小説『七つの会議』の元ネタ、結末は?作品の見所を最後までネタバレ紹介!

更新:2018.7.6

本作は中堅メーカーを舞台にした物語です。パワハラで訴えられた営業課のエリート写真を起点として、物語は思いもよらない結末を迎えます。その結末とはいかに……。 この記事では、『七つの会議』のあらすじから結末まで詳しくご紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください。

ブックカルテ リンク
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

小説『七つの会議』の内容、作者・池井戸潤について【2019年2月映画化】

 

本作は、2011年5月から2012年5月まで電子版日本経済新聞で連載されており、単行本化されるときに1話追加され、8話構成の連作短編小説として、日本経済新聞出版社から刊行されました。

それぞれのタイトルが独特で、ストーリーもリアリティとスピード感があり、一度読み始めたら一気に最後まで読みたくなってしまう作品です。文庫化もされています。

 

著者
池井戸 潤
出版日
2012-11-02

 

さらに東山紀之主演でドラマ化もされており、2019年2月には野村萬斎や香川照之、及川光博などの出演が決まっている映画も公開が予定。本編ではソニックという会社が親会社の設定ですが、ドラマはソニックのかわりにフロンティアという会社が登場します。

こちらも、合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

2007年12月06日
池井戸 潤
文藝春秋

そんな作品を手がけたのは、リアルな作風に定評のある小説家・池井戸潤。岐阜県出身の小説家で、慶応義塾大学を卒業し、三菱銀行に入行。約20年間務めました。

退職後はコンサルタント業をおこないながら、その傍らでビジネス書の執筆やソフトの監修を始めます。しかし、ビジネス書ではテーマが限られてることに不安を感じ、小説を書き始めました。

『果つる底なき』で憧れであった江戸川乱歩賞を受賞し、その他にも『空飛ぶダイヤ』や『下町ロケット』「半沢直樹」シリーズなどの有名な作品も執筆しています。

『七つの会議』あらすじ

 

東京建電という、パイプ椅子や飛行機、バスなどに備え付けられている椅子を販売している会社。そこの闇に迫ります。

ノルマ第一主義で、いわゆるブラック企業のここの営業課に、ノルマを達成していない者にとても厳しい営業部長の北川、営業一課長でエースの坂戸、そして坂戸より20以上年上なのに会議でも居眠りしてしまう万年係長の八角がいました。

特に頑張って売上を上げるわけでもなく、自分の足を引っ張るのに、なぜか北川にも何も言われない八角。そのことを面白く思っていなかった坂戸は、しだいに彼を叱りつけるようになります。そして、その叱責は日を増すごとにエスカレートしていくのです。

そんなある日、坂戸はとうとうパワハラで八角に訴えられてしまい、人事部に強制異動となる羽目に……。しかし、坂戸には実績があり、八角は誰もが認めるどうしようもない社員だったので、その異動に疑問を持つ社員が多くいました。そんななか二課長の原島が、坂戸の後任として配属されます。

そして一課長になった原島は、坂戸がコスト削減のために新しくネジの発注先として契約したトーメイテックという下請けを、以前契約していたねじ六に戻したのです。コストが増えてしまうので、普通であればありえない決断をした原島は、経理課の新田に癒着を疑われるようになってしまいました。

しかし、探りを入れようとした新田は、大阪への転勤を命じられてしまうのです。

 

七つの会議

2012年11月01日
池井戸 潤
日本経済新聞出版社

 

一方その頃、会議で報告するためだけに顧客からのクレームを集めていたカスタマー室の佐野は、パイプ椅子へのクレームが多いことに気がつきます。そして調査の結果、ネジの発注をねじ六からトーメイテックに変えてから、椅子に使われていたネジが強度の基準を満たしていないことが判明したのです。

佐野は調査結果を、告発文として北川や社長の宮野に提出します。もし、この問題が事実であれば、同じネジを使っているバス、飛行機、電車などの公共交通機関からもリコールをしなければならなくなり、計り知れない損害から、東京建電が倒産してしまう可能性も出てきたのです。

これに対し、東京建電がとった行動とは……?

ここから物語は、クライマックスを迎えます。

 

『七つの会議』の登場人物を紹介!

 

本作に登場する人物を、簡単にご紹介します。

八角
「居眠り八角」というあだ名で有名。第1話「居眠り八角」の主人公で、物語の重要人物です。

原島
坂戸の後任で、営業一課の課長となった人物。ねじ六の社長との癒着を疑われてしまいます。

北川
営業部長。とても怖いことで有名で、営業の者はこの人にだけには怒られまいと頑張っています。ノルマ未達は絶対に許さない人物です。

坂戸
営業一課のエリート。新卒の頃から目覚ましい成績を上げ、課長まで上り詰めます。

新田
経理課課長代理。原島課長の癒着を暴こうとします。その結果、大阪に飛ばされてしまいました。優衣と社内不倫をしていた人物でもあります。

宮野
東京建電のプロパー社員からとしては、歴代初めての社長。自分の力を誇示したいと考えています。

優衣
元営業事務員。新田と不倫をしていました。自分の将来がわからなくなり、東京建電を退職します。会社へ提示した理由は寿退社でした。

 

