5分でわかる大気圏!高度や温度、成層圏などの特徴をわかりやすく解説!

更新:2021.12.10

地球に住む私たち人間は、「大気圏」という層に守られています。しかし温暖化などに代表されるように、この層の状態の変化によって、気候は大きな転換期を迎えています。この話を耳にしたことがある人は多いかもしれません。この記事では、各層の特徴や、宇宙から突入する隕石が燃える理由、空が青く見える理由などをわかりやすく解説し、おすすめの関連本を紹介していきます。

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大気圏とは?高度、温度、地球からの距離などを解説!

宇宙の話題でよく耳にする「大気圏」。実は5つの層に分かれており、各層は高度や温度変化によって「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」「外気圏」とそれぞれ名前が付けられています。

1.対流圏

高度0~12kmの範囲。緯度や季節によって平均温度が異なり、高度が1km上がると温度が6.5℃下がります。ジェット機が飛行する高度10kmあたりは、-35℃くらいです。

2.成層圏

高度12~50kmの範囲。下部の高度12kmあたりの温度は-70℃ほどですが、高度が上がるにつれて高くなり、上層付近では0℃近くになります。

3.中間圏

高度50~80kmの範囲。高度が上がるにつれて温度は下がり、上層付近は-90℃くらいです。

4.熱圏

高度80~800kmの範囲。高度が100kmを超えたあたりから急激に温度が上がり、上層付近では2000℃に達することもあります。ただ、大気の密度が低いため、仮にそこにいたとしても熱さとして感じることはないそうです。

5.外気圏

高度800~1万kmの範囲。温度は熱圏からほとんど変化なく1000~2000℃くらいです。

ちなみに国際的な取り決めでは、高度100km以上を「宇宙」と呼びます。つまり宇宙は大気圏の途中から始まっているのです。

 

大気圏の各層の特徴を紹介!成層圏など

地表にもっとも近い「対流圏」は、高度による温度降下の他にも「大気の循環」や「ジェット気流」「偏西風」など、大気の動きに関する現象があることが特徴です。この動きが、さまざまな気象現象をもたらす要因のひとつとなっています。

「成層圏」には、ニュースなどでもよく耳にする「オゾン層」があります。太陽から放出される紫外線を吸収し、地表に降り注ぐ量を和らげる役割を担っているものです。

紫外線を吸収する際にエネルギーが生じるため、上層にいくほど温度が上がります。オゾンが薄くなり、まるで穴が空いたように見えるオゾンホールができると、地表に降り注ぐ紫外線の量が増え、生き物にとって脅威となります。

「中間圏」は、大気圏各層のなかでもっとも温度が低い層です。高度が高くなるにつれて温度が下がりますが、大気の動きは比較的安定しています。

また太陽からの紫外線の影響で分子や原子が分離してできる、「電離層」という領域をもっています。この電離層は電波の伝搬遅延を引き起こし、GPSの位置計算の誤差に繋がる問題を引き起こすのです。

「熱圏」は、大気中の希薄な分子が、太陽から届く電磁波などのエネルギーを吸収して電離するため、高度が高いにも関わらず温度も高いのが特徴です。多くの人工衛星や国際宇宙ステーションも、熱圏を飛行しています。

「外気圏」は、大気中の気体分子や原子が、大気圏外へ大量に流出している層です。電離層が終わる高度500km以上を外気圏と呼ぶ場合もあります。

 

宇宙から大気圏に突入した隕石はなぜ燃えるのか

大気圏は高度約1万kmまで続いています。では宇宙に漂う塵や岩石などが地球の重力に引っ張られ、大気圏に突入してきた場合、どうなるのでしょうか。

まず大気圏に入ってきた物は、重力によってグングンと落下スピードを加速します。そして高度が200kmより下になると、大気の密度があがって「断熱圧縮」という現象が発生し、塵や岩石の表面が高温となって溶けていきます。

その際、塵や岩石と大気に含まれる分子や原子がプラズマ状態となり発光し、これが「流星(流れ星)」として見えているのです。

宇宙から地球に向かってくる塵や岩石のほとんどは、溶けたり砕けたりしてなくなってしまいますが、ごく稀に大きいものは地表まで到達することもあり、これを「隕石」といいます。

 

大気圏と、空が青い理由の関係は?

雲のない日中に空を見上げると、澄みわたる青い色が目に入ってきます。これは太陽の光が大気圏を通るときに、大気中に含まれる酸素や窒素の分子にぶつかり、光の進む方向が変わることが原因です。

太陽の光にはさまざまな波長が含まれていますが、波長が短い色の光ほど大気中に含まれる酸素や窒素の分子にぶつかりやすく、ぶつかった光はいろいろな方向に散らばっていきます。これを「レイリー散乱」といいます。

空の色が青いのは、大気中に散乱した、波長の短い青い色の光が目立って見えるからなのです。

 

大気圏をもっとわかりやすく!オススメ本をご紹介

もっと地球のことを考えよう!

著者
伊勢 武史
出版日
2013-12-19

異常気象や地球温暖化が社会問題となっています。その多くは、地表に近い対流圏で起こっている出来事ですが、他にもさまざまな要因が絡んでいるそうです。

地球には大気圏の他にも「水圏」「地圏」「生物圏」などの領域があります。これらはそれぞれの分野で研究されてきましたが、本書ではそれらをひとつのシステムとして捉え、地球の姿を科学的に描き出しています。

著者が提唱する「地球システム科学」は、気候変動だけではなく、生命の誕生や進化の探求にもつがなる新しい視点として注目されているのです。

地球のことを広い視点で考えたい人におすすめの1冊です。宇宙船「地球号」の乗組員として、ぜひ読んでみてください。

 

大気圏も地球も「コリオリの力」で仕組みがわかる!

著者
保坂 直紀
出版日
2003-07-19

大気圏の最下層部、対流圏では大気が循環していますが、同じように海でも大きな循環が起こっています。海流やエルニーニョ現象など、地上で起こっている以上に激しい動きが見受けられることもあるのです。

著者はこのような現象を引き起こしている要因のひとつに「コリオリの力」があるといいます。この力は大気の動きにも大きく関与しており、海と大気圏が関係しあうことがわかるでしょう。

「コリオリの力」は聞き馴染みがなく難しいと感じるかもしれませんが、優しくかみ砕いた言葉で解説しているため、地球の気象や気候を考える際の入門書としてもおすすめです。

 

文明の発展によって、大気圏の様子に変化が起こり始めているといわれています。大切な地球を守るためにもっと知識をつけて、今できることは何かを考えていきましょう。

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