日本の漫画は今では世界中から、特有の文化「MANGA」として認められるようになりました。売れっ子の漫画家になれば、アニメ化やドラマ化も夢ではありません。しかし、漫画家としてデビューするためにはどうしたらよいのか、漫画家はどんな仕事をしているのかなど、まだまだ知られていないこともあるのではないでしょうか。この記事では、漫画家の仕事内容や年収などについて解説。漫画家として活躍するために参考になる4冊の本も、厳選して紹介します!
漫画家になる方法はたくさんありますが、新人賞に応募したり、出版社に持ちこむ方法が最も一般的です。
日本に数多く存在している出版社では、才能のある漫画家を発掘することを目的として新人賞の募集が定期的に行われています。さまざまな出版社が新人賞を開催しているため、誰もが知っているような出版社の新人賞から、小さな出版社がひっそりと開催している新人賞まで。
そこで新人賞をとれれば雑誌に漫画を掲載することができ、自分の描いた作品が多くの人の目に触れます。雑誌に掲載されれば原稿料をもらうことができるため、漫画家としてデビューしたと胸を張ることができるでしょう。
また、仮に新人賞を獲得できなくとも、応募すれば必ず審査員の目に触れるので、そこで目をつけてもらえる可能性もあります。有望な新人にはメンターとして編集者が自分が書いた漫画にコメントしてくれるなど、漫画家としてデビューするためのアドバイスがもらえるそうです。
また、新人賞に応募する他にも、出版社に自分が書いた漫画をもち込むという方法もあり、編集者に直接アポイントをとり、作品を読んでもらって才能を認めてもらう必要があります。プロの編集者から直接アドバイスを受けることができるため、作品のよい点や悪い点などを指摘してもらうことができます。
その他にも、漫画家のアシスタントになることもデビューするために役立つ方法です。まだ自分でストーリを考えることはできなくても、トーンやペン入れなどの技術さえあれば、プロの漫画家の仕事を身近で見ることができます。
プロの漫画家の技術や心構えだけではなく、漫画家の生活スタイルや編集者との打ち合わせなどについても詳しく知ることができるというメリットも。プロの漫画家のところへやってくる編集者と顔見知りになれるため、漫画の世界のことを詳しく知れ、漫画の世界のコネクションも作れるでしょう。
さらに作品を出版社や編集社を通さずに直接販売するという方法もあります。自分の作品を同人誌即売会で売っていくのです。そこで人気を得ることができれば、出版社から漫画を描いてみないかとスカウトされる可能性もあります。
現在では、自分の漫画を公開する手段は紙の漫画だけではありません。インターネットで無料で作品を公開するサイトもありますし、電子書籍として販売できるサイトもあります。
このように、漫画家としてデビューする方法はたくさんありますが、まずは自分で漫画を描けることが条件です。面白いストーリーを考えられる、魅力的なキャラクターを作れる、人を惹きつける画力があることは漫画家としてデビューするための必須の条件といえるでしょう。
そのためには、漫画を描くための技術や知識をきちんと基礎から学ぶ必要があります。そのために面白い漫画を描くための基礎を教えてくれる専門学校も増えてきました。専門学校では、プロの漫画家のところでアシスタントができるような就職先も整っています。
そのため、プロの漫画家になるためには、まずは専門学校で漫画の基礎を学びながら、新人賞に応募したり、出版社に自分の作品を持ち込むなどして才能をアピールするのがいいでしょう。
その上で、プロの漫画家のところでアシスタントとして働いたあと、自分の作品が雑誌に掲載されるのを待つのが漫画家デビューの近道といえるでしょう。
そして実際の漫画家の仕事内容は、基本的には出版社から依頼を受け、しめ切りまでに作品を担当編集者に提出するというもの。担当編集者からの指摘があれば、加筆や修正もします。
しかしただ漫画を描いていればよいというわけではありません。プロの漫画家はひとりで漫画を描くわけではないため、アシスタントに指示をして、作品を完成させるのも仕事のひとつとなります。もちろん、アシスタントとストーリーを一緒に考えたり、編集者との打ち合わせに行ったりもしなければならず、漫画を書くということ以外にもやらなければならないことが多いようです。
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漫画家といっても、人気漫画家と新人漫画家の年収には差があります。新人漫画家とアシスタントにも明確な差があり、もらえるお金もまったく異なり、人気によってピンきり。
実際に人気漫画家である『ドラゴンボール』の鳥山明は約15億以上の年収があるといわれており、『キャプテン翼』の作者である高橋洋一は、約7000万円の年収と推測されています。
他にも、『遊☆戯☆王』の作者である高橋和希は年収5億円以上、『NARUTO』の作者である岸本斉史は約4億円以上の収入があるとのことです。
さらに上にいくと『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎先生は30億以上の年収があると言われているそう!
