漫画『今際の国のアリス』最終回までの見所をネタバレ紹介!現実世界はどうなっている?げぇむとは?

更新:2023.3.9

「生き方」をテーマにしたデスゲーム漫画『今際の国のアリス』。死と隣り合わせの世界で主人公が成長していく物語です。ユニークでスリリングな「げぇむ」の数々を、ぜひ楽しんでみてください! この記事では、最終回までの見所をネタバレしつつ紹介していきます。

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『今際の国のアリス』最終回までの面白さを紹介!波乱の異世界×デスゲーム漫画がすごい!

漫画『今際の国のアリス』は、麻生羽呂によって「週刊少年サンデーS」「週刊少年サンデー」で2011年から2016年まで連載されました。

体力や知力、精神力などのさまざまな能力が求められる多彩なデスゲームと読み手が考察したくなってしまうような謎の多い世界観が人気を呼び単行本は18巻まで発売されています。

本記事では、漫画『今際の国のアリス』の4つの魅力をご紹介。ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください!

2020年にはNetflixで山崎賢人主演でドラマ化され大変な話題に


主演を務める山崎賢人の出演作をまとめた以下の記事もぜひご覧ください。

山崎賢人が出演した映画、テレビドラマを逆引き!実写化オファー殺到のからくり

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無垢なイメージの少年から、大人の魅力あふれる実力派俳優へと変貌した山崎賢人。「実写やりすぎ俳優」の代名詞といわれるほど多くの漫画・小説作品の登場人物を具現化してきました。なぜこれほど引っ張りだこなのか疑問に思う人も多いでしょう。 この記事では、そんな山崎賢人の演じてきた役柄と作品について紐解きながら、そのからくりを解き明かしていきます。

著者
麻生 羽呂
出版日
2011-04-18

 

『今際の国のアリス』あらすじ

『今際の国のアリス』あらすじ
出典:『今際の国のアリス』1巻

落ちこぼれの高校3年生・有栖良平(アリス)は、うまくいかないことばかりの日常にうんざりしながら日々を過ごしていました。そんなある日、親友の苅部大吉(カルベ)、勢川張太(チョータ)と3人で夜遊びをしたアリスは、突如打ち上がった巨大花火の衝撃に巻き込まれ、気を失ってしまいます。

意識を取り戻した3人がいたのは、なぜか荒廃してしまった東京。「今際の国」と呼ばれるこの世界で、彼らを待ち受けていたのは、生き残りをかけた「げぇむ」だったのです!

見所1:理不尽なゲームに挑んで生き延びろ!

見所1:様々なゲームが面白い!
出典:『今際の国のアリス』3巻

本作のキーワードの1つである、「げぇむ」と呼ばれる数々のデスゲーム。生き延びるためには、これに勝つしかありません。すべての用語がひらがなで表記されており、その無邪気な感じがかえって不気味です。

ゲームには4つのジャンルと13段階の難易度があり、トランプのカードで表現されています。ゲームに勝つと「びざ」を入手することができ、数字と同じ日数だけ生き延びることが可能です。

それぞれのゲームの特徴をネタバレ紹介!

スペード・・・「スペード」は身体能力がものをいうジャンルです。たとえば難易度5の「おにごっこ」は、銃を持った「おに」から逃げ回り、制限時間以内に「じんち」にタッチすると「げぇむくりあ」となります。体力勝負ということで、シンプルなルールのものが多いです。

ダイヤ・・・「ダイヤ」のゲームで求められるのは、知識や知能。「ぶらっくじゃっく」や「まあじゃん」など、ギャンブル系のゲームが多く、参加者同士の駆け引きが楽しめます。

クラブ・・・「クラブ」のゲームはバランス重視。頭と体を同時に使うものばかりです。たとえば難易度4の「らんなうぇい」は、一見「おにごっこ」のように逃げ回りながらゴールを目指すゲームに思えますが、実はもう1つのクリア条件が隠されています。ゲームの舞台にそのヒントがあり、それに気づいて、隠されたクリア条件を見抜くための知能も求められるのです。

