意外と知らないカラスの生態!もう怖いなんて言わせない!

更新:2021.11.13

皆さんはカラスと聞いて、どんなイメージをもちますか?怖い、不吉、生ごみを荒らす、攻撃してくる……残念ながらよい印象を抱いていない人がほとんどではないでしょうか。しかし、そのような印象と実際の生態には大きな違いがあるようです。本当はどんな生き物なのか、みていきましょう。

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カラスのイメージが覆る!意外と知らない生態を紹介

 

カラスというと真っ黒のイメージがありますが、実際の体は黒色だけではありません。羽根の根元は白く、また地肌は灰色になっています。

また無闇に人間を襲うことはなく、攻撃的な性格をしているわけではないのです。縄張り意識が強いため、子どもや仲間を守るために威嚇することはありますが、生活を脅かされたら驚くのは当然のこと。

人間が怖がって無闇に動いてしまうので、カラス側も威嚇することを余儀なくされているのかもしれません。

さらに一部では神様の遣いといわれることもあり、神聖に扱われたり、八咫烏(やたがらす)などシンボルとして使われているものもあります。多くの人が抱いている「怖い」というイメージとは離れているように感じますね。

カラスの種類と特徴

 

スズメ目カラス科に分類されます。日本でよく見かけるのは、ハシボソガラスとハシブトガラスの2種類です。

・ハシボソガラス
 

体長約50センチと小柄。鳴き声はガァガァとしゃがれていて、緑豊かな場所を好み、田んぼや畑の近く、河川敷などに生息しています。

・ハシブトガラス

体長は約56センチでハシボソガラスと比べると大きめ。クチバシも太くて長いです。鳴き声はカァカァと澄んだ声で、緑豊かな場所だけではなく市街地にも生息しています。我々がよく見かけるのはこちらの種類でしょう。

またあまり目にする機会のないものとして、ユーラシア大陸から渡来してきたミヤマガラス、北海道に生息するワタリガラス、腹部が白いコクマルガラスなどが挙げられます。

賢すぎる!カラスの高い知能がわかる行動を紹介

 

知能が高く、優れたコミュニケーション能力を持っているといわれるカラス。鳴き声で情報を交換したり、人間の行動を学習して真似したりすることができます。少なくとも17種類の音声を操り、仲間と情報を共有しているようです。

公園の水飲み場で蛇口を捻って水を飲む行動も目撃されており、人間が水を飲む様子を見て真似をしたことがうかがえます。

威嚇をするのは子どもや仲間を守るためで、人間がカラスの縄張りに入ってしまった場合などにおこなうようです。雛がいる時はより警戒心を強めますが、相手が危害を加えないと分かると即座に威嚇をやめるという判断力も兼ね備えています。

カラスはペットとして飼育できるの?

 

結論からいうと、ペットとしての飼育は可能です。ただし、「鳥獣保護管理法」を守る必要があります。

鳥獣保護管理法とは、野生動物の乱獲を防ぎ生態系を守るための法律です。野生の鳥(卵も含む)や動物を獲ることは違法とされており、違反すると罰金も課されます。

飼育をするには「飼育許可証」の発行が必須です。決められた猟期に猟区内で捕獲をし国に発行してもらう方法と、怪我をした個体を保護し役所に届け出をして発行してもらう方法があります。条件が厳しいので、簡単に飼育できるわけではないようです。

飼育する際に必要な物は、ケージ・餌・水入れ・雑巾・キッチンペーパー・アルコール除菌液など。小さいときはケージの中で飼育できますが、成長すると大抵は室内での放し飼いとなるでしょう。部屋中に糞をするので、片付けるための掃除道具が必要です。

雑食なので何でも食べますが、市販の鳥の餌を主食にすれば問題はありません。ときどき青菜野菜を与えて、ビタミン不足に注意をしましょう。餌入れに入れておけば勝手に食べてくれるので、毎朝新鮮な食べ物と新しい水を入れることを忘れなければ大丈夫です。

人懐っこく、1度飼育すると野生には戻れなくなるので、最期まで責任をもって飼育しましょう。寿命は20年~30年ほどで、毎日の水浴びや日光浴などそれなりの手間がかかるので、ペットにしたい方はよく考えてから実行してください。

カラスを撃退する方法

 

生態を理解したうえで対策をとれば、カラスを傷つけることなく人間の被害を減らすことができます。目がよい、人を恐れる、学習能力がある、匂いに疎い、羽に何かが当たるのを嫌がる、という特徴を頭に入れて対策していきましょう。

・生ゴミ対策

カラスは目がとてもよいので、嗅覚ではなく視覚を使って餌を探します。つまり、生ゴミを見えなくすることで荒らされることもなくなるのです。

具体的には、生ゴミを新聞紙にくるんで捨てる、生ゴミに衣装ケースなど重しを乗せる、蓋がマジックテープなどでしっかり閉まるゴミ箱に入れるなどの方法があります。

・ 農作物対策

農作物を守るには、テグスやミシン糸などで畑や家庭菜園を囲むことをおすすめします。カラスは警戒心が強く、羽が傷つくことを嫌がるので、侵入することを諦めるはずです。羽を広げた長さが約1メートルなので、それよりも狭い間隔で囲むとよいでしょう。

著者の愛とユーモアが溢れる一冊

著者
松原 始
出版日
2016-03-15

作者の松原始は、動物行動学者。カラスの行動と生態を専門にしていて、本書は愛にあふれた一冊だといえるでしょう。

ユーモア溢れる文章と可愛らしいイラストに惹き込まれ、思わずページを先へとめくってしまうこと間違いなし。身近な鳥ですがこれまで知らなかった生態を知ることができ、優しい目で彼らを見れるようになるのではないでしょうか。

読後は作者と同じく、つい彼らを愛おしく感じてしまうかもしれません。

道具を使うカラスの物語、頭脳の秘密は?

著者
パメラ・S. ターナー
出版日
2018-02-09

南太平洋の島、ニューカレドニアに生息するカレドニアガラスの生態に迫った一冊です。

道具を「使う」だけではなく、道具を「作り」、さらに改良までしてしまうという知能の高さに脱帽するはず。一体どのようにして道具とともに生活するようになったのか、その不思議に迫っていきます。

綺麗な写真が豊富に使われており、文章もわかりやすいので、お子さんでも楽しんで読むことができます。驚きがたくさん詰まっているので、カラスに興味をもった方はぜひお手に取ってみてください。
 

怖いイメージがあり、日の目を見る機会が少ないカラスについて紹介しました。これから街中で見かけた際に、少し違った目線で見ることができるのではないでしょうか。

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