あくまで想定なので、実際の年収を知ることはできませんが、このように人気漫画家のなかでも給与はさまざまのようです。
また、アニメ化されていたり、グッズ販売などが好調だったりする漫画を書いた作者は特に年収が高くなる傾向があります。もちろん、人気漫画家ともなればアシスタントや事務所などの経費もかかります。収入からアシスタントの給与などを支払う必要がありますし、事務所経費や雑費、取材費などの費用もまかなわなければならないので、経費も馬鹿にならなさそうです。
しかし新人漫画家ではこうはいきません。新人漫画家の年収は基本的には原稿料で決まるため、サラリーマンのように一定の給与が毎月もらえるわけではありません。新人だと実力も知名度もほとんどないからです。
そのため、1ページあたりの原稿料も数千円から数万円というのが相場。無料で公開している雑誌もありますし、電子書籍の場合にはさらに原稿料が安い場合もあります。そのため、新人漫画家が高い給与をもらうのは非常に困難です。
その一方で、アシスタントは完全に給与制であるため、アルバイトと同じように時間給で給与をもらえるところもありますし、専属のアシスタントになれば、月給で報酬を得られることもあります。アシスタント歴が長くなれば収入も増え、人気雑誌に掲載されているような漫画のアシスタントになれば、月に40万円以上稼ぐことも。しかし一方で月に10万円稼げないという人もざらにおり、こちらもピンキリのようです。
漫画家といっても、生活スタイルはさまざま。新人漫画家と人気漫画家ではまったく生活スタイルは違うでしょうし、もちろんアシスタントの生活もそれぞれです。
しかし、多くの漫画家は漫画家は朝から晩までほとんど休みなく漫画を書き続けているといっても過言ではありません。週刊で連載をしているある漫画家の1日を見てみましょう。
(参照URL:https://shonenjumpplus.com/article/entry/yattemita_01)
まずは朝9時に起床。ただし、朝の5時ぐらいまで前日の仕事をしていたため、数時間の仮眠しかできていません。しかし、すぐに作業に取りかからないといけません。
その後、休みなく仕事を続けて14時から昼食をとります。本当は昼食などとっている時間もありませんが、食事をしないと頭が回らなくなってしまうため、無理やり食事をつめこみます。おにぎりやパンなど、さっと食べられるものをとることが多いそう。
さらに作業を進めていても、なかなかアイデアが浮かばないため、インターネットや書籍からネタ作りのための資料を検索します。それまでがおよそ15時です。もちろん、朝の作業も同時進行で取り組んでいます。
18時からは担当の編集者との打ち合わせ。次のストーリーを考えたり、現在の漫画の状況やグッズ販売などの打ち合わせも同時に行います。この間にもアシスタントに指示をして、トーンなどの作業を進めます。
20時に軽い夕食。時間がもったいないという理由で自分で作ることは基本的にしません。この日はピザを出前し、アシスタントと分け合って食べました。
その後、22時頃からネーム作りを開始。夜の方が周りも静かになるのでペン入れも捗るそう。その日は少し余裕があったので、このタイミングでアシスタントの人は仮眠。彼らが寝られるように、漫画家の事務所には必ずたくさんの布団が用意されているのです。
アシスタントが寝ている間に、静かになった事務所で一人でネーム作りをします。26時頃に睡魔が襲ってきて集中力も落ちてきたので、次の日のために仮眠をとります。もちろん、何時間も寝るようなことはしません。あくまでも仮眠で、朝6時までには起床して、次の日もその次の日も今日と同じように過ごします。
このように、漫画家の1日は壮絶です。人気漫画家でも新人漫画家でもこのようなスケジュールで漫画を書いている人は多いそう。絵を描いたり、ネタを考えたり、編集者と打ち合わせをしたり、漫画を描くためにすることはたくさんあるのです。もちろん、取材のために外出することもあります。
