鳥なのに空を飛べず、縦横無尽に海を泳ぐペンギン。動物界屈指の変わった特徴を持っており、その魅力から人々の心をつかんで離しません。今回は、そんな彼らの生態や種類ごとの特徴、集団行動をする理由、ペットとして飼育できるのかなどを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてください。
短い足でペタペタと歩く姿が可愛らしく、水族館や動物園でも人気者のペンギン。水中で縦横無尽に泳ぐ姿も人々の目を惹きつけます。
鳥綱ペンギン目に分類される海鳥ですが、空を飛ぶことはできません。翼は「フリッパー」と呼ばれるヒレのようになり、泳ぐ時にのみ使われます。他の鳥類と異なり、陸上でも胴体を垂直にたてて行動するのが特徴です。
寿命は野生下だと20年弱。飼育下だと最長で39年が記録されていますが、平均すると20年程度のようです。
南極など氷のある場所に住んでいるイメージが強いですが、実は生息地は寒い地域だけではありません。ニュージーランドや南米、南アフリカなどさまざまな場所に分布しています。
もっとも暑いところでは、ガラパゴス諸島に生息しているものも。
では種類ごとに詳しい特徴をみていきましょう。
野生の個体が生息しているのは南半球のみなので、日本周辺の海でその姿を見ることはできません。しかし全18種類のなかで10種類以上が国内の水族館で飼育されており、その数は実に2500羽にまでのぼります。
これは全世界で飼育されている個体の約4分の1にもなるそうです。
またこのうちの1200羽以上は絶滅危惧種に指定されているフンボルトペンギンで、野生に生息するうちのおよそ1割にあたります。日本は世界最大の飼育国であるといえるでしょう。
繁殖が難しいコウテイペンギンは、手に入れるのに1000万円以上することも珍しくありません。ハネジロペンギンやコガタペンギンは、およそ70万円~250万円で入手することができます。ただし値段は流動的なので、事前に取扱店に問い合わせましょう。
日本で飼育するのであれば、暖かい地域に生息しているものがおすすめですが、現実的に考えると簡単にはじめられるものではありません。
まずプールや大型の浴槽など、泳げる場所が必要です。海で暮らす生き物なので、海水を用意するのが理想的。難しい場合は、海水と同じ塩分濃度になるように調節しましょう。
また意外と鳴き声が大きいので、近隣に迷惑をかけないよう防音対策も必要です。
餌はアジやイワシなど生の小魚で、1日に数十匹を食べます。決まった場所に排泄をするわけではなく、また匂いも強いので、小まめな掃除も大切です。体調を崩したときに診てもらえる動物病院も探しておきましょう。
犬や猫などの愛玩動物とは違い世話にはお金も手間もかかるので、自宅でペットとして飼育をするには相当な覚悟と準備が必要です。
野生の彼らは、常に他の肉食動物に捕食される危険と隣り合わせの生活をしています。そして厳しい環境を生き抜くために、集団行動をしているのです。
たとえば陸上から海へ入る際は、まず1羽が先行して飛び込み安全確認をします。危険がないことがわかると、残りの仲間たちも次々と海に飛び込んでいくのです。
もしも天敵に出くわしてしまったら、はじめの1羽が犠牲になり、2羽目以降は海には入りません。海から陸にあがる時も同様です。誰かが犠牲になることで、群れ全体の被害を最小限に抑えているのです。
また、子育てをしている親が狩りに出かけて近くにいない間、子どもたちは「クレイシ」と呼ばれる集団をつくり親の帰りを待ちます。そして子育てをしていない他の大人たちが、その子どもたちを守っているのです。
このように彼らは、集団のなかでそれぞれの役割を担いながら行動することで、危険をなるべく回避して生活しているのです。
- 著者
- 齋藤 槙
- 出版日
- 2016-06-01
伸びて縮んで、息を大きく吸って吐いて……2匹のペンギンが体操をしている姿を描いた絵本です。読み進めるうちについつい一緒に体を動かしたくなってしまうでしょう。
イラストもかわいいだけでなくわかりやすいので、小さなお子さんの読み聞かせにもおすすめの一冊です。
公式HPには楽譜や動画も掲載されているので、気になった方はそちらもチェックしてみてください。
- 著者
- 森見 登美彦
- 出版日
- 2012-11-22
主人公の「僕」は歯科医のお姉さんのことが大好きな小学生。ある日突然、街にペンギンたちが現れました。その現象にはお姉さんの不思議な力が備わっていることがわかり、「僕」は謎を解明するために研究をすすめるのですが……。
2018年夏には映画も公開される森見登美彦の長編小説です。好奇心旺盛な子どもが不思議な出来事を追っていくファンタジーさに、ペンギンはぴったり。さまざまな体験をとおして成長していく主人公の姿にも注目してください。
南極など日本とはかけ離れた環境に生息しているペンギン。飼育するのは簡単ではありませんが、動物園や水族館では見ることができます。興味をもった方は、おすすめした本を読みつつ足を運んでみてください。