歯科衛生士になるには?5分で分かる、仕事内容や助手との違い、給料など

更新:2021.11.13

歯科診療所や病院を中心に活躍する歯科衛生士。その仕事内容については、実は知らないという方も多いのではないでしょうか?人生100年時代に突入している現代社会において、生涯を通じて歯の健康づくりや口腔ケアの重要性が叫ばれるようになっており、歯科衛生士の活躍の場はますます広がっています。この記事では、そんな歯科衛生士の仕事内容となり方、そしてその夢を目指すために読んでおきたい本について紹介していきます。

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歯科衛生士の仕事内容は?業務範囲や歯科助手との違いなど

歯科衛生士とは、「歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図る」(歯科衛生士法第1条)ことを目的として、広く人々の歯・口腔の健康づくりをサポートする専門職のこと。歯科衛生士の仕事内容については、法律によって3つ定められており、それぞれの仕事において高い知識と技術が求められます。

第1の仕事「歯科予防措置」

歯科予防措置とは、フッ素化物塗布、歯垢や歯石など、口腔内の汚れを専門な機械を用いて除去することなどを意味するもの。この意味で、歯科衛生士は、歯科予防処理の専門家として活躍することが期待されています。

第2の仕事「歯科診療の補助」

歯科診療は歯科医師が中心となって医療行為をおこなうチーム医療です。そのため、歯科衛生士は、専門家として、歯科医師の診療を補助するとともに、歯科医師の指示を受けて歯科医療の一部を行います。

第3の仕事「歯科保健指導」

現在では、虫歯や歯周病は生活習慣病の一部として認定されています。そのため、これらの病気は治療するよりも予防すること、そして、本人自らが生活習慣を改善することが大切です。生活習慣の改善のためには、正しい生活習慣やセルフケアの仕方を身に付ける必要があります。

このような歯科保健指導は、現代社会に生きるすべての人に支援が必要です。最近では、食べ物の食べ方や噛み方を通じて食育指導を行ったり、高齢者や要介護者の咀嚼(そしゃく)や飲み込む力を強くするためのトレーニングなども行います。

どこを選ぶ?専門学校や働きながら通える学校や通信、費用について

歯科衛生士となるためには、歯科衛生士の養成を専門とする学校に最低3年間通う必要があり、その養成を目的とした学校は全国にあります。

歯科衛生士試験の受験資格を得るためには、「文部科学省や厚生労働省が定める歯科衛生士養成機関で3年以上修業する」ことが規定されています。そのため、学校に通わない通信教育だけで資格を取得することはできません。歯科衛生士には、口腔や健康に関する専門知識や実務経験が必要です。実務経験を積むために、各養成学校では臨床実習なども行われています。こうした理由から、通信講座で歯科衛生士の受験資格を得ることはできません。

歯科衛生士の養成学校としては、

 

  • 国立大学や私立大学、および短期大学に附属する歯科専門学校
     
  • 県立の歯科専門学校
     
  • 看護学校や理学療法士などを目指す人が通う医療系資格の取得を支援する私立の専門学校
     

 

などがあります。

歯科衛生士は国家試験であるため、通信講座で資格を取得することはできませんが、夜間部のある学校を卒業した場合でも受験資格を得ることができます。ただし、昼間部に比べて、夜間部の養成学校の数は多くありません。夜間部は、昼間部と比べて授業のカリキュラムや進度が大きく異なります。自分に合った学校を選ぶことが大切です。

歯科衛生士は、国家試験であるため、結婚や出産などで一時キャリアを中断したとしても再就職に有利です。さらに、今後高齢化社会を迎えた際に、歯科衛生士の活躍の場は広がると考えられています。実際、歯科衛生士の求人数は年々増加傾向にあります。

歯科衛生士になるには?試験概要や難易度について

歯科衛生士になるためには、歯科衛生士国家試験に合格しなければなりません。

このことは、歯科衛生士法第11条によって規定されており、試験の実施に関する事務については、指定試験機関である一般財団法人歯科医療振興財団によって行われます。

試験を受ける場合には、書類の提出が必要となります。写真を添付した受験願書だけではなく、歯科衛生士として必要な知識と技術を習得し、受験資格があることを証明する卒業証明書、もしくは卒業見込証明書などが必要です。

試験の出題科目は以下の通りです。
 

 

