漫画『働かないふたり』はニートなのになぜ幸せそうなのか【ネタバレ注意】

更新:2021.11.27

ニートのふたりが主人公なのに、なんでこんなにもほっこり癒される? 『働かないふたり』は、働いていない兄妹の日常を描いた漫画です。厳しくも優しい母や、気は弱そうだけどきちんとしている父の元に生まれた、社交的なのに世に出ない兄と、極端な人見知りの妹。世間的に「ニート」と呼ばれ、後ろ暗いはずなのですが、とても幸せそうな日常を過ごしており、見ているこちらまで何だか癒されてしまいます。その理由とは何なのでしょうか? ニートを羨ましく感じつつも、なんとなく働こう!という気になる本作。この記事では、作品のあらすじとクセのある登場人物たちを紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。

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『働かないふたり』がニートなのに幸せそうな理由とは?無料で読める!【ネタバレ注意】

『働かないふたり』は働いていない、俗にいう「ニート」の兄妹の日常を描いた作品です。特にストーリー性はなく、なんでもない兄妹の日常をおもしろおかしく描きます。

作者は吉田覚。もともとは個人ブログに掲載されていた作品ですが、新潮社のWEBコミックサイト「くらげバンチ」にて連載をスタート。そしてコミックスの発売へと至りました。

そんな本作の魅力は、平凡ながらも幸せそうな兄妹の日常が描かれているところ。その様子をみるだけで、こちらまで温かな気持ちになります。また、ギャグセンスの良いものが多く、笑いが漏れてしまうでしょう。

さて、今回はなぜ兄妹はニートという状況のなかで幸せそうに笑っているのか。その理由を追求しながら『働かないふたり』の紹介をしていきましょう。本作を読めば、幸せの手がかりを掴めるかも……?

著者
吉田 覚
出版日
2014-05-09

漫画『働かないふたり』のあらすじ

著者
吉田 覚
出版日
2014-08-09

重度の対人恐怖症でどんくさい妹・春子と、社交的でさまざまな特技を持つ兄・守。まったく似ていないように思える兄妹ですが、非常に仲が良く、ふたりして「ニート」という共通点があるのです。

そんなニート兄妹や彼らの家族の日常、友人やご近所さんとの触れ合いをおもしろおかしく描きます。ニート兄妹の周囲はいつでも笑顔で溢れている!?

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働かない人①典型的なダメ人間【石井春子】

本作の主人公で、ニート兄妹の妹のほう。明言されていないため正確にわかりませんが、年齢はおそらく20歳ほど。高校卒業後、大学進学も就職もせずニートになります。

重度の対人恐怖症で、初対面の人とはまともな会話ができません。何度も接触を重ねて警戒心を解いてからようやく話せるようになります。 すでに10巻以上出ているなかで、春子とまともな交流を持っているのは家族を除いて、守の友人・丸山と隣人の倉木のみ。

ゲームが大好きで、春子にとっては兄とゲームを一緒にしている時間がいちばん幸せな時間。しかし、ニートのため新しいゲームを買うお金がないので、持っているゲームのほとんどは古いゲームです。

著者
吉田 覚
出版日
2014-11-08

そんなコミュ障ニートのダメ人間な春子にも特技があります。その特技とは占いです。本人にすれば適当に占い、適当に答えているのですが恐ろしいほどの的中率を誇ります。あまりにも的中しすぎて、もはや予知のレベルです。普段は人畜無害ながらも占いにおいては、丸山と倉木から畏怖されています。

また、母いわく唯一の長所は「胸が大きい」という点。そのため、どうにか誰かに引き取ってもらうために花嫁修業を積ませています。

このように見れば典型的なダメニートですが、根は優しい女の子。周囲から浮いてしまっている人に波長を合わせることができるのです。そのなかに、現在でも交流を持つ者もいます。意外に春子に救われたという人物は作中に少なくありません。

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働かない人②エリートなニート、略してエニート【石井守】

本作のもうひとりの主人公で、ニート兄妹の兄のほう。春子の4つ上の年齢のため、おそらく24歳ほど。

高校卒業後はフリーターをしながら各国を放浪していました。さまざまな国の文化や空気に触れた結果、家が一番だと思いフリーターを辞めてニートへと転身したのです。ちなみに、一番楽しかった地はハワイといっています。

