プロデューサーになるには?5分で分かる、年収や仕事内容、役職など

更新:2021.11.13

プロデューサーと聞くと、業界の偉い人というイメージを持っているものの、良く知らないという方が多いのではないでしょうか。具体的にはどんな立場で、どんな仕事をしているのか、おススメの本とともに、職業プロデューサーのあれこれをご紹介いたします。

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プロデューサーの仕事内容、年収、役職は?

プロデュースとは、制作する事を意味する言葉です。プロデューサーは、プロデュースをおこなう人のこと。主に企画や制作過程に携わっています。プロデューサーと一口に言っても様々な業界に存在しており、多くは映画やテレビ、ラジオ、アニメ、舞台、ショーやイベント、WEB制作、ゲームなどのメディア関連業界で活躍しています。

業界によって差異はありますが、主な仕事内容は企画立案、制作に必要な資金の調達や、予算の算出、スポンサーとの交渉、タレントやキャストのスケジュール調整と管理、制作現場の立会い、スタッフなどの人材調達など。いわば様々な制作に関わる土台を受け持つ、裏方業務を一手に引き受ける職であると言えます。

1つのものを作り上げるための、枠組みを作り上げる人でもあるので、必要となってくるのは、経験や人脈。人を管理統括し、決定権を持っているので、役職としてはかなり上の方、一般的な会社でいう部長クラスに相当します。

一括りにディレクターとして説明してきましたが、当然ながら就職してすぐに部長クラスの責任ある立場になるわけではありません。アシスタントディレクター(AD)として補助やサポートをする職で経験を積み、やがてチーフプロデューサーやエグゼクティブプロデューサーといった、全体の統括を任される立場になるのです。

制作の責任者という事もあり、年収が高めという印象のプロデューサー。特にテレビ局のプロデューサーの年収は高く、1000万円~2000万円ほど。逆に番組制作会社の場合は500万円ほどと、少々控えめ。

人気なども関わってくる音楽プロデューサーは上下幅が激しいですが、他業界もおおむね年収300万円から500万円程度と、一般的なサラリーマンとほぼ同じくらいの年収のようです。

しかし、プロデューサーには週休2日など、定期的な休みが設定されていない場合が多いようで、休みが自由に取れないという弊害はある様子。進行に遅れが生じた、不具合への対応等すぐに応対しなければならず、臨機応変さも求められます。

プロデューサーとディレクターの違いは?

プロデューサーは、企画立案や資金調達を始めとした、裏方の仕事を統括する色であると解説してきました。こちらでは、イマイチ違いが良くわからない、ディレクターとプロデューサーの違いについて説明していきたいと思います。

ディレクターとは、制作物の監督を任されている職です。プロデューサーが裏方業務全般を任されているのに対し、ディレクターは制作されるもの、作品の質への責任を持たなければならない立場です。テレビドラマや映画などでは「監督」と称されることが多く、アニメ業界では、監督と同意か、制作会社によってはシリーズディレクターと呼び、監督と明確に区別することも。演劇関係では演出家、ゲーム業界では制作担当者を示す言葉として使用されています。

基本的にプロデューサーは作品の進行度やスポンサーの意向などを伝える役割を担いますが、作品に対して口を出すことはできません。「ラストが気に入らないから変更して」等々と要望を出すことも、基本的には歓迎されませんし、越権行為であるとみなされるでしょう。あくまでもプロデューサーは、作品を作る過程で、不具合なく進行するように取り計らうのが仕事であり、ディレクターは決まった枠組みの中で、作品の質を向上させていくことが役割であると言えます。

メディア業界やWEB制作にかんしては、裏方と作品作りという大まかな枠組みができていますが、音楽業界に関しては、少々異なります。音楽プロデューサーは、アーティストの基本コンセプトから売り方、実際の音源やレコーディングにも携わりますが、音楽ディレクターは事務的な方面を担います。音楽業界だけは、他の業界とは違い、役割が逆転しているようです。

プロデューサーの業界ごとの仕事内容は?