登場人物にはモデルが存在した!?元ネタとは

 

この『七つの会議』は、なんと作者である池井戸が、サラリーマン時代にそば屋で聞いた40代のサラリーマンの話がきっかけになっているそうです。「同僚がパワハラ委員会に訴えられる」と話をしており、その訴えられる人物のことを冷静に分析していたことから、物語の構想が生まれました。

そしてこの話が、第1話の「居眠り八角」につながります。最初はあくまで会社の日常を書こうとしていたようですが、書いているうちにどんどんアイディアが膨らみ、東京建電には何かありそうだと考え、現在出版されているような物語になったのだそうです。

 

優衣が主人公!ドーナツのエピソードにも注目

重い話が目立つ『七つの会議』ですが、そんななかで第3話「コトブキ退社」は、やや異色のエピソードといえるでしょう。

社内不倫の果てに相手に捨てられてしまった優衣は、これまでやりがいも感じられずに働いていた会社を、退職する決意をしました。しかし、そこで彼女は、自分が会社にいた意味について考えるようになるのです。そして、最後に自分がいた証を残すべく、ある行動に出ました。

その行動とは、無人ドーナツ販売機を社内に設置すること。残業をしている社員や、食べ物を買いに行く時間がない社員のためを思って、彼女が思いついたアイデアでした。

そこから彼女は上層部の説得と、協力してもらえる店探しに奔走することになります。利益などについて勉強しながら、目標に向かって突き進んでいく彼女の姿は非常に輝いていて、読んでいて勇気をもらえることでしょう。

明確な目標を持って働くことに対するやりがいや楽しさ、そういったものを、作品をとおして感じることができるのではないでしょうか。

彼女の努力は無事実り、社内にドーナツ販売機を置くことができました。ここで終わり……かと思いきや、新たな問題が発生します。なんと、お金を払わずにドーナツを食べている者がいると発覚するのです。優衣は犯人探しを開始することになります。果たして、その犯人とは……?

『七つの会議』の名言集!

 

「しがないサラリーマンというトロッコに乗って、
ときに急カーブに翻弄されつつ、振り落とされないよう、
必死でしがみついてきただけだ」
(『七つの会議』より引用)

サラリーマンは、企業なくしては成り立ちません。企業が黒といえば、たとえ白いものでも黒くなるのです。そんな体質が、日本の企業にはあります。そんな仕組みを表しているセリフです。

「オレは魂まで売る商売はしたくない」
(『七つの会議』より引用)

八角が、北川営業部長にいったセリフです。企業のノルマとはなんなのか。自分のノルマさえ達成していれば、他は何もやってみいいのか。そんなはずはありません。営業ノルマという仕組みを、あらためて考えさせられるセリフです。

「会社にとって必要な人間なんていません」

「期待すれば裏切られる。
その代わり、期待しなけりゃ裏切られることもない」
(『七つの会議』より引用)

会社組織というものの、存在の危うさを語っています。会社にすべてを捧げる日本人の働き方に対して、疑問を投げかけているのでしょう。会社に尽くしてさえいれば、会社からは裏切られることはない。そのような考えは幻想だ、と言いたかったのかもしれません。

 

『七つの会議』の結末をネタバレ解説!気になるラストとは?

 

坂戸のパワハラから始まった物語は、ネジの不良まで話が発展します。実は佐野が告発した事実を北川や宮野はすでに知ってましたが、すべてを隠蔽しようと、彼らに加えて坂戸の後任である原島までもが動いていたのです。

坂戸はノルマをクリアするために毎日必死で、追い込まれ続けていたところ、トーメイテックの社長から規格未満のネジであれば誰にも気づかれず、安く納品できると提案され、話に乗ってしまっていました。しかし、本当の黒幕はトーメイテックの社長ではなく、なんと東京建電社長の宮野だったのです。

宮野は親会社であるソニックに自分の力を誇示するため、どうしても業績を伸ばす必要がありました。そのため坂戸を犠牲にし、バレたらすべてを坂戸1人のせいにすればよいと考えていたのです。坂戸は会社のために一生懸命働いていたのに、会社に尽くした結果、会社に裏切られてしまいました。

このことは、親会社から出向されていた副社長の村西にすべて知られることになり……。

 

著者
池井戸 潤
出版日
2012-11-02

 

その結末は、会社で働く誰しもが考えさせられるところのあるもの。一応は物語として綺麗な終わりとなるのですが、リアリティがあるだけに、むしろここからが大変だろうと思わせられもします。
 

企業とは何なのか、企業で働く意義とは何なのかを、あらためて考えさせられる作品です。

 

2019年2月に映画化予定で、さらに注目が集まる『七つの会議』。ぜひこの機会にご一読ください。

もっと見る もっと見る