ハート・・・「ハート」は精神にダメージを与えようとするゲーム内容になっています。たとえば100人以上のチームが参加することになる、難易度10の「まじょがり」は、制限時間内にメンバー殺害の真犯人を見つけて処刑すればクリアというゲームです。条件自体はシンプルですが、「仲間を殺された」という動揺が状況を複雑にし、疑わしきを罰して犠牲者を増やしていくという過酷な展開になるものが多いです。

以上のような「げぇむ」に挑んでいく中で、落ちこぼれだったアリスの、隠されていた能力が開花していきます。理不尽なゲームに翻弄されながらも生き残るために必死で戦うアリスの姿は、必見です!

 

見所2:考察しがいのある世界観!ジョーカーの正体は?

見所2:考察しがいのある世界観!ジョーカーの正体は?
出典:『今際の国のアリス』8巻

今際の国にはいくつかのルールが存在します。

  1. 「げぇむ」は毎日、日没後に開催される
  2. 「げぇむおおばぁ」は死を意味し、「びざ」が切れた場合は強制排除される
  3. 「びざ」が切れて死ぬ前に「げぇむ」に参加しないといけない
  4. 「げぇむ」の難易度はトランプで示される

しかし、本作の設定には謎に包まれた部分が多く、最終回でも明らかにされていないものもあります。そのため、ファンが世界観について考察しているブログなどが多いです。

たとえば、今際の国を支配する「ジョーカー」の正体についてです。姿を見せることなく今際の国に迷い込んだ人間たちに一方的に「げぇむ」をさせてきたジョーカーですが、18巻で突如アリスの前に現れます。今際の国や「げぇむ」の秘密について明かすのかと思いきや、ジョーカーはアリスに次のような質問をします。

「私が…神に見えるか? それとも……悪魔に見えるか?」
(『今際の国のアリス』18巻より引用) 

これに対しアリスは、

「いや…アンタはただの、中間管理職だろ?」
(『今際の国のアリス』18巻より引用)

と答えます。

ジョーカーの出番はこれだけですが、なぜそのような質問をしたのか、そしてなぜアリスがそのように答えたのかについては、はっきりとは説明されていません。しかしながら、それまでのストーリーを読み返すと、アリスが「人はそれぞれ辛い思いを抱えている」ということを理解する場面があります。それをきっかけにジョーカーも実はそういう立場だったのではないかと推し量り、「中間管理職」という言葉を使ったのではないかということも考えられます。

このようにはっきりとした答えはないものの、作中に手がかりがちりばめられており、それが考察を促すのではないでしょうか。ぜひ、物語の奥に隠された部分に思いをはせながら読んでみてください。

見所3:極限状態の人間の心理、言動に引き込まれる!

見所3:極限状態の人間の心理、言動に引き込まれる!
出典:『今際の国のアリス』5巻

先述のように、本作の「げぇむ」はすべてのものが命がけです。そのため、参加者たちはしばしば極限状態となり、そのときの心理や言動が生々しく描かれています。その好例の1つが、ハートのJのゲーム「どくぼう」です。

装着させられた首輪の後ろ側に表示されるトランプのマークを答えるというのを、参加者の中に紛れ込んだターゲットが死ぬまでくり返すというゲームで、正答するためには参加者同士が答えを教えあうしかありません。鍵となるのは「信用」です。

開始当初は多くの参加者がグループを形成し、協力してクリアを目指すのですが、ターゲットを含む一部の非協力的な参加者の行動や、水面下で行われる根回しにより、グループ内の信用が徐々に崩壊。疑心暗鬼に陥ったメンバーたちが他者をだましたり、教えてくれたマークが本当かどうかを疑った末に誤答したりして、次々に死亡していくのです。

このように、極限状態に置かれた参加者たちが恐怖や絶望、混乱といったさまざまな心理状態に陥り、そこから脅し、罵倒、裏切り、殺戮、自殺といった言動につながっていきます。先の読めない展開にハラハラしたりゾッとしたりしつつも、引き込まれていくことでしょう。