しかし、ニートでありながら高い社交性を持ちます。そのため友人が意外と多く、そのうちの親しい丸山と遠藤とは今でも交流があり、頻繁に石井家を訪れます。

著者
吉田 覚
出版日
2015-04-09

また、手先が器用、芸術のセンスがあるなどかなりハイスペック。その才能は漫画で小さいながらも賞を獲るほど。さらには地元のサッカー部では有名な選手だったなど優秀な描写が多い人物です。

周囲は守がニートであることを不思議がっていますが、父は今の状況も守なりの考えがあるのでは、とかなりの信頼をおかれています。

そんな完璧ニートの守ですが、春子同様に、いちばん幸せそうなのは家で春子と遊んでいる時。正反対でまったく似ていない兄妹ですが、けっきょくは似た者同士なのです。

ニートなのに幸せそうな理由:自分と向き合ってくれる人がいる

ニートのだらしない日々を過ごす兄妹。本来のニートを描く漫画ならば、焦燥感や現実とのギャップに苦しんでしまうはずです。しかし、本作のふたりは実に幸せそう。ふたりが幸せにみえる理由とはいったい何なのでしょうか。

その理由としてあげられるのが互いの存在です。決して傷を舐め合っているわけではなく、兄は妹を、妹は兄を認めて信頼しています。信頼したうえで、互いをしっかり理解しているのです。

だからこそ、自分の素を出すことができ、毎日がとても楽しいものとなるのでしょう。

著者
吉田 覚
出版日
2015-07-09

さらにふたりを理解しているのはお互いだけではありません。両親も長い間ふたりを育てているだけあり、しっかりと理解しています。

父は一見甘やかしているようで、子供をひとりの人間とみて受け止めています。そして母も一見厳しいようで、そのうちには優しさが秘められています。非常に温かな家族なので、ふたりは幸せに過ごしていけるのです。

また、ふたりの友人もニートという欠点ばかりに目を向けずに、ふたりの長所をしっかりと把握し、ニートという存在ではなく石井春子、石井守としてみているのです。

このように、自分と向き合い理解してくれる人の存在が本作の幸せそうな雰囲気を作っているのではないでしょうか。

ひとりで幸せになることは非常に難しい。しかし、多くの人に囲まれることで、さまざまな視点から「幸せ」を考えることができるのです。


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守の才能が眩しすぎる!?【12巻ネタバレ】

相変わらずの日常を家族や友人と過ごすニート兄妹。いつものごとく家でまったり遊んだり、知り合いの巨乳外国人とサッカーをしたりと楽しい日々を過ごします。

そんな日々のなか、守は父に会社の部下で守と同じく読書の趣味を持つ女性・戸川と交流を持つようになりました。2人の話題はもっぱら読書についてですが、戸川はユニークな守に多大な興味を持つようになったのです。

著者
吉田 覚
出版日
2017-10-07

ある日、戸川は自作の小説の制作協力を守に頼みました。自身が文章、守が絵を担当し同人誌即売会に出店したいと相談を持ち掛けたのです。

守は快諾し、今互いに書いている作品を見せ合うこととなりました。まずは戸川が守の漫画に目を通したのですが、戸川の顔がなぜか曇ったのです。そして、戸川は自身の作品を見せることなく、いそいそと帰ってしまいました。

そんな戸川の帰り際の顔は失望ではなく、悲しいような自身の才能を呪うような顔をしており……。

恋愛要素皆無の本作のなかで、唯一男と女のような描写で描かれるのが守と戸川。そんな関係の2人がさらに距離を縮める展開かと思いきや、むしろ遠ざかってしまう結果に。

戸川の胸中にはいったい何が渦巻いているのでしょうか。多くの幸せな様子を描く本作に暗雲が立ち込める展開になっています。はたして、守は戸川の曇った顔を笑顔にすることができるのか!?


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ニート兄妹の幸せそうな日々を描いた『働かないふたり』。ぜひとも本作から幸せのおすそ分けをもらってください。

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