プロデューサーが担わなければならない役割に、大きな違いはありませんが、同じプロデューサーとは言えども、少々業界によって仕事内容は異なります。まず、プロデューサーというと真っ先に浮かぶのが、テレビ業界ではないでしょうか。

テレビ業界のプロデューサーは、企画立案から制作の進行などを管理する、裏方業務が中心です。しかし、ここからここまでという幅があるわけではなく、必要ならば何でもこなさなければなりません。

主な役割は制作スタッフとスポンサーとの、意見のすり合わせや、金銭管理。そこからスタッフや出演者の確保など、多岐にわたります。制作現場という土台があり、そこへ必要な物資や人材を届けるというのがプロデューサーの役割なので、コミュニケーション能力と人脈が必要になってくるでしょう。さらに様々な場面での交渉能力、一点だけではなく全体を見守る広い視野も持っていたいですね。

また、映画なども大きな役割の違いはありませんが、テレビ業界はテレビ局自身がテレビという宣伝媒体を持っているのに対し、映画にはそれがありません。企画立案、スポンサー集め、スタッフやキャストを集め、といった流れで制作が進行している中、プロデューサーは新たに宣伝に関わる業務を展開していきます。

当然ながら、人に知ってもらわなければどんなによい作品も意味はありません。どのような宣伝が効果的か、より集客が狙えるのか、広告代理店なども交え、よりヒットさせるための広告戦略を練っていくのも、プロデューサーの仕事。また映画のプロデューサーの場合、上映する映画館の手配をするというのも、映画業界らしい役割といえます。

そしてアニメのプロデューサーの場合、資金に関するプロデューサーと、制作にかかわるプロデューサーという人が存在します。制作にかかわるプロデューサーは、テレビや映画業界と大きな差はありませんが、アニメならではといえるのが、資金に関するプロデューサーの存在でしょう。

作品に出資したスポンサーがその仕事を担当するのですが、関連商品の権利を持っています。たとえばアニメがヒットした際に制作されることがある、フィギュアなどのグッズや、ゲームなどです。出資した資金以上の利益を回収しようと様々な企画を打ち出し、作品全体の成功へ導くのがスポンサーサイドのプロデューサーの役割です。

そしてWEB制作プロデューサーは、媒体がWEBサイトという点以外、大きな違いはありません。ただ事前マーケティングやコンセプトの設定など、企画立案時点での正確な分析や予測なども必要なこともあり、よりビジネスに特化した面があるのは特徴かもしれません。

音楽業界のプロデューサーは、前の項目でも触れましたが、作曲家としての知名度が高いなど、相応の実績を持っている人物がなるケースが多いようです。主な業務は、音楽に携わるすべてのこと。狭い意味では音楽そのものの制作責任者という意味で使用されますが、アーティストのプロデュース、広告や発掘、育成なども担当しているケースがあり、広義の意味では音楽制作の中核を担う人と考えてよいようです。

最後にゲーム業界ですが、テレビ業界などと大きな違いはありません。その職業にもいえることですが必要なのは専門的な知識。こういうところがうまくいかない、と説明された時に、自身も理解していなければ、他者にうまく伝えることができません。ゲームプロデューサーは業界内で経験を積んだ後に抜擢されるケースが多いようですが、他業種からの転職の場合は、より早く専門的な知識を身に着けておく必要があると言えます。

考え方が劇的に変化?内容充実のプロデュース思考論『プロデュース能力 ビジョンを形にする問題解決の思考と行動』

著者
佐々木 直彦
出版日
2008-12-19

 

思考というのは生まれ育った環境により、育まれるもの。日々の生活の中でも、人の思考は変化していきます。職業によってこういった思考にならなければならない、という制約はありません。しかし、こういう事を考え、実践していけるようになれば、より仕事にも有益になるだろうという考え方はあります。

本書は、プロデューサーになるためのそんな思考を手助けするために役立つ本です。論理的ですが表現はとても分かりやすく、プロデューサーに必要な思考方法を解説しています。小説風の事例が多いので物語に引き込まれていくうちに、より本書の定義するプロデュース能力をイメージすることができるでしょう。

プロデュース能力というと、何か特別な印象を受けますが、本書ではプロデューサーだけではなく、ビジネスの問題解決方法の手法としてこの能力を鍛えることを推奨。想いや夢を形にする方法として定義し、実践するための技術を紹介しています。自己啓発本として幅広い職種、年齢層におススメできる1冊です。

