ピラニアといえば、「怖い魚」の代表作。しかしその生態は意外と知られていません。そこで彼らの生態や種類ごとの特徴、本当に人を食べるのかなどを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひご覧ください。
アマゾン川など南米の熱帯地方に生息している肉食の淡水魚の総称で、固有の種を指す言葉ではありません。インディオの言葉で「歯のある魚」という意味です。
種類によって大きさは15~60cmと幅広く、色もさまざま。基本的にはカラシン目セルラサルムス科セルラサルムス亜科に分類される魚です。
鋭い歯をもち、獰猛な見た目をしているのが特徴。肉食性で、主に食べるのは他の魚、水に落ちた鳥やネズミなど、自分よりも小型の魚類や小動物です。
外見に反して実は臆病な性格をしていて、単体で行動することは少なく、基本的には群れを形成して生活しています。常に同じ水域で活動し、移動することはほとんどありません。そのため乾季になると、多くのピラニアが干上がった川に取り残され、亀や鳥などの獲物になってしまいます。
寿命は5~10年ほどですが、20年生きた事例も報告されています。
ピラニア・ナッテリー
小型で体長は20cmほど。背側が緑色で腹部が赤色という特徴的な配色をしています。全体的にずんぐりと丸い形をしており、日本でもっとも多く飼育されているポピュラーな種類です。
ジャイアント・イエローピラニア
体長は40cmほどと大型の種類です。体の上部が光に当たるとキラキラ光り、腹部は黄色をしています。獰猛な性格をしていて、南米でも危険だとして恐れられています。
ホワイト・ピラニア
中型で、体長は25cmほど。「ホワイト」と名づけらていますが全体的な色見は銀色をしています。体全体に薄く斑点があり、尾びれが黒っぽいのが特徴です。
ピラニア・ピラヤ
体長は50cmほどで、ピラニアのなかで最大の種類です。腹部が濃いオレンジ色になっているのが特徴で、餌を取る時以外はほとんど動くことがなく、温和な性格をしています。
ブラック・ピラニア
こちらも大型で、50cmほどの体長をしています。体色は黒色もしくは灰色であることがほとんど。かなり獰猛な性格をしていて、もっとも危険な種のひとつだといわれています。
獰猛な「人喰い魚」のイメージがありますが、先述したとおり臆病な性格をしたものも多く、基本的には自分より体の大きな動物を襲うことはありません。
ただ彼らは、血の匂いと水面を叩く音に敏感に反応し、興奮する習性をもっています。弱った動物が水面でもがいているさまを連想させるからで、1度興奮状態になってしまうと水面が泡立つほどの勢いで一斉に食らいついてしまうそう。あっという間に骨だけにしてしまうのです。
そのため、たとえ人間であったとしても、怪我をした状態で音をたてながら川に入るのは非常に危険。襲われてしまう可能性が十分にあります。
実際に過去には、アルゼンチンのパラナ川で遊泳中だった人々が襲われたり、ペルーで少年が犠牲になったりと痛ましい事故が起きました。
恐ろしい一面をもつピラニアですが、アマゾン川周辺で生活をする人々にとっては、昔から貴重なたんぱく源としておいしく食べられてきました。白身の味わいは淡白で、刺身はブリ、煮つけはカレイ、塩焼きはホッケに近いといわれるほどおいしいのだそう。またよい出汁も出るそうです。
実は観賞魚としても人気で、日本でも飼育されているピラニア。価格は種類によって変動しますが、もっともポピュラーなピラニア・ナッテリーの場合、1匹400~700円程度で購入できます。
水槽の大きさは60cm以上が基本。また南米の魚なので、水温は25~28度と高めに維持する必要があります。ヒーターなどを設置するとよいでしょう。水槽の中にケーブルなどがあると噛みちぎられてしまうので、外付けのものを選ぶようにしてください。
掃除などをする際は、厚手の手袋を着用するのが基本です。少しでも怪我をしていると血の匂いに反応し、噛みついてくる可能性があるので気を付けましょう。
餌は、刺身や配合飼料までなんでも食べます。複数匹をひとつの水槽で飼う場合は、空腹になると共食いをしてしまう習性があるので、お腹がすかないよう餌を小まめにあげることが大切です。
これらのことに注意をすれば、他の熱帯魚と比べて水質の変化や病気に強く、長生きするので、飼いやすい魚だといえるでしょう。
- 著者
- 開高 健
- 出版日
- 1981-03-20
『裸の王様』で芥川賞を受賞するなど、昭和を代表する作家、開高健。本書は、彼が「無敵艦隊のオオカミ」と名付けた船に乗り、アマゾン川で釣りをしまくった日々を記した一冊です。ピラニアの迫力、悪魔のようなカンディル、黄金の魚ドラドなどとの名勝負の数々が描かれています。
現地でイキイキと暮らしている個性的な日系人も登場。奔放な生きざまから、みなぎるエネルギーを感じることができるでしょう。発表から35年以上が経っていますが、いまだに色褪せない名作です。
まさにタイトルのとおり「オーパ!」(ポルトガル語でびっくり)な一冊です。
- 著者
- リチャード・コニフ
- 出版日
- 2010-07-24
著者のリチャード・コニフは世界各地を巡りさまざまな生物の生態を観察している人物です。ただその方法がかなり変わっていて、チーターを飼ってみたり、毒蟻に刺されてみたりと、とにかく体当たり。祈り知らずの挑戦をしながら、体を張って生物の実態を明らかにしていくのです。
そんな彼が本書で見せてくれたのが、生きているピラニアとともに泳ぐこと。しかも、飢えたピラニアです。
危険を冒しながらもそれを楽しいと感じているリチャードは、もしかしたらどんな動物よりも珍獣かもしれません。好奇心を武器に冒険をする姿に勇気をもらえる一冊です。