チンパンジーは共食いをする⁉意外と知らない生態を紹介!特徴や知能など

更新:2021.5.4

人間にもっとも近い霊長類といわれるチンパンジー。実は共食いをすることをご存知でしたか?この記事では、彼らの意外と知られていない生態や性格、知能の高さ、ボノボとの違いなどを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。

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チンパンジーの生態を紹介。握力が驚異的!

霊長目ヒト科チンパンジー属に分類され、約500万年前に我々ヒトの祖先と分かれたといわれています。

体長はオスが約85cm、メスが約77.5cm、体重はオス40~60kg、メス32~47kg程度です。全身の毛は黒く、顎のあたりだけ白い毛が生えています。寿命は50年ほどです。

アフリカ大陸のセネガルからコンゴ民主共和国、ウガンダ、ルワンダ、タンザニアにかけて生息しており、20〜100頭ほどの群れを形成して暮らしています。

昼行性で、地上を歩く際には四足歩行をし、行動圏内は10~20㎢、乾燥した地域などでは数百㎢におよぶ場合もあるようです。夜になると樹上に木の枝や葉を用いた寝床を作って眠ります。

雑食性で、主に果物を食べますが、植物や、イノシシ、リスなど小型から中型の動物を口にすることもあります。蟻塚に棒を突っ込んで白蟻を食べる、硬い果物の殻を石を使って割る、大きな葉を使って水を掬うなど、さまざまな道具を用いる知性と、仲間と協力して集団で狩りをおこなう社会性を持ち合わせていることも特徴です。獲得した食料は、母子や群れのなかで分配することも多いようです。

握力が200~300kgと非常に強く、車のフロントガラスを叩き割った事例もあります。また脚力も発達しており、垂直に4m近くジャンプすることができます。

 

チンパンジーの性格は?人を襲うほど凶暴⁉

彼らは賢い動物としてテレビ番組などにも登場し、お茶の間の人気を獲得しています。しかし実は、人や動物に攻撃する可能性がある凶暴な動物でもあるのです。

野生のチンパンジーは「猛獣」に分類されており、飼育下でも人間を襲ったという事例もあり、日本では「人の生命、身体、または財産に害を加える恐れがある」として、「特定動物」に指定されています。気性が荒いイメージのあるゴリラよりも危険な場合があるそうです。

特にオスは、繁殖期になると凶暴性が増します。相手の強さを計算し、自分より弱いと判断すると襲うこともあります。過去には、車から人間を引きずり出して殺害してしまったこともありました。

 

チンパンジーは共食いをする⁉

かわいらしいイメージもあるため「まさか」と思う方もいるかもしれませんが、チンパンジーが共食いをしたという事例は数多く報告されています。

群れで生活する彼らは縄張り意識が強く、異なる群れに所属する個体に激しい敵意を抱くそうです。群れ同士の抗争が発生し、勝敗がついた場合、敗れた側は逃走します。しかし、この時逃げ遅れた子どもなどが襲われ、その肉を勝利した群れの仲間内で分配するのです。

弱肉強食の世界なので弱いものが犠牲になる現実は仕方のないことかもしれませんが、同じ種で争う姿を見ると、やはり彼らと人間は本質的に近い動物であると感じてしまいますね。

 

チンパンジーの知能は人間でいうとどれくらい?

高い知能をもっているといわれるチンパンジーですが、実際にどれくらい賢いのでしょうか。

彼らの遺伝子は人間に非常に近く、98.4%は同じだそうです。生活のなかで道具を用い、高度な問題を解くことができるほか、訓練しだいである程度の言語を習得することもできます。また、じゃんけんの勝敗も理解できるそうです。

さまざまな研究の結果、チンパンジーの知能は人間に換算すると3~4歳児程度だと考えられています。

1961年には、人間の代わりに宇宙旅行にも出発しました。米国のロケットで宇宙に行った「ハム」と「エノス」は、自身でボタン操作などをおこない、宇宙空間でも生物が行動可能であることを証明したのです。

