弐瓶勉が描く独特の世界観が話題の『人形の国』のあらすじと魅力をネタバレ紹介!『人形の国』は人口の天体・アポシムズを舞台に、世界で蔓延している病気とその裏で世界を支配する帝国と戦うダーク・ファンタジーです。人間が機械の体に変わってしまう恐ろしい病「人形病」。主人公のエスローは、故郷を滅ぼし今も近隣諸国を脅かすリベドア帝国と戦うため旅に出るのです。 今回はそんなアニメ化も期待されるSFファンタジー『人形の国』をネタバレ有で紹介していきます。
人口天体「アポシムズ」。大昔に発生した戦争に負けた人々は、正当な居住権を失って極寒の地へ追いやられていました。
そこには恐ろしくて攻撃的な兵器「自動機械」や、「人形病」という奇怪な病気が蔓延していましたが、彼らはなんとか生き延びていました……。
『BLAME!』や『シドニアの騎士』などを描いた弐瓶勉が、新たに手掛けた冒険譚。セリフは最低限で、その世界観に1ページ目から引き込まれてしまうはずです。
人間が機会になってしまうというディストピアを舞台に繰り広げられる物語。2021年6月現在アニメ化の情報は発表されていませんが重厚なストーリーとち密な世界観には注目が集まっています。
この記事ではそんな本作の魅力と見どころを紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
弐瓶勉のおすすめ作品を紹介した<弐瓶勉のおすすめ漫画5選!『人形の国』などSF作品が魅力>もぜひご覧ください。
- 著者
- 弐瓶 勉
- 出版日
- 2017-05-09
人口天体「アポシムズ」は、その体積の大半は殻で覆われた地底空間。50世紀前に「地底」との戦争に敗れた人類は、正当な居住権を失って、極寒な「地表」に取り残されていました。
また「遺跡層」には「自動機械」が存在し、「人形病」という奇怪な病気も蔓延しています。
主人公のエスローも、そんな地表で暮らすひとり。遺跡層を探索していたある日、タイターニアという少女に出会い、彼女に託されていた「コード」と「弾丸」で、大きく運命を変えていくのです……。
『人形の国』の見どころは、なんといってもその「世界観」でしょう。大抵の漫画は序盤に物語の解説が入りますが、本作では細かな設定が一切ありません。
聞いたことのない単語が突然出てきますが、読者が当然それを知っているかのごとく物語が進んでいくのです。ともすれば読者が置き去り、物語に入り込みづらい、意味が分からない……という評価がされそうな構成ですが、『人形の国』だとなぜか「引き込まれて」しまいます。
まるで自分がこの世界の住人のような錯覚に陥り、「そういうものなのだ」と納得してしまう。これこそ、作者の弐瓶勉の表現力が成すものなのでしょう。
1巻の冒頭にある、世界観の説明表現がこちら。
「直径十二万キロメートルの人口天体アポシムズ
その体積の大半は超構造体の殻で覆われた地底空間である
五十世紀前 地底との戦争に敗れた人々は
アポシムズでの正当な居住権を失い極寒の地表に取り残された
蔓延する人形病 遺跡層に頻出する攻撃的な自動機械
人々はそれでもなんとか生き続けていた」(『人形の国』1巻より引用)
背景に荒廃した世界を描き、この数行の説明だけで一気に作品の世界に引き込まれていくのが分かるでしょうか。
この後、間を置かずエスローたちが地上で生き残るための日常が描かれていきます。
もうひとつの見どころが、「タイターニアの目的」です。彼女はエスローを助けてくれたうえ、協力もしてくれる命の恩人なのですが、その目的はいまのところはっきりと語られていません。
読者の想像にゆだねられているのですが、この「考察」できる余地が、大きな魅力になっているのでしょう。
彼女を追っている帝国軍側は「生がて捕らえようとしてきた」と発言したり、それなのに破壊しようとしたりと、彼女自身に何かあるというよりは彼女が持っている「何か」に秘密がありそうです。
これを必死に守り、行きずりとはいえエスローを「転生者」に変化させて帝国軍と対立するための力を授けたのには、何かしら裏があるのでしょう。
謎がたくさん散りばめられ、まだ答えがわからないものがたくさん。だからこそ考察が捗り、続きが気になる展開です。
主人公のエスローは、「アポシムズ」という人口天体の地表に生きる人類です。アポシムズは「地表」「遺跡層」「中央制御層」の3つの層に分かれていて、地表は1番外側。別名「極寒の地」とも呼ばれています。
空気も薄く、食べ物も十分に存在しない荒廃した土地で、さらに人類を襲う「自動機械」や奇怪な病気「人形病」が蔓延している非常に危ない場所です。地表に生きる人たちは、ひとつ下の「遺跡層」に潜り、空気と食べ物を採取して生きていました。
物語は、エスローらが「遺跡層」へ向かい、食料を採取しているところから始まります。その移動中、タイターニアという少女が「リべドア帝国」の兵隊に襲われているところに居合わせました。
エスローは帝国軍に発砲し、無事に救出します。するとタイターニアから何かを手渡され、彼女は小さな機械になってしまうのです。
タイターニアが手渡したのは、「弾丸」と「コード」と呼ばれる物体。この2つを所持していることで、エスローたちは帝国軍から目を付けられ、そして仲間を皆殺しにされてしまいました。
その後エスローは、「コード」を使って「転生者」となり窮地を脱し、敵討ちをしていきます。
- 著者
- 弐瓶 勉
- 出版日
- 2017-05-09
かわいい少女の姿から、小さな機械になってしまったタイターニア。彼女はどうやら「折り畳み式・自動人形」というもので、四足歩行の動物の骨のような見た目をしています。
彼女はアポシムズの「中央制御層」からやってきたそうで、「リベドア帝国軍」から執拗に追われていることから、物語のキーになっていることは間違いありません。急に姿が変わる、というだけでもただ者ではないことがわかります。
帝国軍は彼女の持つ「何か」を狙っていて、それは帝国軍の目的である「中央制御層」への侵入と、追いやられた人類の解放を果たすために必要なものだそう。
この目的だけ聞くと、極寒の地に追いやられた人類のための行動で、エスローたちの味方であるようにも思えるのですが……果たして真相はどうなのでしょうか。
仲間を殺されてしまったエスローの敵討ちの行方、タイターニアの目的の謎も気になるところです。
前巻でタイターニアを狙う帝国軍のひとりと戦い、「転生者」と呼ばれる存在になったエスロー。かっこいいロボットのような姿に変身して戦います。
ここで気になるのは、帝国軍の「もうそこまで取り込まれたか」という発言。タイターニアの持っていた「コード」によって姿が変わっているとばかり思っていましたが、この裏にも実は重大な何かがあるのかもしれません。
2巻では、ケーシャという少女が新しく登場します。彼女は「元素使い」という能力を持った「正規人形」だそう。となると、エスローが持っている能力も気になるところです。
- 著者
- 弐瓶 勉
- 出版日
- 2018-02-09
国の命令を受けてタイターニアを狙うケーシャ。エスローと共闘関係を組みます。また彼の仲間が捕虜として帝国軍に捕らえられていることもわかり、物語が大きく動き出しました。
しかもその仲間は記憶がなくなっていて、エスローと敵対してしまうのです。実はこれ、帝国軍兵士の策略なのですが……。
精神的に追い詰められていくエスローの今後に注目していきましょう。
弐瓶勉ワールド全開の『人形の国』。1ページ目からその世界観に引き込まれ、散りばめられた多くの謎に今後も目が離せない作品です。ぜひ実際にお手に取ってみてください。