愛嬌のある顔とぴょんぴょん飛び跳ねる姿が可愛らしいワラビー。カンガルーによく似ていますが、何が違うかご存知でしょうか。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、性格、飼育方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
体長は25~75cmほどで、体重は25kg未満、体毛の色は種によって異なり、赤茶色や灰色、黄色っぽい茶色や黒色などバリュエーションに富んでいます。
カンガルーと同じように尾でバランスをとりながら後ろ足で跳躍して移動します。こうすることで四足歩行よりも少ないエネルギー消費で移動ができるのだそうです。
大きな耳が特徴で、優れた聴覚を持っているだけでなく、体内の熱を発散させる役割も果たしています。
お腹に袋をもっている有袋類で、この中で子育てをします。赤ちゃんは1gほどの非常に未熟な状態で生まれた後、自力で袋の中に移動し、成長していくのです。袋から出て親離れするのにかかる期間は、おおむね30~40週程度といわれています。
生息地はオーストラリアの森林地帯や岩の多い地域、草地など。たださまざまな環境に順応することができるため、都市近郊に暮らすこともあります。夜行性で、寿命は小型の動物の割には長く10~15年ほどです。
かつては肉食の種もいたようですが、現存している種はすべて草食。なかには木の根やキノコ、昆虫を食べるものも確認されています。
約30種ほどいるワラビーのなかから、代表的なものをご紹介しましょう。
ベネットワラビー
オーストラリアの東部やタスマニアなどに生息していて、ワラビーのなかではもっとも大きな種です。
体色は灰褐色や赤褐色、茶褐色などで、メスの方が明るい色をしています。耳と四肢の先端部分は黒っぽく、口の辺りに白い筋があるのも特徴です。
ダマワラビー
主に平地の森林に生息しているもっとも小さな種で、日本でも販売されています。聴覚が鋭いのが特徴で、頻繁に耳の向きを変えて周囲を警戒している姿がよく目撃されています。
パルマワラビー
オーストラリア東部のグレートディバイディング山脈の、標高300~1000mほどに生息しており、体の中央に暗色のラインがあるのが特徴です。
大陸から持ち込まれたキツネなどの肉食動物に捕食され、他の種に比べても生息数が少なくなっています。国際自然保護連合によって準絶滅危惧種に指定され、保護活動が進められていますが、数はあまり増えていないのが現状です。
よく似た外見をしているワラビーとカンガルー。いずれも有袋類カンガルー目カンガルー科に属しており、種として科学的に明確な分類がされているわけではありません。
では違いは何かというと、その大きさです。同じ種のなかで大型のものをカンガルー、小型のものをワラビーと呼び、両者の中間あたりの大きさのものは「ワラルー」というまた違う名前で呼ばれているのです。
おおむね種の平均体長25~75cm、平均体重25kg未満のものをワラビーといい、体長75cm~115cmのものをワラルー、115cm以上のものをカンガルーと呼んでいます。全部で100種ほどいるカンガルー科のなかで、30種がワラビー、3種類がワラルーで、残りがカンガルーです。
基本的にはとても臆病な性格をしています。優れた聴覚をもっているため周囲の音にも敏感で、たとえば大きな車のクラクション音などが鳴ると、逃げようとして大きく飛び跳ね、障害物にぶつかって怪我をする場合もあります。
また縄張り意識が強く、とくに子育てをしている際は攻撃的になることもあるようです。
あまり人にはなつかないので、一定の距離を置いて接することをおすすめします。無理に抱っこをしたり触ろうとしたりするとストレスになり、噛まれたり、蹴られたりする場合もあるので注意してください。
原産国であるオーストラリアの輸出許可は必要なものの、外来種や絶滅危惧種に指定されているわけではないので日本でペットとして飼うことができます。
ただワラビーが十分に飛び跳ねることができる広さと、静かな環境が必要なので、なかなかハードルが高いのが正直なところでしょう。日本で販売されているのは全部で4種類。価格は15~30万円程度です。
草食動物のため、餌は小松菜・りんご・みかん・青草・牧草・ペレット・木の皮などを与えます。好奇心が旺盛で何でも食べようとしてしまうので、危険なものは目につかないところに置くようにしてください。口腔粘膜が傷ついてしまうと「カンガルー病」というあご骨の化膿症を引き起こしてしまう可能性があるので注意が必要です。
- 著者
- キャスリン・シル
- 出版日
- 2011-06-01
小学校の教員をしていた著者が、画家の夫と義弟と共同で発表した作品です。本作に先駆けて発売された『鳥のこと』で全米大学協会の女性児童文学者賞を受賞しました。
1ページに1種類の動物の絵が描かれ、彼らを的確に言い表した紹介文が添えられているのが特徴です。物語の要素はなく、図鑑のような仕上がり。ワラビーとカンガルーの違いなども可愛らしい細密画で描かれていて楽しめるでしょう。
オセアニアの地で独自に進化を遂げてきました有袋類たちの生態に触れてみてください。
ワラビーやカンガルー、コアラのような有袋類は、子どもを大事に育てているイメージから親近感を抱きやすい動物です。それでも調べてみると、意外と知らない生態をもっていることも事実。もし興味をもったらおすすめした作品を読んでみてください。