではないでしょうか。
「喋れるけど…私たち一応植物でしょ? 皆じっとしてるのが好きなのよ」(『タニクちゃん』1巻より引用)
タニクたちがたくさん出てきて話すのも可愛らしくて魅力的ですが、決まった子たちがメインで話すことでまとまりが生まれ「読みやすい」「ゆるい」「可愛い」という3つの要素が揃い、癒し漫画としても魅力がある作品となっています。
実際、多肉植物を購入しなくても、作中にあるような組み合わせやリメイク缶などのデコレーションを考えるだけで、十分楽しい息抜きにもなりますよ。
- 著者
- よねまる
- 出版日
- 2017-04-08
なんだかんだと言いつつも、何かと章を手助けし章との生活を楽しむタニクたち。そんなタニクたちにすぐに絆され、タニクが好きな人「タニラー」を自称してしまうほどになった34歳ニート彼女なしの花田章。
彼らの愛が溢れる楽しくて愉快なやりとりはもちろん、多肉植物初心者でも安心して育てられるような詳しい説明が見どころの本作。
多肉植物に興味のある人が、入門書として読むのもいいですし、何かと疲れている人が、癒しを求めて読むのもいいですね。 ぜひご一読いただければと思います。
天然で素直な章と、面倒見がよく素直なタニクたちの日常を描いた本作。タニクたちの可愛い姿はもちろんですが、世話係となったエケベリアの言うことを素直に聞く章や、タニクたちの言動にキュンとする章など、章がタニラーとして成長していく姿をみるのも楽しいですよ。
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