 

チンパンジーとボノボの生態の違い

彼らとボノボの2種で形成されているチンパンジー属ですが、両者の見た目にはほとんど違いがありません。実はボノボは、かつて「ピグミーチンパンジー」と呼ばれていました。およそ300万~100万年ほど前に共通の祖先から分かれたと見られています。

外見はよく似ていますが性格は正反対で、ボノボは「平和主義者」と呼ばれています。

チンパンジーの群れにはボスがいて、力で群れを支配しています。そのためボスが年老いて力が弱くなると、若いオスが力ずくでその地位を奪ってしまうのです。

それに対してボノボは、オスではなくメスが群れの主導権を握り、力ではなく「性」でコミュニケーションを図ります。方法はディープキスなどさまざまですが、メス同士が抱き合って互いの性器をこすりつけあう方法は「ホカホカ」と呼ばれており、ボノボ特有の行動です。

なぜ一方が攻撃的になり、一方が平和的になったのかについては、さまざまな研究がなされています。一説によると、元々チンパンジーはアフリカのコンゴ川右岸、ボノボは左岸に生息していたとのこと。そして右岸には左岸にはいないゴリラが生息していたため、餌を巡って争った結果、右岸にいるチンパンジーの気性が荒くなったのではないかといわれています。

遺伝的にはほんのわずかな差しかない2種ですが、暮らしてきた環境がその性格に大きな影響を与えたのかもしれませんね。

 

人間を人間たらしめているものとは

我々が「動物」という言葉を口にする時、そこに人間自身は含んでいないことがほとんどでしょう。潜在的に「人間と動物は異なる」と考えているのです。
 

しかし実際には、チンパンジーと人間の遺伝子的差異はわずか1.6%しかありません。この差は一体何なのでしょうか。また、何が共通していて、どれほどの違いがあるのでしょうか。

著者
["ジャレド ダイアモンド", "レベッカ ステフォフ"]
出版日
2017-06-02

本書は人類進化と文明の発展について、進化生物学・生理学・生物地理学などの観点を駆使して論じています。結論からいうと、人間を人間たらしめているものは「言語能力」と「過去から学ぶこと」だと作者は述べています。

チンパンジーと同じく、人間もまた仲間内で殺しあう残酷性を持った動物ですが、その過ちから教訓を得ることができる点において異なる、ということです。

人間の進化という過去を紐解き、それを未来の世代に託す……。タイトルにもある「若い読者のため」という言葉には、作者の想いが込められているのです。若い世代に限らず、多くの方に読んでもらいたい1冊です。
 

チンパンジーとボノボ、どちらの生き方を選ぶ?

一方は力の強いオスが攻撃性の高い社会を作る、もう一方はメスが主導する平和的な社会を作る……。

どちらが良くて、どちらが悪いというわけではありません。置かれている環境によって、正しさは変わります。

本書ではヒトにもっとも近い動物である2種の研究を通じて、人類の起源と未来を考察しています。

作者は、長年アフリカで双方の群れを観察し、生態を比較してきました。その過程で得られた豊富な観察事例を、写真を交えながら解説していきます。文章も読みやすいので、堅苦しい本が苦手な方にも手にとりやすいでしょう。
 

著者
古市剛史
出版日
2013-12-10

この研究を通じて作者は、我々ヒトのなかにはチンパンジーに似通った部分と、ボノボに似通った部分の両方があることがわかってきた、と述べています。

これは人類の進化の過程を考えるうえで、とても興味深い考察ではないでしょうか。

もし生き方を選ぶことができるなら、自分はどちらを選ぶか。そんなことを考えるきっかけにしていただきたい1冊です。

 

動物のなかでも身近な存在のチンパンジーですが、調べてみると意外と知らない生態があることがわかります。彼らについて学ぶことは、多かれ少なかれ我々人間について学ぶことにもなるのでしょう。少しでも興味をもたれた方は、ぜひおすすめした本を読んでみてください。

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