心理学や社会学をはじめ、さまざまな学問分野に精通している加藤諦三。その豊富な知識を活かした著作は、どれも人の胸に刺さるアドバイスや考え方が詰め込まれています。そんな加藤の作品のなかでも特におすすめのものを厳選してご紹介しましょう。
1938年生まれの加藤諦三(かとうたいぞう)。東京大学、大学院を卒業した後、社会学者として教授を務めました。
社会心理学に関する著書を多く発表しており、全国で講演会などもおこなっているそうです。
1980年代後半からニッポン放送系のラジオ番組「テレフォン人生相談」のパーソナリティを担当。視聴者から寄せられるさまざまな相談にのる人気番組で、学術的観点から的確な答えを導き出す加藤のスタイルが注目を浴びています。
「生き方」を常に考え、読者に提示してくれており、人の心の葛藤や変化を解説して人生のヒントを与えてくれます。
本書は、許せない人への憎しみにとらわれず生きていくための方法論を記した一冊です。
性格の合わない人がいても幸せに生きていけるということを、現実的な手段を例にあげて解説してくれています。
- 著者
- 加藤 諦三
- 出版日
- 2008-01-09
誰にでもひとりくらいは、身近にどうしても「許せない」人が存在するのではないでしょうか。あなたはそのような人たちと、どのように付き合っていますか?
本書はまず「許せない人」をどうして許せないと思うのか、人間の心理を解説していきます。それを踏まえ、どうすれば図々しい人、他人を騙す人などに精神を削られなくて済むのか、方法を教えてくれるのです。
本書の魅力は、アドバイスが「自分が努力すればできる」というような単純なもので終わらないところ。実際にどのような思考回路で自分の心を守ることができるのか、的確な指示をくれます。
「心の痛むような人は、もともと人を地獄に突き落とすことはしない。騙す人は、人を地獄に突き落とす喜びを感じて、自分に「自信」をつけているのです。ずるい人というのには、人の心がないと思った方がよい。騙す人は普通の善良な人の感覚がない」(『どうしても「許せない」人』より引用)
具体的な他人との付き合い方を解説し、悩みを解決してくれる実用性のある一冊です。
本書は、人の行動に表れる「やさしさ」と「冷たさ」について解説した一冊です。
付き合うべき優しい人と、離れるべき冷たい人をどのように見分ければいいのかを、学術的な観点からアドバイスし、精神的な自立を促していきます。
- 著者
- 加藤 諦三
- 出版日
- 2016-10-15
付き合っていて「やさしい」と感じられるのは、一体どんな相手でしょうか?それを本書では「甘えさせてくれる人」だと定義づけています。甘えることで人は肉体的にも精神的にも安らかになり、やがて自立するだけの力を持つことができるのです。
しかし世の中には「やさしい」人ばかりではなく、時には自分の心を傷つける「冷たい人」と出会うこともあります。それは友達であったり、はたまた両親であったりするわけですが、傷つけられる状態が続くと、人はだんだんと自分に対する自信を失ってしまうのです。そのような状況にどうアプローチすればよいかを、本書は解説してくれます。
具体例のひとつに挙げられているのが、「自分の甘えを認める」こと。他人に甘えさせてもらいたい自分をきちんと認識することが、どんな自分も認められる第一歩になるのです。傷ついた心を心理学的に分析し、解決に導いてくれるのが本書の魅力だといえるでしょう。
自分に自信が持てないと悩む人におすすめしたい一冊です。
本書は、自分の性格や行動に悩む人に向けられた一冊です。
自立できない自分、人とうまく付き合えない自分、感情表現ができない自分……さまざまなコンプレックスを、加藤が解決してくれます。
- 著者
- 加藤 諦三
- 出版日
- 2006-04-01
生きていれば人は必ず葛藤にぶつかります。それを乗り越えることで精神的に成長していくわけですが、時にはそれが致命的な「コンプレックス」になることもあるのです。ではそんな「コンプレックス」を、どうやって解決していけばいいのでしょうか?
たとえば自己評価が低い人について、加藤は「幼い頃に甘えを許されなかった人」だと述べます。甘えを許されなければ「自分は甘えてはいけない存在」だと心が認識し、自己評価が低くなっていってしまうというのです。
このように大なり小なり人間が抱えている問題の原因を探ることで、コンプレックスを持つ読者の心を軽くしてくれる一冊です。
タイトルのとおり、自分を嫌いにならないための考え方を、心理学的観点から記した本書。
今の自分が果たして本当の姿なのか、今までとこれからの生き方に悩んでいる人には必読の一冊となっています。
- 著者
- 加藤 諦三
- 出版日
「いろいろ自分に問いかけていくと、最後に自分の「自信のなさ」にたどり着く」(『自分を嫌うな』より引用)
この言葉を出発点に、本書は「本当の自分」に関するさまざまな問題を解説していきます。
本来の自分を出せないこと、自分を嫌いになってしまうことなどのコンプレックスは、紐解いていけばすべて「自信がない」という原因に行き着くのだそうです。その「自信のなさ」をタイプ別に分け、丁寧にアドバイスしていきます。
たとえば「八方美人」で他人からの拒否が怖い人は、必要以上に「いい子」になろうとして苦しんでいるのだと指摘します。自分の欠点を受け入れることで初めて、「いい子」を演じなくていいと自分で思うことができるのです。
それぞれのタイプに合わせた的確なアドバイスが魅力。自分が嫌いな人、また嫌いになってしまいそうな人にぜひ読んでほしい一冊です。
日本では大学へ進学することがもはや当たり前になりました。そんな時代に、加藤があえて「大学で学ぶこと」に一石を投じます。
対象となっているのは高校生や大学生ですが、社会人が読んでも今の生活を見直すきっかけになる良書だといえるでしょう。
- 著者
- 加藤 諦三
- 出版日
- 2009-05-09
一世代前の大学は「目的を持って勉強するところ」でした。しかし今やほぼ義務教育の延長線上。行くのが当たり前の時代になりつつあります。しかし進学してみたものの、何を学べばいいのか、何をすればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
そんな学生たちに向けて書かれたのが本書で、加藤は冒頭にこう記しました。
「『大学時代に好きなことをやれ』と言うと、『どうしたら好きなことが見つかるのですか』と聞かれる。しかし、これは考えてみればおかしな質問である。好きなことは『見つける』というよりも育てるもの、創るものである。(中略)もともと面白さというのは理解から生まれてくるものなのだ。理解しないうちに面白さを求めるくらい不思議なことはない」(『大学で何を学ぶか』より引用)
大学で学ぶべき「好きなこと」は、勉強して初めて見えてくるもの。まだ将来を決めていない学生や悩み多き社会人に、これからの人生を見直させてくれる一冊となっています。
加藤諦三の書く心理学や社会学にもとづいた作品は、どれも具体的かつすぐに実践できるアドバイスが添えられています。自分について考えたい、また将来について考えたい方にとっては必読。気になったものからぜひ読んでみてください。