見所4:読者に「生き方」というものを問う【最終回ネタバレ注意】

著者
麻生 羽呂
出版日
2016-04-18

本作18巻に掲載された最終回は、賛否両論があります。作中で張りめぐらされていた伏線を回収したり、今際の国の謎を明らかにしたりするような内容ではないことが理由です。それらを期待して読むと、「なぜこんな内容なのか」と疑問に思うことでしょう。

しかしながら、本作が「生き方」をテーマにしていると考えれば、最終回の内容に納得がいきます。

アリスをはじめとするキャラクターたちは、今際の国に迷い込む以前にいろいろな事情を抱えて生きてきました。彼らは皆、今際の国で「げぇむ」を重ねていく中で、「生き方」に向き合い、それぞれの答えを見出していきます。

そして最終回では、さらにいろいろな「生き方」があるのだということを感じさせられます。そうすることで、作者は読者に対して「あなたはどういう『生き方』をしますか?」という問いかけをしているのかもしれません。答えを出せなくても、「このキャラの生き方が好き」といったように、キャラクターの生き方について考えてみるのも面白いでしょう。

漫画『今際の国のアリス』最終回ネタバレ!「今際の国」の正体とは?

それでは『今際の国のアリス』最終回をネタバレしていきます!「今際の国」の正体についても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

ぷれいやぁに課された選択

全てのげぇむが終了し、ぷれいやぁには2つの選択が与えられました。

①このまま今際の国に残る
②今際の国から抜け出す

②を選べば助かるように思えますが、必ずしも現実世界に戻れるとは限りません。また、今際の国から抜ける=死という可能性も…。それでも大半のぷれいやぁが②を選択。しかし、矢馬と磐田は今際の国に残ると宣言しました。

現実世界へ戻ったアリス

アリスたちが今際の国でげぇむをしていたころ、現実世界には小隕石が落下し、多くの人が生死を彷徨う世界となっていました。

アリスだけでなく、ウサギやドードーたちも全員が生死を彷徨っていたのです。そして、「今際の国」でゲェムに負けた人や排除された人は、現実世界でも亡くなっていました。友人たちが無くなって悲しみに暮れるアリスですが、前を向いて「それでも生きていく」と決意。

その後、アリスは病院内でウサギと再会。お互いのことを忘れてしまったようですが、アリスはウサギに声をかけ、交流を深めるのでした。

隕石落下から2年後

東京隕石災害から2年が経過しましたが、まだ完全に復興したとはいえない状態です。首都圏中枢部の崩壊は景気の低迷や自殺率上昇など、様々な問題を引き起こしていました。

そんな中、アナウンサーが街頭インタビューを行っていました。

「あなたはなぜ生きていると思いますか?」
『今際の国のアリス』18巻より引用

まともなことをいう人もいれば、適当にはぐらかす人、答えずに去っていく人、反応は様々です。そしてアナウンサーは偶然通りかかったアリスにも同じ質問を投げかけました。

「オレは――」
『今際の国のアリス』18巻より引用

アリスの答えはこれだけで、何と答えたのかは描かれませんでした。しかし、たくましく生きる人々の姿が描かれていることから、アリスも前向きな返答をしたのでしょう。

最後はアリスがウサギと思われる人物とデートの予定を話すシーンで終了となりました。


以上が『今際の国のアリス』の最終回となります。「今際の国」の正体は様々考察されてきましたが、この内容から考察すると、「今際の国」は人々が生死を彷徨う、死の一歩手前の世界を意味するのでしょう。その証拠に、「今際の国」で亡くなった人やげぇむに負けた人は、現実世界でも亡くなっていますからね。

『今際の国のアリス』はデスゲームの残酷さばかりに目が行きがちですが、それ以上に綿密に練られた展開に度肝を抜かれること間違いなしです。

ぜひ、スリリングな物語を楽しみつつ、「生き方」について考えてみてください。

ありがとうございました!

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