漫画家はこのような壮絶な1日を過ごしますから、体力が必要です。それから一つのことに集中して取り組める人、そんな人でなければ漫画家として成功することはできません。
以下では、漫画家として活躍するために必要となる基礎的な知識を得られるおすすめの本を4冊紹介していきます。
- 著者
- 飯塚 裕之
- 出版日
- 2013-07-19
この本は、漫画を描きたいと思った方がまずはどんなことを学べばよいのかを知りたいときにぜひ手にとってほしい本です。漫画家の仕事内容をはじめ、漫画家として身につけておきたいテクニックについても非常に詳しく紹介されています。どんな道具を使って、どんな風に漫画を描けばよいのかが非常に分かりやすく説明されています。
基本的な技術はもちろん、プロのテクニックも分かりやすく紹介されている本著。それとともに実際のプロの漫画家の仕事場を訪問したことも紹介されており、漫画家として働くということが具体的にイメージできるようになる本です。
- 著者
- 荒木 飛呂彦
- 出版日
- 2015-04-17
人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦先生が書いた渾身の1冊です。漫画は最高の総合芸術と主張する荒木飛呂彦がこれでもかというほど人気漫画の作り方を説明してくれます。彼の企業秘密ということで、実際の漫画家がここまで書いても大丈夫なのと思うほど詳細に漫画を描くということについて説明されています。
内容として、漫画を実際に描く具体的なテクニックについての言及は多くありません。むしろ、「魅力的なキャラクターを作るためにはどうすればよいのか?」、「面白いストーリーはどうすれば思いつくのか」など、漫画家として生きていくための考え方が述べられています。
理論的に漫画のノウハウを書いており、ページ数も多くないのでサラッと読むことができる1冊です。
- 著者
- ["藤田 和日郎", "飯田 一史"]
- 出版日
- 2016-07-12
アシスタントからどうやって独立した漫画家としてデビューするのかについて非常に詳しく紹介されている本著。語りかけるように、漫画家としてするべきことを説明してくれており、作品を作ることの難しさを痛感させられます。
漫画家志望の若者のために書かれた本ですが、新社会人の方が読んでも満足できる内容。「自分で仕事を勝ちとる」ために何をすべきなのか、という本質的なことが書かれています。
もちろん漫画家になるための具体的な内容もあり、それが作家視点だけではなく、編集者視点からも述べられているので、漫画をどのように作ったらよいのかが詳しく分かるでしょう。
- 著者
- 佐倉色
- 出版日
- 2017-06-09
漫画家としてデビューした直後に本当に起こりがちなコワイ話が満載の本です。実際に作者が経験したことが紹介されているので、漫画家デビューしたばかりの人には特に手にとってほしい内容です。新人漫画家なら誰もが直面するできごとについて非常に詳しく紹介されています。
新人漫画家としてデビューすることはゴールではありません。漫画を作るまでのどんなプロセスをたどるのか、そしてそのなかでどんなことが起きるのか。普段目にすることのない漫画作りの難しさが非常に詳しく紹介されています。
「そんなこと本当にありえるの?」と思うことが本当に起こるのが漫画家の世界。読み物としても楽しむ読み進めていくことができるので、おすすめです!
漫画家として生きていくこと、そして食べていくこと。それは決して簡単なことではありません。人気漫画家がいる一方で、新人作家やアシスタントには非常に厳しい現実が待っています。それでも夢を追いかけて漫画家としてデビューしたい。そんな方はぜひ紹介した本も参考にしてみてはいかがでしょうか?