 

弱小だからこその戦略満載!テレビプロデューサーの実録仕事術『伊藤Pのモヤモヤ仕事術』

著者
伊藤 隆行
出版日
2011-09-16

 

Pといえばプロデューサーを指す言葉。本書は、バラエティ番組のプロデューサーを務めている伊藤Pこと伊藤隆行の著書です。2018年5月現在、現役プロデューサーが書いた本という事もあり、なじみの薄いテレビ業界内のあれこれも知ることができます。

テレビの視聴率低迷という話題はもはや珍しくありませんが、その中でも一定以上の視聴率を維持しているどころか、勢いがあるのがテレビ東京。伊藤Pはテレビ東京のプロデューサーで、お笑いコンビ「さま~ず」が出演する「モヤモヤさまぁ~ず2」や多くの深夜番組を手掛けてきました。本書内では番組制作の裏話に加え、どういった考えで仕事に臨んでいるのか、というのも書かれています。

どちらかといえばエッセイに近い内容ですが、現役のバラエティ番組プロデューサーの実体験が様々なところに記されており、業界を目指す人には参考になる部分は多いでしょう。また、番組出演者からの寄稿も数多く、番組ファンにも嬉しい内容です。

予算が無いからダメ、というわけではなく、考え方ひとつで変わるということを教えてくれる本書。番組を見た後に読むとより感慨深い気持ちを味わえるかもしれません。

 

好きなことが仕事になる!アニメ業界が良くわかる本『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み』

著者
福原 慶匡
出版日
2018-03-25

 

小さな頃、将来なりたい職業を考えた時に、自分の好きなものに関わる職業につきたい、と誰しも考えるでしょう。スポーツ選手や幼稚園の先生、お花屋さんやケーキ屋さんと、その夢には子供たちの好きなものが詰まっています。年齢を重ねるにつれて考え方は変わっていきますが、やはり好きなことを仕事に、という希望はどこかで捨てきれない人も多いでしょう。

本書は、アニメ業界で働きたい、というアニメが好きで、その夢を追いかけたい人へ向けておススメできる本です。アニメはどうやって制作されているのか、プロデューサーの目線で見ることができるため、製作者サイドからアニメを知りたい、というコアなファンにもおススメです。

実体験も交えていますがエッセイというよりは実用的な内容。実務に沿っているので、よりアニメプロデューサーの現実的な業務を想像することができます。

また、アニメ業界全体の問題でもあるアニメーターの貧困やオーバーワークなど、業界内の問題もいくつか紹介。人に夢を見せるアニメですが、この本では働いている人間の姿がリアルに見えてきます。

 

ゲームだと侮るなかれ!仕事の極意が詰まった良質のビジネス書『安藤・岩野の「これからこうなる! 」 ─ゲームプロデューサーの仕事術─』

著者
["安藤 武博", "岩野 弘明"]
出版日
2017-05-26

 

テレビゲームはお好きでしょうか。喫茶店などに置かれたインベーダーゲームに始まり、家庭用ゲーム機を経て、スマートフォンと、ゲームはより身近な存在になりました。ボタン1つで現実とは違う世界観を味わうことができるというのは、大変魅力的です。スマートフォンの普及で日々様々なゲームが登場しており、ゲーム業界はより注目度が高くなっています。

本書は、ゲームプロデューサー安藤武博と岩野弘明の共著。スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーとして、数々の人気作品に携わってきた2人の、ゲームプロデューサーとしてのノウハウが詰まっています。

ゲームプロデューサーとしての業務など仕事のことはもちろんのこと、ちょっと厳しいゲーム業界内部のことが書かれているため、少々及び腰になることもあるかもしれません。しかし、数多の人気作を手掛けてきた2人ということもあり、その内容はとてもタメになるもの。必殺ともいえるプレゼン術はどんな職でも応用できるため、ぜひしっかりと読んでいただきたい内容となっています。

言葉はネット用語のように軽いところもありますが、内容はごく真面目で、実用的なビジネス書です。

 

プロデューサーと一口に言っても、業界によって差異があり、奥深い色であることが分かります。人と関わることが多い職種ですが、何かを作る人をサポートすることができる、やりがいのある職業です。

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