スパイスカレー好き必見! スパイスが学べる本

更新:2021.12.13

こんにちは、毎回料理をテーマに本を紹介している長塚です。 さて、この夏私がはまったものといえば「インド料理」です。ともに「定食」を指す北インドのターリー、南インドのミールスは、ステンレスの大皿もしくはバナナの葉に、カレーやスープ、野菜炒め、豆料理、ライスやナンなどが並び、それはそれは目にも楽しく食べておいしいプレートです。(同じインドでも北と南で全然違います!) 今回はそんなインド料理に端を発し、寒い冬にむけて身体も暖めてくれそうな「スパイス」をテーマにした料理の本を集めました。

ブックカルテ リンク

まずは4種類のスパイスを極める。

著者
東京スパイス番長
出版日
2013-06-07

もうこの表紙からぐっとくる『東京スパイス番長のスパイスカレー』は、数々のカレー本を出版している東京カリ〜番長こと水野仁輔さん他、4人で結成された東京スパイス番長による1冊。
4人中3人がインド人、もしくはインドにルーツを持つという彼らは子供の頃からスパイスとともに育ったそう。インド料理を思い浮かべる時、なんだかたくさんのスパイスを調合していそうなイメージがあるけれど、この本を最初にお薦めする理由は、使っているスパイスがたったの4つというところ。

4つだけならきちんと揃えて作ってみようという気持ちがワクワク盛り上がってきます。
しかもレシピを見ると、インドを代表するチキンカレーに始まり、ほうれん草や豆のカレー、スープにタンドリーチキン、サブジ(野菜の炒め物)と一通りのメニューが登場。私もまずはチキンカレーを作ってみたけれど、普段のルーを使うよりもしかして簡単かも、という手順ながらスパイスがきいたなかなかおいしいカレーができました!玉ねぎの炒め方など、ここぞというポイントも丁寧に解説されています。

カレーのレシピブック迷うほどある中から。

著者
坂田 阿希子
出版日
2015-06-05

次に紹介する本は料理家坂田阿希子さんの『カレーが食べたくなったら』です。
ホンシェルジュでも一度はカレーをテーマに本を紹介しようかなと思いつつ、カレーの本はとにかく多種多様にあります。今回はカレーそのものよりも、スパイス(そしてインド料理)にフォーカスしているので、カレー本の中からこちらをセレクトしました。

タイトルに「スパイス」の文字はありませんが、表紙をめくると現れるのは、まさに鍋でクミンシードとカルダモンを炒めている写真。実はこの本はタイ風カレー、欧風カレー、おうちカレーと様々なカレーのレシピが楽しめる1冊ですが、前半半分ほどがインドカレーのレシピなのです。
そこにはカルダモンやココナッツミルクを合わせたチキンカレーや、ピスタチオ、アーモンドを使った辛いカシミールチキンカレーの他、ナンやチャパティのレシピもあり、個人的には、友人が集まる時に何種類か作ってみんなで食べたら楽しそうだな、と思っている1冊です。
 

スパイス上級者におすすめ。

著者
香取 薫
出版日
2015-07-30

ちょうどこのコラムを書くのと前後して、南インド料理店に何度か足を運ぶ機会がありました。レシピブックを眺めたり、いくつかは実際に作ったりもしたので、お店で食べた時に「あ、これはマスタードシードだなぁ」とか「ムング(緑豆)かな、これ」などと、ちょっと味が想像つくのも楽しかったのですが、スパイスの世界はまだまだ奥深く。

もしかしたら見たことがない食材やスパイスも出てくる、そんな1冊が『家庭で作れる南インドのカレーとスパイス料理』です。著者の香取薫さんはインド・スパイス研究家で、長いこと南インドの各地を訪ねて研究したというレシピが並ぶ本格的な1冊。例えばタマリンド(酸味のある果実)や、カレーリーフ(ハーブ)、カスーリーメーティー(マメ科の植物)など現地ではかかせない、でも日本人にはなじみがないのではと思われる食材も登場します。
カレーというよりは、むしろ野菜のおかずが多く、いかに日々、スパイスでおいしく野菜を食べるかという現地の暮らしをかいま見るような1冊です。南インド料理店でみかけるドーサ(クレープのようなもの)やワダ(豆のフライ、ドーナツのよう)なども紹介されています。

インドの食文化について興味が沸いたなら。

著者
渡辺玲
出版日
2012-08-08

渡辺玲さんの『誰も知らないインド料理』は、南インド料理ブームどころか、タイやベトナムなどエスニック料理すら今ほどは一般的でなかった1997年にもともと書かれた1冊。それを2012年に文庫版にするにあたり、レシピ、特に材料や作り方が大幅に書き改められました。始めに16ページの写真ばかりの部分があるのですが、本文に登場する料理がレシピ名とともにわかりやすく紹介されていて、この部分だけでも、ちょっとわかりにくいインド料理のメニュー名に親しむことができます。

驚くべきなのはその本文。一体インド料理とはどんなものなのか? 北と南ではどんな風に料理が違ってそれはなぜなのか? もちろんスパイスの役割や揃え方、調理器具についてのコラムに並んで、しっかりと現地の様々なレシピが紹介されています。本文に写真はないものの、非常にわかりやすい文章で、北インドのカレーやサブジにはじまり、南インドのポリヤル(野菜炒め)、ごはんのバリエーション、ティファン(軽食)などなど、とりあえずこれ一冊あれば、インドの基本はあらか押さえられるのではという充実ぶり。ついつい何度もめくって読み返してしまいます。
 

最後に世界のスパイス使いを。

著者
iina
出版日
2014-08-07

インドでのスパイス使いが、一つには野菜をおいしく食べる知恵だとしたら、『野菜、スパイスで世界の菜食ごはん』には、スパイスでいつもの食材にちょっと違った味わいを加える、そんなレシピが紹介されています。

インドをはじめ、タイやベトナム、そしてモロッコなどスパイス豊富な国々はもちろん、スペイン、フランスなどヨーロッパに加え、ハワイ、アメリカと計13カ国、紹介されるスパイスは20種類ほど。おにぎりにまぶしたり、冷や奴に散らすなんて和なメニューも登場します。わさびや山椒といった、日本人になじみのあるものからスパイス生活をはじめてみるのもいいかもしれません。

食べ慣れない、使い慣れないとなんだか手が出にくいスパイス。でも、南インドをはじめ、野菜に使われる見事なスパイス使いをみると、意外にも日本人は親しみやすいのでは?と思います。お気に入りの1冊、お気に入りのスパイスが見つかりますように。

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