小説家になるにはどうしたらなれるのか、疑問に思ったことはありませんか?誰もが小説家という仕事があることを知っていても、どうやったらなれるのかは知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんな方の疑問を解消するために、小説家の仕事、年収、なるためには何をすればよいのか、参考となる書籍をご紹介します。
小説家とは、自らの経験や知識、想像を生かして、さまざまなジャンル、恋愛ものや刑事ものなどの物語を執筆し、小説として出版し、生計を立てている人のことを指します。
小説として世に生み出される作品にはいくつかの種類があり、作者が書いたものがそのまま出版される「書き下ろし」というケース、新聞などに掲載された「連載小説」が書籍となるケースなどあります。
また、その長さにもそれぞれ種類があり、定義が難しいですが、分量の長さによって「長編小説」、「中編小説」、「短編小説」なども。
自ら創作した物語によって、人に楽しみを与えながら収入が得られるとても魅力的な仕事です。
小説家の給料は主に「原稿料」と「印税」の2つがあります。これ以下、それぞれ説明していきましょう。
(1)原稿料
原稿用紙1枚(400字)が単位となっており、1枚あたり1000円〜5000円くらいが平均的です。しかし人気作家ともなれば、1枚あたり数万円にのぼる方もおられるようです。
(2)印税
出版された本に対する収入で、1冊あたり10%程度です。
たとえば、一冊1000円の小説が3000部出版されると30万円の収入。1万部では150万円。10万部では1500万円となります。
(3)その他
知名度を生かした講演活動やエッセイの寄稿などによって収入を得る方もいらっしゃいます。これはある程度有名になっていたり、何かしらの分野においてエキスパートとされる方なのではないでしょうか。
また、やはり気になるのは人気小説家の具体的な年収。日本の小説家の平均年収は200万円〜400万円と言われていますが、世界の人気小説家の年収はそれを圧倒するほどのスケールで、夢があります。
2015年に経済誌・フォーブスより発表された「世界で最も稼ぐ作家ランキング」をご紹介します。(1ドル=110円としています)
1位はジェームズ・パターソン、68歳。代表作に「アレックス・クロス」や「ウィメンズ・マーダー・クラブ」シリーズがあり、年収は8900万ドル(約100億円) です。
2位はジョン・グリーン、37歳。代表作に「さよならを待つふたりのために(The Fault in Our Stars)」があり、年収は2600万ドル (約28億円)です。
3位はヴェロニカ・ロス、26歳。代表作に「ダイバージェント」シリーズがあり、若くして年収は 2500万ドル (約27億円)です。
4位はダニエル・スティール、67歳。ロマンス系小説を中心に活躍され、年収は2500万ドル (約27億円)です。
5位はジェフ・キニー、44歳。代表作に児童向け書籍「グレッグのダメ日記」があり、年収は2300万ドル (約25億円)です。
今回紹介したランキング(1位〜5位)には入っていませんでしたが、「ハリー・ポッター」シリーズで世界的に有名な小説家、J・K・ローリングは7位にランクインしていました。彼女の成功譚も夢が持てるものです。
彼女はシングルマザーでありながら、コーヒー1杯しか飲む余裕のない生活の中で『ハリーポッターと賢者の石』を書き上げたということで有名。この作品が莫大な人気作品となり、2002年に年収は1億2500万ポンド(1ポンド=150円換算で、約180億円)となりました。
いきなりここまでのレベルを目指すのは難しいですが、夢を追うためにこそ、収入は重要なものなので、意識しながら働くのがいいかもしれませんね。
日本には小説家を多く輩出する大学があります。今回は2018年4月現在確認した、小説家・文筆家出身大学ランキングを参考にそれぞれの大学をご紹介。もし小説家志望で、これから大学に進学するとお考えの方は参考にしてみてください。
1位は早稲田大学で、177人の小説家を輩出しました。
