小説家としてもデビューをしているつぶやきシロー。しかしどうやら、読書に対してはかなりの抵抗があるらしい。彼に「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。 第12回は、タイトルの問いがグサッと心に突き刺さるコミックを読んでもらいました。
たまに大型電気量販店に行くとテンション上がるね。見まわすと、女性より男性のお客さんの方が多いと思う。やっぱ電化製品って、男の子の血が騒ぐのかね。
ただ、商品が多すぎて自分の欲しいものが何階のフロアにあるのか分んなかったりするよね。お店によっては、エスカレーターですんなり昇っていく構造になってなくて、わざと反対側にエスカレーターを設置していて、一階一階ぐるっと回らないといけない。お店としては、どうぞちょっとでも商品を見てくださいということなんだろうが、その手には乗るか、絶対余計なものは買わないと心に誓うよね。
でも、つい見て、手に取って、あこがれちゃうんだよね。全ての電化製品が自分の家のものより最新だから夢見ちゃうの。
このコーヒーメーカーで毎朝コーヒー飲んだら素晴らしい一日が始まるだろうなとかね。実際買っても最初だけで、「やっぱ朝はみそ汁だよね」なんつって使わなくなるな~。あ、この空気清浄機を買ったら、ほこりっぽい部屋とはおさらばで常に快適なんだろうなとかね。でも買ったとこで、本当に空気をキレイにしてくれてるの?って疑いだすし、フィルター掃除するのめんどくさいし、自分が空気清浄機の前を通っただけで、すごい反応されてイライラしたりするだろうな~。あ、とうとうルンバ買っちゃう?でもルンバが活躍するほど広い部屋に住んでないから、ルンバが運動不足になるだけだしな~。あれ、タコ焼き機安いな、人が来た時手軽にパーティーできるけど、誰も来ないしな~って想像に夢中で、ふと気づく。
あれ? 何を買いに来たんだっけ?
タイトル「ほしいものはなんですか?」
- 著者
- 益田 ミリ
- 出版日
- 2010-04-22
女性目線の漫画だね。4コマ漫画形式で4コマで終わらず何ページか続くって言えばいいのかな?絵はシンプルでうるさくないのがいい。読むのが遅い僕でも1時間で読み終わった。さらっと何も考えずに読めるけど、考えだすとなかなかハードな内容。自分自身の心の健康状態次第では、登場人物の心の闇を重く受け止めてしまうかも。だからといって、また本を開くのが億劫にならない。つまり何回も読み返せる漫画。
小さな女の子の視点から始まるが、どうもこの子のママの悩みがメインかな。旦那の妹もよく登場し、いろんな悩みを抱えている。
専業主婦のママは、みんなからは「幸せだね」って言われるけど、単調な毎日に「何か違う」と感じている。「隣の芝生は~」ってやつかね。みんなないものねだりだったりするよね。
芸能界で売れたいけど、なかなか売れず仕事がなくて暇してる人は、売れている人を「忙しくていいな」って思うけど、売れてる人は売れてない人見て「自分の時間があっていいな」と思ってるもんね。ちょうどいいとこってどこだろうね。
ママは40歳の誕生日にも「いろんな主人公の歳を追い抜いてきたな~」と浮かない顔。わかるよね。ウルトラマンの2万歳は絶対無理だけど、星飛雄馬のオヤジが33歳って!ルパンの銭形警部の29歳もビックリ、僕もいつの間にか追い抜いちゃったな。因みに僕は、来年48歳で磯野フネさんに追いつきます。
あと、旦那さんが「女性は習い事が好きだね」と言うが、確かにそうだなと思った。料理教室に行ったり、英会話習ったり、コンテンポラリーダンスやりだしたり、あんまじっとしてないよね。男性よりも好奇心旺盛だよね。羨ましいよ。
僕なんかめんどくさがりで、ずっと家に居るタイプ。あ~今日こそ車の免許更新に行かないとな~、めんどくさいな~、午後から行こうかな、えーと何時までやってるんだっけ、じゃあまだ大丈夫だな、自分と同じ考えの人がいて最後は混んでるんじゃないかな~、あーもう時間がダメだ、また明日にしようーって、一日が終わる。結果何もしなかった一日。女性からというか誰から見ても、つまらない人生に見えるよね。
女性は、「たった一度の人生なんだから、やらなきゃ損」を積極的に行動に移すよね。「記念日好き」ってのもそうだけど、節目節目でリセットボタン押すのうまいよね。失恋、就職、結婚、出産や習い事一つとっても、男性は仕事にかこつけて、だらだらとあまり前に進まず、何かを引きずって生きてるけど、女性のリセットボタンの押し方は気持ちいいほどスカッとするね。
あと、ママの娘が「どうして大人は、サンタクロースがいるってウソつくの?」って、義理の妹35歳独身に聞いて、「それはね、できるだけ長く夢見る時間を過ごしてほしいからだよ」と答えている。
子供からのドキッとする質問ベスト10に入るんじゃないかな。一位は当然「どうやって子供生まれるの?」だけどね。それに関しては、ある程度答えを用意できるけど、このサンタの質問は用意してなかったりするよね。
既にサンタなんていないと知ってしまった子供に対して正解の答えかもしれないけど、この答えは、大人自身が自分に期待したい言葉なのかもしれないね。
この流れで、義理の妹のほしいものは「保証」。それを逐一ママに報告する娘に、ママは「存在感がほしい」と言う。
結婚する時は、「お互い空気みたいな存在になれるように」という言葉をいいように使っていたが、いざ専業主婦になると、「空気みたいな存在」は嫌なんだね。旦那さんが布団に入ると、「その布団を干すのも、階段上ったりして大変なんだよ」とママが吐露する場面がある。感謝の気持ちを忘れちゃいけないね。言葉でちゃんと伝えないとね。
この「ほしいものはなんですか?」は、大人の葛藤に、小さい娘がいちいち引っかかっているのが面白い。女性はいろんなことを考えて、一生懸命に生きているってことを再確認できる漫画。読んでよかった。
そうだ、電池だ。僕がほしかったのは単三電池。それで電気量販店に行ったんだった。
結局僕が言いたいのは、電気量販店でマッサージチェアに座ってくつろいでる人いるけど、絶対買わないよね。
つぶやき読書
お笑い芸人のつぶやきシローさん。小説家としてもデビューをしています。しかし、「本を1冊読むのに数ヶ月かかることもある」など、読書に対してかなりの抵抗があるらしい。「おもしろい本と出会って読書の楽しさを知ってほしい」と考えたホンシェルジュ編集部は、半強制的に何冊かの本を渡しました。さて、つぶやきシローは何を思うのか。包み隠さず感想をつぶやいてもらう連載です。隔週金曜日更新!