周囲の人間に「巫女力」があると言われる大宮エリー。彼女の作品は笑えるものも泣けるものも、きれいな水が流れたような読後感が味わえます。今日はそんな心の浄化ができる4作品をご紹介します。
大宮エリーは1975年、大阪府生まれのクリエイターです。東京大学薬学部卒業後、大手広告代理店 電通を経て独立、2016年現在は大宮エリー事務所に所属しています。その仕事内容は多岐にわたり、脚本家、CMディレクター、映画監督、ライター、ラジオパーソナリティなど様々です。
大宮エリーは働く理由を「居場所を見つけるため」だと話します。順風満帆なように見える経歴を持つ彼女ですが、薬学部でも企業でも適正を見つけられずに悩んでいました。だからこそ、チャンスを与えてくれるなら断らず、いろいろな仕事で人に求められていたいと言います。
大宮エリーの人に必要とされたいという強い気持ちは確実に良い方に作用し、どの作品も「人のために」というサービス精神の高いものとなっていると言えるでしょう。
大宮エリー初の書籍です。ダサくて情けなくて、でもとってもパワフルで面白い彼女の魅力が詰まったドタバタ劇は、文章の本なのに声をあげて笑ってしまうくらい。ギャグ漫画を読むように何も考えずにさーっと読めば、あり得ない彼女の言動に笑えて、おかんとのエピソードにほっこりして、気持ちが明るくなること間違いなしです!
- 著者
- 大宮 エリー
- 出版日
- 2010-04-09
大宮エリー自身はそれほど熱心な読書家ではないといいます。小説なども読むけれど、疲れてても軽く読めるものになりがちとのこと。この本はまさにそんな元気付け方をしてくれる本です。よく元気のない人、うつの人から励まされたという言葉を頂くらしい本書はまさに、無気力状態で何もしたくない人におすすめ。大宮エリーの笑えるエッセイ集はこの後も数冊出されていますが、全て一気に読めてしまう不思議な本です!
自分で買って笑ったあとは、最近なんだか元気のないあの人にそっと渡してあげましょう。好意のしるしに3本のフィンガーチョコを添えて。
大宮エリーがパーソナリティを務めたTOKYO FM「STYLE CAFE」を単行本化したものです。うさぎ編のバージョンもあります。かめ編は大島美幸、鈴木おさむ、中村達也、中納良恵、小泉今日子との対談がまとめられています。本当の自分の部屋に呼んで行ったというインタビューは、大宮エリーの独特なアプローチが面白い内容となっています。
- 著者
- 大宮 エリー
- 出版日
中でも大島美幸と鈴木おさむ、ふたりそれぞれの角度からみた夫婦像は面白くて可愛いものです。この夫婦はラブラブエピソードを書いた本でも話題です。そんなおもしろ夫婦の愛のあり方に大宮エリーが迫ります。人を素にさせ、本質を表すような言葉を引き出せる彼女との会話の中には、心にしみる名言が多く出ています。
もちろん他の方とのインタビューもその本質を引き出した興味深いものとなっています。希少物質大宮エリーが混じり合って起こる、人と人との化学反応が楽しいインタビュー集です。
名作の童話のセオリーにならい、普遍的なテーマを愛らしく物語にした大人の絵本です。「働く人を元気に」というまっすぐなテーマとシンプルな言葉を使って書かれてるので、読みやすく伝わりやすく、大宮エリーの会社時代の経験が活きたまとまりのよいものになっています。
一見するとありきたりなようですが、そこは大人の絵本。大きなテーマは人間の残酷さです。
本のタイトルにもなった「猫のマルモ」のエピソードでは、出世欲や嫉妬、人からの評価、疑心暗鬼など、そのまま小説にしてしまうと重いテーマを「猫の世界のおはなし」として抽象化しています。そしてハッピーエンドで結び、視点を変えることで自分の心を守れるんだ、と伝えてきます。
- 著者
- 大宮 エリー
- 出版日
- 2015-04-15
何よりこの本の良いところは、読んだ人に良くなってほしいという大宮エリーの想いの熱量が伝わってくるところです。最後のあとがきではそれぞれの物語への補足があります。物語に補足とは反則なのではないかと思いますが、少しでも伝わるように、役立ててもらえるようにと一生懸命に全て出し切ろうとする大宮エリーの人柄が伺える、どこまでもやさしい本になっています。
ギャグエッセイを書くことが多かった大宮エリー初の詩と短編集です。語りかけるような飾らない表現の詩の跡に、不思議な物語が続く形になっています。空から降ってくる白い箱、霧の中の平均台などのモチーフが軸になります。
本を進めていくと、清潔で安心できる場所にいるような錯覚にとらわれます。それは大宮エリーの温かい心の中にいるような感覚。心の中だから幻想的で、でも少し冴えない表現や実直すぎる言葉に彼女の生きてきた現実が見えます。そんなふたつの世界を行き来するような不思議な本になっています。
- 著者
- 大宮 エリー
- 出版日
- 2014-11-07
大宮エリーが、この本を自分にとっては恥ずかしい本だと言うように、彼女の想いのエッセンスが赤裸々に描かれています。
彼女の本はいつも読者に歩み寄りがあり、この本も自己表現だけのものではありません。思いを伝えるということは自分の思いが分かってなくては伝わらない、だから自分を大事にしてほしいという深い愛を感じます。人の心を、自分の心を大事にしたくなる作品です。
いかがでしたか?大宮エリーの本はいつも、そんなにまっすぐに優しくされたら元気にならない訳ないと思えます。大人になって掛け値なく優しくしてもらえてると感じられる瞬間はそうありません。この本で疲れた心を甘やかしてあげましょう。