「桐島、部活やめるってよ」で有名な朝井リョウ(文化構想学部)、映画化もされた「ノルウェイの森」などの作者、村上春樹(第一文学部演劇科)、「まほろ駅前多田便利軒」などで有名な三浦しをん(第一文学部演劇映像学科)、ドラマ化された「博士の愛した数式」で有名な小川洋子(第一文学部文芸科)などがいます。
2位は東京大学で、150名の小説家を輩出しました。
「万延元年のフットボール」の作者・大江健三郎(文学部フランス文学科)や「仮面の告白」で一世を風靡した三島由紀夫(法学部法律科独法)、ジブリ映画にもなった「風立ちぬ」の原作者・堀辰雄(文学部国文科)、国民的小説「羅生門」の芥川龍之介(文科大学英文学科)などがいます。
3位は慶應義塾大学で、65名の小説家を輩出しました。
「海と毒薬」などを執筆した遠藤周作(文学部仏文科)や、「夢を叶えるゾウ」などで知られる水野敬也(経済学部)、他にも「ドグラ・マグラ」などの特徴的な作風で知られる夢野久作(文学部)などがいます。
4位は明治大学で44名の小説家を輩出しました。
テレビでも活躍中で、「黒冷水」で知られる羽田圭介(商学部) などがいます。
5位は京都大学で40名の小説家を輩出しました。
京都で知らない人はいないと言われるほど人気の作品「夜は短し歩けよ乙女」の作者・森見登美彦 (農学部生物機能科学学科応用生命科学コース)などがいます。
関西の大学もランキングに登場していますが、比較的関東の大学が多く小説家を輩出しています。出版のしやすさから東京が持ち込みしやすかったことも大きな要因かと思いますが、ぜひ参考にしてみてください。
それでは続いて小説家を目指す方へ、参考となる書籍をご紹介します。
まず1冊目におすすめしたいのは、主に50〜60代の高齢者へ向けた『人生経験を生かして小説家になろう! 今すぐ使える執筆メソッド36の書き方・売り出し方』です。年齢を重ねるということは、若い人よりは人生経験が豊富であり、おそらく読んできた本も多いであろうと思われます。それらは小説にとって最高の材料。
「小説を書いたことがない」「書いてみたいけど今更恥ずかしい」「書き方がわからない」など、年齢が高いから「今さら」なんて諦めていませんか?この本はそんな方に、特におすすめです。
また、今まで書いたことが無い人でも、小説での伝え方や文体のルールなどがしっかりと学べる1冊なので、もちろん全年齢におすすめできる内容です。
- 著者
- 佐藤 正午
- 出版日
- 2006-06-20
この本は、「永遠の1/2」で有名な佐藤正午が書いた作品。今まで読んでいた小説への読み方が変化することで話題の作品です。
今までは一読者としてただ読むだけだったものが、本書を手にすることで、小説家としての読み方が理解できる内容となっています。過去の名作を中心に紹介されており、誰でも親しみやすい内容です。
本を読むことがまた一段と面白くなり、小説家としての他作品を分析すりレベルも上がるのではないでしょうか。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
- 2016-09-28
この本は『ノルウェイの森』などで有名な世界的作家・村上春樹が書いた作品で、主に自伝のような1冊。村上春樹が小説家を目指してから成功するまでに、小説作法や文体がどのように確立されていったのか分かりやすく書かれています。
また作法や文体だけでなく、格言ともいえる村上春樹の言葉が出てきており、小説への向き合い方、姿勢が学べます。小説家を目指している人には、ぜひとも一読してほしい1冊です。
- 著者
- 森 博嗣
- 出版日
- 2010-06-17
この本は『すべてがFになる』などで有名な森博嗣が書いた本です。「ビジネスとしての小説家」や「小説家になるには本を読むな」など、常識に囚われない発想の持ち主です。
小説家を目指す方の中には、「本とはこうあるべきだ」「このように書いた方が綺麗だ」などと考えてしまう人もいると思いますが、森博嗣も一日2時間しかかけていないこともあったそう。
仕事をしながらでも、小説を書くための意識の向け方を学ぶことができます。型にハマらない自分のオリジナリティーを出すために、読者の考え方に斬新な切り口で語りかけてくる1冊です。