『北斗の拳』の印象的なボスキャラと言えば、ラオウを置いて他にはいません。ラオウがなぜ人気なのか、その意外な一面とともにご紹介しましょう。
作中で拳王としても知られる暴君の彼は、本作の主人公・ケンシロウの宿敵です。ライバルとして非常に有名であり、作品の枠を越えて人気の高いキャラクターでもあります。
ケンシロウとは浅はかならぬ因縁のある兄弟子。世紀末覇者を自称する、北斗神拳の暗黒面を体現するかのようなキャラクターです。
身長210cm、体重145kgと、主要人物では最も巨漢です。性格は見た目通りに尊大で凶悪。筋骨隆々を擬人化したようなビジュアルで、ただ立っているだけで周囲に威圧感を与えます。厳つい兜とマントがトレードマーク。黒王号という真っ黒な愛馬に乗る姿は圧巻です。
- 著者
- ["原哲夫", "武論尊"]
- 出版日
彼はその強さと野心ゆえに、暗殺拳たる北斗神拳の伝承者として、失格を言い渡されました。師匠・リュウケンは彼を危険視し、奥義で拳を封じようとしますが失敗。北斗神拳から出奔した彼は、「世紀末覇者拳王」を名乗り、暴力による世界の平定を目指し始めます。
それに立ち向かったのが、トキです。北斗の兄弟弟子にして実の兄弟でもある彼は、ラオウの暴虐を止めるべく決戦を挑みました。それは少年時代のラオウが、自分が道に外れた時に止めてくれと彼へ願ったことだったのです。
トキが文字通り決死の覚悟で挑んだ戦いは、壮絶なものとなりましたが、結果はラオウの勝利。病んで弱ったトキの拳は彼に通用しなかったのです。
「き……きかぬ。
きかぬのだ!!」
(『北斗の拳』12巻より引用)
かつて自分をも上回っていた才能の末路に、ラオウは男泣きし、実弟に情けをかけて見逃しました。
そこで彼はこれが最後の涙と語り、人として感情を捨てる素振りをするのですが……結局それ以後も涙するシーンが出てきます。拳王とて人の子ということなのでしょう。
さて、ラオウが2度目の涙を流した問題の場面。それは最愛の女を自ら手にかけようとするシーンのこと。
『北斗の拳』第1部の物語は、主にケンシロウの恋人・ユリアを巡っておこなわれたものでした。彼女は人を惹き付ける女性で、ラオウも彼女に想いを寄せていました。ところが彼は、なぜかそんな大切な人を殺そうとします。
ケンシロウとの決戦が近い彼は焦っていました。ケンシロウが北斗神拳奥義、無想転生を開眼していたためです。深い哀しみを知る者だけが至れる究極の境地で、対抗するには彼も彼女を失って、哀しみを背負う必要があったのです。
そして彼女はそれを受け入れ、自ら命を差し出しました。その凄まじい覚悟に、彼は思わず涙するのです。
「こ……殺せぬ。
このラオウにこの女は捨てる事はできぬ!!」
(『北斗の拳』15巻より引用)
結局彼は彼女を殺すことが出来ず、仮死状態にしてケンシロウとの決戦に挑みました。
無想転生を使ったケンシロウとの熾烈な戦い。2人は死力を尽くし、全てを賭けて戦い抜きました。しかし、ユリアへの愛を自覚して無想転生を得たラオウは、逆にそれが徒となって拳が鈍り、ケンシロウに敗北します。
彼はケンシロウにユリアの無事を告げると、自ら秘孔を突き、天に拳を掲げて絶命しました。
「わが生涯に一片の悔いなし!!」
(『北斗の拳』16巻より引用)
彼は悪逆非道の悪役でありながら、こうして勇ましく戦って壮絶に散ったことで、ファンからの人気が非常に高いのです。
また、あまりの人気のため、2007年にはアニメ映画とのタイアップで「ラオウ昇魂式」と称した彼の葬式も現実で行われました。
いかがでしたか?ラオウの人気の一端がおわかり頂けたでしょうか。興味を持っていただけた方は、ぜひ漫画も読んでみてください!
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