「チャボ」というかわいらしい名前の響きを聞いたことがある人は多いと思います。実は江戸時代から観賞用として愛されてきた動物なんです。この記事では、そんな彼らの意外と知らない生態や性格、飼育方法、ニワトリとの違いなどをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひご覧ください。
「チャボ」とは、キジ目キジ科に分類されるニワトリの品種名です。現在のベトナムがある場所に存在していた「チャンパ王朝」から、当時江戸時代だった日本に渡来してきました。
その後は国内で品種改良がすすみ、現在の姿になっています。
特徴は、他のニワトリの品種と比べて体が小さいこと。体長は30cm程度です。体重はオスが750g、メスが600gほど。一般的に私たちが卵を食べているニワトリは2000gほどあるので、約3分の1になります。
漢字で書くと「矮鶏」というように、足が短いのも特徴です。
観賞用のペットとして古くから愛され、とさか、羽色、羽毛などの変異によってチャボのなかでも多くの品種に分けられています。寿命は7~10年ほどです。
チャボは穏やかな性格をしています。ニワトリは卵用、肉用、闘鶏用などさまざまな用途に品種改良されていますが、なかでも彼らは観賞用だったため、他の品種と比べてもおとなしいといえるでしょう。
卵をあたためて孵化させることがとても上手な鳥としても知られています。
飼育をする際、卵から育てることができれば、生まれてきた雛は最初に見た動くものを親と認識するので、膝の上に乗ったり後ろをついてきたりと、かわいらしい姿を見ることができるようです。
ニワトリよりも小型なことから一般家庭でも飼育をしやすいです。また小学校などでお世話をしたことがある人も多いのではないでしょうか。上述したように性格が比較的穏やかなのも、愛好家が多い理由かもしれません。
ペットショップなどで販売されていて、値段は品種によってさまざまですが、オスとメスのペアで1万円というのが相場のようです。里親探しをしている人もいるので、そちらで探してみるのもよいでしょう。
室内で飼う場合は、大型犬用の広めのゲージがあるとよいでしょう。高いところを好むので、止まり木などを用意してあげるのがおすすめです。また運動不足にならないよう、定期的に散歩に連れ出す必要があります。
外に飼育できるスペースがある場合は、ヘビやイタチなどの外敵に襲われないよう、目の細かい柵を用意するか、小さな小屋がおすすめです。
餌は、ニワトリ用よりも小粒のチャボ専用のものが販売されています。キャベツなどの葉物野菜も好むので、副食として与えるとよいでしょう。水は毎日新鮮なものに取り換えてあげてください。
飼育をする際に注意したいのは、大きな声で「コケコッコー」と鳴くこと。飼育を始める前に近隣の住民の理解は欠かせません。また長距離を飛ぶことはできませんが、高いところが好きなので、ある程度高さのある飼育スペースが必要になります。
そもそもニワトリは、ある特定の種類の鳥を指しているわけではなく、多くの種類の総称です。そのなかのひとつがチャボ、ということ。そのほか軍鶏や地鶏など日本のものだけで50以上の品種があり、そのうちの15が天然記念物に指定されています。
ニワトリと聞いて一般的にイメージをするのは、白い体に赤いとさかがあり、卵をたくさん産むものではないでしょうか。チャボとは大きさ以外ほとんど同じです。
「コケコッコー」と元気よく鳴くため、古くから食用ではなく「時を告げる鳥」として認識されていたようです。
- 著者
- いわむら かずお
- 出版日
- 1990-12-01
作者は、絵本作家として有名ないわむらかずお。動物を主人公とした作品を数多く手掛けています。本作は、彼が飼っているチャボたちの日々を観察したエッセイです。
いわむらは、数羽のチャボと田舎暮らしをはじめました。群れのボスは強くてたくましく描かれ、その一方で女(メス)好きがいたり、イケメンがいたり……彼らを中心に田舎で起こるさまざまな出来事が淡々と綴られています。チャボにも個性があることがわかるでしょう。
イラストは言うまでもなく素晴らしく、またその語り口は、絵本での雰囲気とはまた違うすっきりと読みやすいもの。いつのまにか作者の世界観に入り込んでしまい、チャボの生態もしっかりわかる一冊です。
- 著者
- ルイーズ ファティオ
- 出版日
迫力のある表紙が印象的な本書は、スイス生まれの童話作家が手掛けた絵本です。イラストは画家である彼の妻が担当しています。
ボクシングの階級で、「バンタム級」という言葉を聞いたことはありませんか?実は「バンタム」とは小型のニワトリのことで、チャボを指しているのです。
描かれているのは、バンタムと呼ばれる体の小さなチャボが、農場に忍び込んできたキツネを追い払うという物語。周りの大きなニワトリたちが皆逃げるなか、想いを寄せているめんどりを救うために、立ち向かいます。
人間のような上下関係や恋愛関係が描かれ、思わず感情移入しながら読んでしまうでしょう。体が小さくても大丈夫だと勇気をもらえる作品です。