  • 人体(歯・口腔を除く)の構造と機能
     
  • 歯・口腔の構造と機能
     
  • 疾病の成り立ち及び回復過程の促進
     
  • 歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み
     
  • 歯科衛生士概論
     
  • 臨床歯科医学
     
  • 歯科予防処置論
     
  • 歯科保健指導論及び歯科診療補助論
     

 

歯科衛生士国家試験は毎年3月初旬に実施され、3月下旬に一般財団法人歯科医療振興財団および厚生労働省において発表されます。

この試験に合格すれば、晴れて歯科衛生士免許証を授与。歯科衛生士国家試験の合格率は毎年95%程度を維持しており、高い合格率を保っています。

在学中にきちんと勉強しておけば、決して難しい試験ではありません。

歯科衛生士のバイブル『土屋和子のプロフェッショナル ハイジニストワーク』

著者
土屋 和子
出版日
2008-12-01

 

歯科衛生士になるなら知っておきたい基礎的なことが網羅的に紹介されている本です。歯周組織の基本となる知識から、歯科予防処置において使われる道具に関する知識、ホワイトニングやインプラントなどに関する知識まできちんと取り上げられています。

歯科衛生士の世界は日進月歩です。治療のための新しい技術や設備は次々と開発されており、歯科衛生士になった後も、日々新しい知識を身に着けていく必要があります。

この本では、歯科衛生士として活躍するために必要となる専門性の高い知識まできちんとフォローされているため、歯科衛生士になったばかりの人から現在歯科衛生士としてステップアップを考えている人にまで幅広く役立ちます。
 

この本の著者である土屋和子士は、実際に歯科衛生士として活躍する方。現在ではフリーランスとして歯科臨床やセミナーなど幅広く全国で活躍しています。

この本の特徴は、歯科衛生士として身に付けるべき知識や道具の使い方についても非常に詳しく説明されているだけでなく、歯科衛生士にとって必要となるメンタルのあり方についても言及されていることです。

患者さんやドクターとのコミュニケーションの仕方についても説明されているので、歯科衛生士として活躍したい方には非常に参考になる情報が満載の本です。

 

歯科医院経営の極意とは?「輝く華の歯科衛生士」

著者
出版日
2006-11-01

 

この本は、歯科医院を経営するために必要なスキルに関する本です。

歯科医院が過剰に供給されている昨今では、歯科医院を経営することも非常に重要な課題の1つ。

歯科医療は、歯科医師と歯科衛生士などによって行われるチーム医療です。そのため、歯科医院をうまく運営し、地域に愛される歯科医院となるためには、といったことについても、歯科医師と歯科衛生士とでともに考えていかなければなりません。

これからの歯科衛生士のあり方や歯科医院の経営などについて非常に詳しく紹介されている本著。歯科医師・歯科衛生士・スタッフできちんとコミュニケーションを行い、一人ひとりが意識を改革していけば、長期的な視点から将来の歯科医療の在り方を考えることができると呼びかけてきます。

歯科衛生士だけではなく、歯科医院の経営者である歯科医師にもぜひおすすめしたい本です。

 

新常識を学べる!?『非常識な歯科医選び ―「早期発見・早期治療」ってホント?』

著者
竹尾 昌洋
出版日
2011-06-02

 

行列ができるほどの人気歯科医師だという、本作の著者・竹尾昌洋。歯科医療の常識として世間で認識されていることに、ちょっと待って!と警鐘を鳴らします。目からうろこな新常識の連続が本作で明かされます。

この本の中で著者は、歯は削ったり、かぶせたり、抜いたりするべきではないと主張。そもそも、歯は治療が必要な段階になるまでほったらかしにするものではなく、定期的に検診をおこなうものなのです。

歯科衛生士の仕事の1つである「予防歯科医療」も正にこのこと。きちんと口内の衛生環境を整えて、虫歯や歯周病の予防に徹すれば、歯を抜くことも、削ることも、被せる必要もなくなります。

この本を読めば、歯科衛生士の仕事として予防医療が非常に重要であることが理解できるようになるはずです。もちろん、歯科衛生士に参考になることもたくさん詰まっているので、その夢を目指す方にもおすすめです!

 

歯科衛生士の活躍の場は今後もどんどん広がっていきます。特に歯科衛生士がおこなう予防医療の重要性は非常に高まっています。

高校を卒業した後、適切な機関で学ばなければ、歯科衛生士になるための試験すら受けるができません。そのため、できるだけ早く自分の進路を決めておくことが大切です。社会人になってから歯科衛生士を目指す場合には、夜間の学校を目指しましょう。

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