川村元気のおすすめ本4選!映画脚本家として活躍する男の仕事術や小説など

更新:2021.11.13

「電車男」「モテキ」「君の名は。」など爆発的ヒットとなった映画をプロデュースする川村元気。小説を書いてみたら、そちらもたちまち人気となりました。マルチな才能を発揮する川村の著作のなかでも、とくにおすすめのものを厳選してご紹介していきます。

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川村元気とは

 

映画プロデューサーとして日本の映画界のトップをはしり、世界にもその名を広げている川村元気。2005年に弱冠26歳で手掛けた「電車男」をはじめ、「告白」「悪人」「モテキ」「君の名は。」など数々のヒット作を生み出しています。

小説家として活動をはじめたのは、2012年のこと。『世界から猫が消えたなら』でデビューしました。2016年に映画化されたほか、絵本『ムーム』もアニメ映画化され、30を超える国際映画賞を受賞しています。

2018年には2作目の小説である『億男』の映画化も決まり、さらに追い風に乗っているといえるでしょう。アンテナを高く張り、常に話題の最先端にいる川村の作品のなかからおすすめのものを厳選してご紹介します。

 

川村元気のインタビュー集『仕事。』

本書は、26歳という若さでヒット映画「電車男」を生み出した川村の、仕事に関する「感覚」を語った作品です。前半は川村自身が行ったインタビュー集、後半はそれに対する彼の意見が述べられています。

仕事に対する姿勢や考え方など、働くことに悩む若者にぜひ読んでほしい一冊です。

著者
川村 元気
出版日
2014-09-24

見どころは、川村がインタビューした「偉大な働く人」の意見と、彼自身の意見のギャップです。

働くということは、「ある程度の無理をしなければならないこと」「歯を食いしばってやるもの」。読者のなかでも多くの人がこのように考えているのではないでしょうか。もちろん「偉大な働く人」たちも、おおよそがこのように述べていました。

しかし川村は、彼らの意見を貴重なものだとしながらも、こう言っているのです。

「ただ、同時に思った。もはや時代が違うのかもしれない」(『仕事。』より引用)

前時代的な考え方は確かに正しい、しかしすべての人にその考えが当てはまるわけではないし、すべての人にとってその考えが正解なわけでもありません。現状の働き方に疑問を感じている方に、一歩踏み出す勇気を与えてくれる一冊です。
 

川村元気が描くお金の問題。映画化も決定したヒット作『億男』

2014年から雑誌「BRUTUS」で連載をしていた、川村の2作目の小説です。2016年に中国での映画化が決定、さらに日本でも2018年の映画公開が決まっています。

宝くじに当選し、突然億万長者となった男の物語です。
 

著者
川村 元気
出版日
2014-10-15

主人公は、昼は図書館司書、夜はパン工場で働く一男という男性。兄の借金を背負い懸命に暮らしていますが、愛する妻とは借金のせいで、別居を余儀なくされていました。

そんな彼が、たまたま買った宝くじが当選し、ある日3億円を手に入れるのです。しかし急に手元に入ってきた大金に不安になり、幼馴染の九十九に相談しました。すると翌日、九十九と3億円が消えているので大慌て。

幼馴染と3億円を探すためにさまざまな出会いをくり返し、そのなかで「お金」についてあらためて考えていきます。

 

お金に関するトラブルは大なり小なり誰しも経験しているのではないでしょうか。何に使うべきなのか、どうやって使うべきなのか……子供が成長するのとは違い、大人になってから価値観を変えるのは難しいもの。一男が自分の人生を丸ごと考えなおすのと一緒に、読者もあらためて自分の生活を見直したくなる作品です。
 

 

文系と理系の違いって?『理系に学ぶ。』

上智大学の文学部を卒業した川村元気。文系として学生時代を過ごした彼が、理系界のトップをはしる人たちにインタビューをしたものをまとめた一冊です。

「理系」の人はどんなふうに日々を生き、どんなふうに物事を考えているのか。「文系」とは何が違うのか……思考の違いに触れてみませんか。
 

著者
川村 元気
出版日
2016-04-22

無いモノねだりかもしれませんが、文系を選択した人なら1度は理系に憧れることがあるのではないでしょうか。就職先の選択肢も広がりそうだし、その一方で一定分野のスペシャリストにもなれそうです。

川村も、多くの人と同じように「理系コンプレックス」を抱えていました。

しかしすべてのインタビューを終えた後、彼が導き出した答えは次のようなものでした。

「理系と文系は、同じ山を違う道から登っているだけだ」(『理系に学ぶ。』より引用)

文系は創造的な分野を扱い、理系はロジックにより解決する分野を扱うと思われがちですが、理系にも新たな創造的な部分があって、文系にもロジックに則った考え方があります。ただ「やり方」が違うだけ。ものごとをくくらないことの大切さがわかります。

川村元気の絵本『ムーム』

2014年に発表された絵本で、詩人・谷川俊太郎も大絶賛した作品です。

「思い出のかたまり」であるムームの切ないけれども幸せな日々を描き、子供だけでなく読み聴かせる大人も泣けてしまう感動作になっています。
 

著者
かわむら げんき
出版日
2014-06-20

主人公は「思い出のかたまり」が形になったというムーム。クマのような頭とクリーム色の肌が特徴です。

ムームは、捨てられてしまった物に宿っていた思い出を、浄化して空に返す仕事をしています。湖の底からガラクタを拾い上げ、空き瓶、カバン、たんすなどさまざまなものの中から「ふにふにとしたかたまり」を引っ張り出し、解き放つのです。

ある日ムームは、自分と似た姿をしている泣き虫のルミンに出会いました。どうにかルミンを笑わせようと、必至に頑張ります。

そして見どころはクライマックス。せっかく仲良くなったムームとルミンが、離れ離れになる時がやってきました。しかし思い出を浄化するムームにとって、別れとはある意味で「幸せ」なこと。切ないけれど心あたたまるラストになっています。

ちなみに本作は川村2作目の絵本で、1作目は『ティニー ふうせんいぬのものがたり』というもの。気になった方はぜひこちらもチェックしてみてください。
 

川村元気の作品は、小説・インタビュー集・絵本を問わず、人を納得させる力があります。ぜひ実際にお手に取って読んでみてください。

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