物語を楽しみながら麻雀の戦術が身に付く『打姫オバカミーコ』がスマホの漫画アプリで無料で読めます。この記事ではその魅力をたっぷり紹介します。
- 著者
- 片山 まさゆき
- 出版日
- 2004-11-27
『打姫オバカミーコ』は麻雀漫画のバイブル!麻雀覚えたての初心者から、麻雀に馴れてきた中級者はもちろん、熟練の打ち手にまでおすすめできます。麻雀界の元トッププロ波溜をはじめとする登場人物による教訓はとにかく役に立つこと間違いなし!本記事では片山まさゆき自慢の本作を紹介します。
麻雀の世界において風王戦を制し、トッププロに躍り出た波溜晴(なみだめ はる)。しかしある出来事をきっかけに、その道の歩みをやめることを決意します。
その時たまたま居合わせた丘葉未唯子(おかば みいこ、以下ミーコ)は麻雀プロにも関わらず打ち方はだめだめ。波溜を見つけたミーコは麻雀の上達を目指し、波溜を師匠と呼びはじめます。
一度は麻雀を諦めた熟練の波溜と素直で真っ直ぐな性格のミーコ、対照的な2人がともに麻雀に向き合う物語です。
- 著者
- 片山 まさゆき
- 出版日
- 2005-04-27
『打姫オバカミーコ』の作者・片山まさゆきは本作の他に多数の麻雀漫画を描いてきました。
麻雀の実力は確かなもので、なんと漫画家でありながら「第一期麻雀最強戦」で初代最強位を獲得するほど。
麻雀を始めたときは友だちの中で特に負け続けていましたが、それでも麻雀を続け、今に至ると言います。
そんな片山まさゆきが描いたオバカミーコの負けっぱなしの姿、それでもなお麻雀を楽しんでいる姿は本人の投影なのかもしれません。だからこそ、中級者以下の方が麻雀をより楽しんでもらえるような漫画を描けたのでしょうか。
「これを読め!と自信をもっていえる戦術書がどこにもない!」(『打姫オバカミーコ』1巻)
そうして描けた本作は皆に愛されるバイブルになりました。
片山まさゆきの麻雀漫画を紹介した<片山まさゆきの麻雀漫画おすすめ6選!最強の漫画家雀士!>もおすすめです。
麻雀には戦術がつきものです。世に出ている麻雀漫画の登場人物の多くも様々な戦術を用いて読者を魅了します。しかしそれには非常に高度なもの、実際には役に立たないものも多く含まれています。
本作の特徴は戦術の手ほどきの丁寧さです。
学ぶ側であるミーコが麻雀のルールとちょっとしたテクニックを知っている程度の初心者であり、そのミーコを上達させることに主眼を置いた物語なので、私たち読者はミーコの立場で麻雀を教わることができます。
漫画の前半部分のほとんどは1話につき1つの「麻雀がうまくなるポイント」が明記されているため、読み進めるだけで麻雀のテクニックが身につくようになっています。
加えて、麻雀に関する知識のみならず、勝負において重要な精神面のコントロールにも時折触れているため、より実践に即した内容が手に入るのです。
ただ知識を教えるだけではありません。波溜はミーコへのアドバイスには必ずと言っていいほど具体例を持ち出すので、1つ1つの説明に説得力があります。
さらには波溜のアドバイスに留まらず、波溜の宿敵である我鷹愁(がたか しゅう)が弟子たちに与えるアドバイスまで麻雀の教訓として読者に届きます。麻雀の1打の説明を「牌効率」という言葉で済ませた弟子に対し我鷹は檄を飛ばします。
「そんな言葉はおまえが1牌もたがわず牌効率で打てるようになってから口にしろ!」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
厳しい言葉ですが、波溜の説明と同様、実践の麻雀では大切なことではないでしょうか。
上記したように、本作は麻雀初心者と呼んでもいい実力のミーコの成長を描く物語です。その実力のほどが伺えるセリフがこちら。
「でも私麻雀で勝ったことないの…」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
こんなプロ雀士、聞いたことがありません。
さらにかなりの「オバカ」であるため、テクニックを身につけるのも一苦労です。よくあるフィクション作品では登場人物の突然のレベルアップが多々ありますが、ミーコはまるで身近にいる普通の初心者のように1つ1つ、ゆっくり学んでいきます。
