No.1プレゼン講師が教える プレゼン上手になる5冊

更新:2021.12.6

現在、私は日本マイクロソフトの全製品を扱う唯一のエバンジェリストとして、膨大な数のプレゼンテーションを日々こなしている。一方、そうしたプレゼンが話題を呼び、日本全国の企業からも「プレゼン研修講師」としてお招きいただけるようになった。2014年だけでも講演・研修は250回、累計2万人の前でお話しする機会があった。3日に2回のペースでプレゼンしている計算になる。 今回は、プレゼン力を高めたい方におすすめの書籍を5冊選定した。ぜひ参考にしていただきたい。

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現在、私は日本マイクロソフトの全製品を扱う唯一のエバンジェリストとして、膨大な数のプレゼンテーションを日々こなしている。一方、そうしたプレゼンが話題を呼び、日本全国の企業からも「プレゼン研修講師」としてお招きいただけるようになった。2014年だけでも講演・研修は250回、累計2万人の前でお話しする機会があった。3日に2回のペースでプレゼンしている計算になる。

そんな私だが、もともとは岐阜の小さなシステム会社で働くごく普通のプログラマーだった。つまり、聴衆に向かってプレゼンするどころか、むしろ一日中コンピューターに向かっているような毎日を送っていたのだ。

それがいまでは、世界的企業で業務執行役員という肩書きまでいただいて仕事をしている。いまの私をつくり上げているのは、プログラマー時代から続けてきた「プレゼン研究」の成果にほかならない。だから私は、だれよりも「プレゼン能力そのものの価値」を知っていると自負している。そう、プレゼン力を磨けば、人生そのものが変わることだってあるのだ。

そこで、プレゼン力を高めたい方におすすめの書籍を5冊選定した。ぜひ参考にしていただきたい。
 

プレゼン力向上のために続けている習慣とは

プレゼン力向上のために私が続けている習慣がある。それは「有名人のトークを文字起こしすること」だ。優れたプレゼン技術を持つ人のトークを、一言一句漏らさずに文字に起こしてみるのである。

私が最も参考しているのが、池上彰さん。池上さんはプレゼンの基本要素となる「トーク」「シナリオ」「資料」すべてにおいて、膨大な技術を持っている。池上さんのニュース解説がわかりやすいのは、その視点が独自であるのはもちろんだが、やはりその背後に高いプレゼン能力があることが大きい。本書は言わずと知れたベストセラーだが、プレゼンテーションの基本的な心がまえを身につける上で、やはり押さえておきたい一冊だ。

 

著者
池上 彰
出版日
2007-04-19

スライド資料の作成に時間を割かない

エバンジェリストとしても、プレゼン講師としても、私はスライド資料の作成に時間を割かないようにしている。すべての準備時間を「10」とすると、スライドに割く時間はせいぜい「2」である。セミナーなどでこの話をすると驚かれるが、なぜこんなことを話すのかといえば、「トーク」や「シナリオ」が軽視され、世の中が「スライド偏重」になっていることに危機感を覚えているからにほかならない。

そうは言っても、スライドにはやはり一定の「文法」がある。それを効率よく身につけたければ、この定番書がおすすめだ。

 

著者
Garr Reynolds ガー・レイノルズ
出版日
2009-09-04

スライド本としてもう一冊おすすめするのがこちらの書籍。『プレゼンテーションZEN』に欠点があるとすれば、やはりそれは翻訳書である点だ。

その点、こちらは日本人の著者が書いているし、日本人の感性にもよりしっくりくる見せ方が盛り込まれているという印象がある。PowerPointの細かな操作法やテクニックも豊富に掲載されており、実用性の高い一冊となっている。

 

著者
河合 浩之
出版日
2015-04-23

プレゼンの「本来の目的」のために磨くべき力とは

しかし、スライドをいくら丁寧につくっても、それだけではプレゼンは成功しない。プレゼンの目的は「わかりやすく伝えること」ではないからだ。では、その本来の目的は何なのか? もちろん「相手を動かすこと」である。そのためには、資料やその背後にあるシナリオを具現化するトークの力を磨かねばならない。

大阪市長の橋下徹さんのトーク術はいわば「劇薬」であり、これをそのまま真似をすると痛い目をみることになる。とはいえ、人を動かすという観点から見ると、彼のトークには学ぶところが非常に大きく、私のセミナーでもしばしば言及している。本書は、彼の技術を中国の兵法書『兵法三十六計』と重ね合わせて解説した一冊。

 

著者
向谷 匡史
出版日
2013-02-08

最後は恐縮ながら、自著を紹介させていただきたい。

何かを伝えて相手を動かすとき、いちばん大切なことは何か?――「伝えたいことを『見て』もらうことである」と私は考えている。人はいま目にしているものの情報に弱い。逆に、目線がそこに向かっていなければ、どんなにわかりやすい解説やスライドも、まったく無価値になる。だからこそ、プレゼンの本質は「視線誘導」にある。

本書は、「1. スライド」「2. シナリオ」「3. トーク」というプレゼンの3つの要素すべてにわたって、視線誘導のテクニックを解説した一冊である。1秒で情報が伝わるスライド、最後まで相手をとらえるシナリオ、思わず釘付けになってしまうトークを、それぞれ「目線をどのように誘導するか」という観点から解説した総合的かつ実用的なプレゼン解説書である。

 

著者
西脇 資哲
出版日
2015-06-19

書籍を紹介したあとにこんなことを言っては身も蓋もないかもしれないが、「プレゼン能力は読書によって磨かれるものではない」と私は思っている。結局のところ、地道なトレーニングや実地経験を繰り返すのでなければ、真の能力は磨かれないからだ。

だからといって、プレゼン本を読む必要が皆無かと言えば、そんなことはない。私が思うに、先人のメソッドに学べることはもちろんだが、より重要なのは、それらの方法を支えている「考え方」を身につけることだ。それがあるかどうかで、あなたのプレゼン能力が描く成長曲線が、大きく変わってくるからである。

これらを読んだら、ぜひその学びを「実際の行動」に移していただきたい。

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