終わりの物語

終わりの物語

更新:2021.12.2

こんにちは、ふくろうず内田です。 バンドは解散しましたが、「ふくろうず内田」として始めたホンシェルジュだったので、最後も「ふくろうず内田」として終えたいと思います。 そんなわけで今回が最終回。 最後にわたしが紹介したいのは「終わりの物語」。 過去に紹介した作品から、一冊だけ選んでみました。 改めて紹介させて下さい。

ふくろうずのヴォーカル・キーボード。内田万里(Vo, Key)、石井竜太(Gt)、安西卓丸(Ba, Vo)で2007年にふくろうず結成。2011年6月、メジャーデビュー・アルバム『砂漠の流刑地』をリリース。2015 年1月から放送されたドラマ『ワカコ酒 Season2』のオープニングテーマにミニアルバム『ベイビーインブルー』収録曲「いま何時?」が使用され、メンバーもカメオ出演して話題に。 同月には恵比寿LIQUIDROOMにてツアーファイナルが大成功。2016年4月には東京・クラブeXにて、ワンマンライブ「ふくろうずの360 ゚ライブ ~死角の無いやつら~」を開催。同じく4月に大阪・Music Club JANUSにて自主企画「プリティーツーマン~春はあげぽよ、YO!YO!白くなりゆく!?~」で、ねごとと共演し会場を盛り上げた。 7月13日にリリースされた最新アルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』は、2014年6月リリースの『マジックモーメント』以来となる作品。2017年1月からは3カ月連続企画ライブ、6月には東京・大阪で「さらば!プラネタ銀河ツアー」を開催した。9月6日には結成10周年の集大成となるニューアルバム『びゅーてぃふる』をリリース。12月24日、結成10周年を記念したライブ「ごめんね、ありがとライブ」をもって解散を発表した。 オフィシャルホームページ http://www.fukurouzu.com/
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密やかな結晶

著者
小川 洋子
出版日
1999-08-10

海に囲まれた不思議な孤島。

そこでは「物」は順番に「消滅」していきます。

例えばバラ。

「バラ」の「消滅」が始まると、「バラ」の姿形は勿論、バラにまつわる思い出全ても人々の心から「消滅」してしまいます。

そんな悲しい「消滅」が次々と起こる中で、物の「消滅」が訪れない人間も、ごくわずかにいます。

「消滅」の訪れない人間はそのことがバレてしまうと秘密警察に捕まってしまうため、記憶を失ったようなフリをして、目立たぬよう生活しています。

ある日、主人公である小説家の女は、担当編集の男から自分が「『消滅』が訪れない人間」であることを告白されます。

告白を受けた主人公は、彼を秘密警察から匿うことを決めます。

そして、二人はやがて「消滅」という運命そのものに抗うことを決めます。

悲しくて重苦しい灰色の世界に、わずかな希望がポツポツと灯って、また消えていくような、そんな儚い物語です。

わたしたちの作ってきた音楽も、いつかは「消滅」するんだと思います。

ビートルズの音楽のように、100年後も残っているとは思えません。

でも、完全に消え去ってしまうその日まで、ほんのわずかにでも良いから誰かの心の中でそっと輝いていて欲しい。

そう願っています。

そうしたら、わたしはバンドをやってきて良かったなあと思えます。


それでは、皆さん。

今まで本当にありがとうございました。

また、どこかで会いましょう!

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  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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