ミーコと出会ったばかりの波溜は簡単に覚えられるようなアドバイスからはじめます。例えば、以下のアドバイスは単純でありながら、麻雀の戦術上非常に重要です。
「先手 良形 高得点 このうち2条件がそろったら押せ」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
「後手 悪形 安手 このうち2条件がそろったら引け」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
そしてミーコの麻雀上達に合わせて、徐々に指南のレベルを上げるのです。
「遠くて安い鳴きこそ麻雀のタブーランキング2位だ!」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
波溜はこのように言い、やってはいけない戦い方を強調して指導します。しかしランキングと言われれば1位が気になるでしょう。しかし波溜は言うべきことを分かっています。
「マジでこれ以上は覚えらんないからダメだ」(『打姫オバカミーコ』1巻より引用)
ミーコ、さらには読者に対する注意深い配慮が行き届いていることが分かる一言です。
物語が進むほど指南の内容も高度になっていきます。
「キメ手はリーチ!かわし手はダマ!」
「キメ手はその半荘を決定づけるアガリ ハイリスクハイリターンでよし 相手を抑えつけてアガリに結びつく展開もある」
「しかしかわし手を相手のキメ手にわざわざぶつけることはない」(『打姫オバカミーコ』3巻より引用)
本作を読み終わった頃にはさまざまな麻雀テクニックを覚えていること間違いなし。読み直すほど味が出る教訓も多く含まれているため、繰り返し読んでも楽しめます。
ここまでは『打姫オバカミーコ』で紹介される戦術やその分かりやすさを紹介しましたが、本作の魅力はストーリーやキャラにも宿ります。ミーコの成長はすべてが順風満帆ではありません。
時には波溜と仲たがいを起こしたり、思いがすれ違ったりして、うまくいかないときも……。
その時の波溜とミーコが何を考え、どんな行動に出るのかは、本作の大きな見どころです。
「お前はプロだ 誇りを持て そして毎日少しずつでも前へ進め! いくら売れても誇りを失ったら ただの偽物だ!」(『打姫オバカミーコ』4巻より引用)
「ミーコ おまえはばくち打ちじゃない 競技プロだ その誇りを持て」(『打姫オバカミーコ』5巻より引用)
- 著者
- 片山 まさゆき
- 出版日
- 2010-02-26
同卓する相手との間にどれだけ実力差があろうと、どんな不利な状況に立たされても、毎日切磋琢磨して続ける努力に誇りを持つことが大切だと思い知らされます。
「繊細と大胆 闘争心と冷静 素直さと猜疑心 鋭さと鈍さ 矛盾している二面性を内包してる打ち手 それが最強だ」(『打姫オバカミーコ』4巻より引用)
「そうさ時には麻雀は 愚直でいいんだ!」(『打姫オバカミーコ』5巻より引用)
「大事なのはミスした後のリカバリーだ」(『打姫オバカミーコ』7巻より引用)
麻雀はひとつの決まった答えがない競技、運が勝負を左右する競技だとよく表現されます。だからこそ状況に応じて打ち方を判断し、時には愚直に打つこともある、という教訓です。
この2人だけではありません。波溜とミーコの前に時には立ちはだかり、時には協力してくれる登場人物が多くいます。我鷹が作る派閥との争いや五条豊(ごじょう ゆたか)との交流に目をつけると、ストーリーをより楽しめるでしょう。
『打姫オバカミーコ』が実写映画化が決定しました。またABEMAで独占先行配信もされるそうです。
主人公の丘場未唯子をSKE48の須田亜香里が、波溜晴を萩原聖人が演じることが決まっています。
須田亜香里はプロ麻雀リーグ番組『熱闘!Mリーグ』でアシスタントMCを務めており、萩原聖人は俳優として活躍しながらもプロの雀士としても活動しており、麻雀に縁と愛がある二人。
Mリーグの現役雀士も今後追加で出演する予定だそうで、麻雀ファンにとっては特に見逃せない作品になりますね。
いかがでしたでしょうか。麻雀を少しでも知っている人、麻雀が上手になりたいと思っている人におすすめの作品です。スマホの漫画アプリで無料で見れるのでぜひチェックしてみてください。