夜空を見上げるとたくさんの星が光り輝いていますが、実はそのほとんどが「恒星」であるということをご存知でしょうか。この記事では、数多くある星たちの特徴や、惑星との違い、明るさを示す等級などを解説していきます。後半では宇宙に関するおすすめの本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
夜空に光り輝くたくさんの星たち。一般的に私たちは宇宙で輝くこれらを「星」と呼んでいますが、星は、大きく「恒星」と「惑星」に分けることができます。では両者の違いは何でしょうか。
恒星の大きな特徴として、その星自体が光を放出していることが挙げられます。太陽も恒星のひとつです。また夜空に輝くほとんどの星が恒星だと考えてよいでしょう。
もうひとつの特徴は、ガスで構成され、それらが幾重にも超高温で超高密度の分厚い層を形成している点です。ガスの成分は主に水素とヘリウムで、これらが核融合反応をくり返すことで、その際に発せられるエネルギーが、光や熱となって宇宙に放出されているのです。
「恒」という文字には、「いつもと変わらない」や「永久に」などの意味があります。恒星同士の距離や位置がいつも変わることなく、常に同じ場所にあることからこのように呼ばれるようになりました。距離や位置が変わらないからこそ、「星座」もできました。
一方で惑星は、自分自身では光を放っていません。恒星が放つ光を受けながら、その周りを公転しています。星座の間を惑うように動くことから「惑星」と呼ばれるようになりました。
太陽を中心とした太陽系の惑星は、地球のほかに水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星があります。以前は太陽からもっとも離れた場所にある冥王星も惑星のひとつに数られていましたが、研究が進むにつれてその定義に当てはまらないとして、2006年準惑星へと格下げされることになりました。
代表的な恒星をいくつか紹介しましょう。
まず「冬の大三角」として知られる「おおいぬ座α星シリウス」「こいぬ座α星プロキオン」「オリオン座α星ベテルギウス」の3つです。なかでもベテルギウスは、赤色超巨星ともよばれる非常に大きな星で、実に太陽の900倍ものサイズです。仮にベテルギウスが太陽の位置にあったとすると、地球や火星などはすっぽりと収まってしまいます。
そのほか地球から5000光年先にある「ケプラー11145123」は、極直径と赤道直径の誤差がわずか3kmという限りなく真球に近い形をしています。ちなみに地球の誤差は10〜20km。自転をしているため遠心力がかかり、赤道直径が膨張する傾向にあるので、ここまで丸い星は非常に珍しいのです。
また「くじら座のミラ」は「変光星」と呼ばれており、表層が膨張と収縮をくり返しているため、明るさが周期的に変わります。彗星のような長い尾があるのが特徴で、その長さは約13光年もあるそうです。
星を見ていると、明るく光輝いているものもあれば、暗く見えるものもあります。肉眼で見て明るさのランクづけをしたのが、古代ギリシャの天文学者・ヒッパルコスです。もっとも明るい星を1等とし、6等まで6段階に分けました。
このように見た目で明るさを示す等級を「実視等級」といい 、今日では1等ごとに明るさが約2.5倍になり、1等は6等より100倍明るいと定義されています。数値的に等級を決めることになった結果、級数も増え、1等より明るいと0等、-1等、-2等……と続き、6等より暗いと7等、8等……と数値が変わります。
ちなみに太陽以外で0等以上の明るさがついている恒星は2つ。「おおいぬ座α星シリウス」が-1.46で、「りゅうこつ座α星カノープス」が-0.74です。
また「実視等級」に対し、実際の星の明るさを表す「絶対等級」というものもあります。「実視等級」は地球と星の距離を考えず、見た目の明るさを表しているので、実はその星本来の明るさを正しく示しているわけではないのです。
「絶対等級」は地球から一定の距離(約32.6光年)に対象の星があると仮定して、その明るさを示します。「絶対等級」においてもっとも明るい恒星は「LBV 1806-20」というもので、等級は実に-14.0ほど。太陽が約4.8なので、凄まじい明るさであることがわかります。
恒星は、宇宙空間に漂う水素やヘリウムといったガスが集まってできており、重力の働きで星の内部に向かって物質を引き寄せようとしています。
重力が大きくなるとガスの密度が高まり、恒星の内部で核融合反応が起こります。そして熱や光といったエネルギーを外に向かって放つことで、外に膨らもうとする圧力が生まれるのです。
このように内側に引き込む重力と、外側に膨らもうとする圧力がたえず均衡状態を保っているため、恒星は丸くなっています。
- 著者
- 鳴沢 真也
- 出版日
- 2016-06-21
恒星研究を専門とする著者の鳴沢真也が、10種の恒星を厳選して紹介している1冊です。
彼が長年研究を続けてきた、2つあるリングの1つがイナバウアーのように傾いている「プレオネ」という二重円盤の星にはじまり、地球に直撃すると生物が死滅するガンマ線バーストという現象を起こす可能性のある渦巻き型の「WR104」、存在はしているにもかかわらず姿が見えないため謎が多い「ぎょしゃ座イプシロン星」など、各星の魅力をあますことなく紹介しています。
いったいなぜこんな恒星が生まれたのか、どんな構造や形をしているのか、知的好奇心をくすぐられながら天体を学べます。
- 著者
- ホヴァート スヒリング
- 出版日
- 2016-02-15
深宇宙とは、地球から200万km以上離れた宇宙空間のことです。ちなみに地球と月の距離はおよそ38万4400kmなので、はるか彼方の領域を指していることがわかるでしょう。太陽系を超えて、大銀河団や星雲にまで興味をもたせてくれます。
本書の魅力は、やはりその写真やCGイラストの美しさです。星の誕生や死、連星や変星など特殊な恒星、そしてブラックホールにいたるまで、かなりリアルにビジュアルで確認できるのがポイントです。また文章での解説も充実しているので、読み物として楽しむこともできます。
タイトルどおり、「世界で一番美しい」深宇宙を体感してみてください。
恒星は、夜空に光るただの点のようにも見えますが、実はひとつひとつに個性があり、まだ解明されていない謎もたくさんあります。今回紹介した2冊が、壮大で神秘的な宇宙について知るきっかけになれば幸いです。