日本ではまだ聞き慣れない職業である「アクチュアリー」。「確率や統計などの手法を用いて、不確実な事象を扱う数理のプロ」と定義される彼らの仕事内容とは?気になる年収や、難関といわれる試験、おすすめの本をご紹介します。
アクチュアリーは、「保険数理士」「保険数理人」などと訳され、保険計理や年金数理など法律で決められた数学の理論(数理)業務をおこなうプロフェッショナルです。
その活躍分野は幅広く、生命保険事業や損害保険事業、年金、共済、企業の資産運用など多岐にわたって、確率や統計といった専門知識を活かし、現代社会を支えています。
その起源はイギリス。「加入者の年齢や加入年数に応じて毎月の支払額(保険料率)や保険料が変わる」というシステム、つまり現在の生命保険に近い形の事業が誕生したことに関連しています。 この事業を開始するにあたり、当時のイギリス社会の死亡率を確率論や統計学など数理的に解析し、毎月の支払額や掛金率を算定した専門家こそ、世界初のアクチュアリーだそうです。
不確定要素に満ちている……つまり「なにが起きるかわからない」人生において、さまざまな事象の発生確率を計算し、まずはリスクを減らすよう知恵をしぼる役割を担っています。
さらには損害が発生してしまった際の、人生における影響を最小限にとどめることを考え、準備し、損害に対する適正金額を算出することも大きな役割のひとつであり、これが保険や年金分野で活躍している所以です。
情報やデータの活用と、数理学に基づいた高度な計算で、人生という形のない不確実なものさえも数字に起こし、安全を提供することは、アクチュアリーの重要な仕事です。
アクチュアリーは、海外ではよく知られている人気のある職業ながら、日本ではまだ知名度が低く、有資格者もその他の士業と比較しまだまだ少ない状態。
しかし、すべての保険会社には「保険計理人」という役職に就くアクチュアリーが存在し、その承認なしには保険を売ることができません。 アクチュアリーは、そういった重要な職責を担うことも多々あるのです。
そのため、企業では優遇されやすく、国内企業勤務であれば1千万円超、外資系企業であれば2千万円~3千万円を超える収入を得ている人もいます。
また、アクチュアリー業務に携わりながら資格試験にトライする人も多いため、ひとつの科目に合格するたび特別手当が支給されたり、給与アップすることもあるよう。
とはいえ専門職ですので、実力がすべて。 資格試験合格を目指すとともに、実地でスキルを磨き続けることが大切です。アクチュアリーとして企業の力になる人ほど重宝され、よい条件で働くことができます。
この記事をご覧いただいている方は、将来この職業に就きたいという方はもちろん、手に職をつけておきたい、転職を考えている、という方も多く、なかには独学を考えている方もいるでしょう。
そこでどうしてもネックになってしまうのが、お金がかかる、時間がないということではないでしょうか。
そんな点でお困りの方にぜひおすすめしたいのが、オンライン予備校。従来のスクールよりも割安なところが多く、自分の時間に合わせて学習できるのが魅力です。
その中でも特に「資格スクエア」は、勉強方法のノウハウを教えてくれるので、効率的に効果の出る勉強方法を学べることができるでしょう。
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日本におけるアクチュアリーは、日本アクチュアリー会の「正会員」であることを意味します。
正会員の資格を得るには、まずは日本アクチュアリー会が実施する資格試験の合格が必須。 資格試験は、基礎科目となる第1次試験5科目(数学、生保数理、損保数理、年金数理、会計・経済・投資理論)、専門科目となる第2次試験2科目(生保コース、損保コース、年金コースのうちいずれか1つのコースを選択)の計7科目すべてに合格する必要があります。
第1次試験の受験資格は、「大卒あるいは試験委員会が大卒者と同等の基礎的学力を有すると判断した者」とあり、全科目合格すれば準会員になることができるとともに、第2次試験にすすむ権利を得ます。
第2次試験の合格後、プロフェッショナリズム研修(初期教育)を受講することで、ようやく正会員となることができるのです。
資格試験は年1回(東京・大阪の2カ所で開催)のみであるため、第1次・第2次いずれも合格するためには最短でも2年を要します。 その難易度は非常に高く、すべての科目に合格するまでには平均8年程度はかかるといわれています。 7科目中、比較的合格率の高い科目でも、わずか20%程度という難関です。
多くの受験者は、実際に企業などでアクチュアリー業務に携わりながら、資格試験合格を目指しています。
- 著者
- 神永 正博
- 出版日
- 2015-01-24
著者である神永正博が、食うために学ぶ数学をテーマに、数学をいかに役立て、それでに食っていくかに焦点を当てて書いたという本著。 その宣言どおり、社会において数学がどのように活用されているかに着目し、実例をあげて解説しています。
たとえば、Suicaで自動改札機を通るために使われる「暗号」や、迷惑メールをより分ける「ベイズの定理」、弱小球団の快進撃の裏に隠されていた「統計」の秘密について。 そしてもちろん、数理のプロであるアクチュアリーの仕事についても触れられています。
数学の美しさやロマン、必要性をあえて語らずとも、実学としての数学の可能性を示すことで、その面白さや学ぶ意味を再確認させてくれる本著。
数字を役立て、数字を生業とするアクチュアリーになりたい人に、オススメしたい1冊です。
- 著者
- 鷹巣 怜
- 出版日
- 2008-09-25
外資系損保に転職した主人公が見た、海外のアクチュアリーの華麗な実態と、外資系会社勤務の実際を描くフィクションです。
「ノンフィクションなのでは?」と驚いてしまうほど、その業界実態が赤裸々に描かれています。 アクチュアリーを主人公に描いた小説は本著が初ともいわれており、アクチュアリーに関する生きた情報も盛りだくさん。
アクチュアリーを目指す人だけでなく、さらなる活躍を目指す人、外資系企業への転職に興味がある人はぜひ一読を。
- 著者
- 岩沢宏和
- 出版日
- 2012-02-07
著者は、アクチュアリー試験対策の講座を数多く担当する岩沢宏和。 試験だけでなく、実践として業務に携わるにあたってアクチュアリーには必要不可欠となる確率・統計の計算方法や根本的な考え方、解法のコツやテクニックに至るまで、100の問題と33の手法を用いて詳細に解説しています。
アクチュアリーになるための第1次試験基礎科目のうちの1つ「数学」をクリアするために必要となる計算力を養うにあたり、充分な対策本にもなると評判の本著。
ここで固めた基礎は、のちの専門科目にも必ず活きてきます。 面白いだけでなく、確実に身につき、実をむすぶ1冊です。
- 著者
- 藤澤 陽介
- 出版日
- 2014-01-23
著者は大手生命保険会社で働く現役アクチュアリー・藤澤陽介。
情報が蔓延する世の中。 その量の多さに惑わされ、有益な情報を見落とし、誤った判断を選択してしまう人が多いとし、「そのような時代における羅針盤の役割を担うのが『統計』である」という著者の強い思いが、タイトルにも表れています。
世界の金融危機、予想を超える長寿社会、就職難における転職先の探し方、100年に一度の災害にどう備えるか?……これら現代人が抱えるリスク、そして不確実な事象を、数理のプロはどう扱うのでしょうか。
世にあふれる莫大な情報から、限られた「使える」データを増やし、現場に活かす方法を、現役のアクチュアリーが解説する本著。
アクチュアリーという職業に興味をもつ人にとって、生きた教科書となることでしょう。
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