小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を結末まで全巻ネタバレ紹介!

更新:2021.11.15

「京都アニメーション大賞」で、5回目の開催にして初めての大賞を受賞した本作。滅多に受賞作を出さないコンクールでの大賞作であることを始め、その切なくも美しい物語に高い人気を得ました。待望の劇場版アニメも公開されることが決まり、今後も目を離せない大注目の作品です。

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小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の魅力1:特殊な運命を生きる純粋な少女が泣ける

 

ディートフリードという男に戦場で拾われ、「武器」として戦いの場に身を置いていた少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。しかし、大陸を分断していた大戦も終結し世界が平和になると、少女兵である彼女も戦場を離れ、ある港町へとやってきました。

そこで彼女が出会ったのは、手紙を代筆する「自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)」という仕事。幼い頃から戦いのなかで生きてきた彼女は、人の感情というものに疎く、ギルベルト・ブーゲンビリア少佐から告げられた「愛してる」という言葉の意味がわかりませんでした。

しかし理解をしたい彼女は、手紙の代筆を依頼してくる人々との交流や仕事をとおして、人の感情、そして「愛」とは何かを理解していくのです。

基本的には、仕事の依頼主である人々との交流が1話完結型で描かれていくのですが、物語が進むにつれて彼女自身の過去も明かされていくことになります。過酷な過去を背負った少女が、同じようにさまざまな事情を抱えた人々との交流を経て少しずつ変わっていく様子に、心動かされること間違いありません。

 

著者
暁 佳奈
出版日

魅力2:美しい世界観に浸る!

 

テレビアニメではその美しい作画も話題になった本作は、もちろん原作である小説も美しい描写に目を引かれます。ヴァイオレットは自動手記人形として、依頼を受ければ世界各国いろいろなところへ向かいます。そして行く先々の街並みを始め、四季折々の季節感が人物の気持ちを彩るのです。

もちろん世界観の美しさを作っているのは、そういった目に見える風景の描写だけではなく、登場人物達の繊細な心情描写にあります。

それらは読者の想像力をさらに膨らませてくれるので、普段あまり小説を読まないという方やファンタジーが得意ではないという方にも、読みやすいかもしれません。切ないストーリーと美しい世界観のファンタジーを楽しんでみたい方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』上巻の見所をネタバレ紹介!

 

自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)。それは、ある博士が愛する妻のために作った、言葉を書き記すための機械でした。

大陸を分断した大戦が終結し、少女兵として戦場を駆けていたヴァイオレットは、自動手記人形として働くことになり……。

 

著者
暁 佳奈
出版日

 

テレビアニメが話題になったこともあり、それを観たことがきっかけで小説に興味を持ったという方もいらっしゃるかもしれません。アニメ版では、主人公のヴァイオレットが自動手記人形(オートメモリーズドール)として働き始めるところから始まりますが、原作である本作は、すでに彼女は自動手記人形としてバリバリ働いているところから始まります。

最初のうちは連作短編で、彼女と依頼人の話が1話完結で描かれていきます。さまざまな事情を抱えた依頼人の物語はもちろんのこと、それらを通してヴァイオレットが少しずつ変わっていく様子からも目が離せません。

天体観測をして星の美しさを知ったり、人を想い想われることの切なさを知ったり……。読んでいるうちに、彼女の繊細な感情の変化に思わず引き込まれてしまうでしょう。

また後半になってくると、彼女の過去の話が展開されていきます。彼女が最初に覚えた言葉が「殺せ」だったというのが、「武器」として生きてきた悲惨な人生を物語っています。それまでの切なくも美しい雰囲気から一転、シリアスな雰囲気へ変化していきますが、それもまた魅力的で一気に読んでしまうはず。

そして1番の見所は、彼女が両腕を失うシーンでしょう。両腕がなくなってもギルベルトを救おうとする彼女の姿に、思わず胸が締め付けられるはずです。

今まで「武器」として生きてきた彼女は、愛を知りません。命令に従うだけの機械のような存在だった彼女が、人間としてどうのように成長していくのか。「愛してる」の本当の意味を理解することができるのか。人間としての心を取り戻し、成長していく姿に要注目です。

彼女のなかで絶対的な存在となっているギルベルトについても徐々に明らかになり、下巻への期待が高まる終わり方になっています。果たして、彼女は彼に会えるのでしょうか。

 

小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』下巻の見所をネタバレ紹介!

 

戦場で拾われ、戦場のなかで生きてきたヴァイオレット。しかし残酷な戦いのなかで彼女は両腕を失い、大切な人も失ってしまいました。絶望のなか、後見人となったクラウディア・ホッシンズが彼女に告げたこととは……?

 

著者
出版日

 

前巻に引き続き、ヴァイオレットの過去から始まります。彼女はギルベルトと別れ、自動手記人形の働く会社であるC・H郵便社の社長のクラウディアという男の世話になることになります。彼は元軍人で、ギルベルトの親友でもありました。

この時点で彼女はギルベルトが死んだものと思い、彼女にとって絶対的な存在であった彼の死を抱えながら自動手記人形として働き始めることになるのです。

読者としては、上巻ですでに彼女が自動手記人形として働いている姿を知っているぶん、これらの過去のエピソードはより深く胸に迫ってくるものがあります。シリアスで重たい展開ではありますが、つい引き込まれて読んでしまうでしょう。

また彼女の同期であるカトレア・ボードレールを始め、同じ会社で働く仲間達との交流も見逃せません。辛い過去を背負う彼女にとって、温かな仲間の存在はとても大きいものだと想像ができます。

1番の見所は、ある集団に列車が乗っ取られてしまうシーン。その場に居合わせたヴァイオレットは、なんと1人で集団を制圧しようとするのです。戦場で活躍していた彼女だけに、順調に敵を倒していきます。しかし騎士団長という男に、なかなか勝つことができません。

しかも彼女の宝物ともいえる存在、エメラルドのブローチを取られてしまったうえに腕まで破壊され、絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。その時、彼女の前にある人物が現れ……。

本作のテーマは、「愛」といっても過言ではありません。ギルベルトから言われた「愛してる」の意味がわからなかった彼女ですが、彼女はこの言葉をずっと胸に抱え、彼のことをとても大切に想ってきました。それは彼女が心の底の奥深くで、無意識に愛を求めていたからではないでしょうか。

感動のラストは、ぜひご自身の目でお確かめください。

 

小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』外伝の見所をネタバレ紹介!

自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)として働くヴァイオレット。彼女の周りには、彼女のことを支えてくれる仲間がいました。彼女とともに働く自動手記人形達、後見人のクラウディア……そんな彼らを巡るもう1つの物語。全6編収録です。

著者
暁 佳奈
出版日

 

本編では描ききれなかったエピソードを収録したような一冊になっている外伝。なかにはアニメ化されたエピソードもあるので、アニメをきっかけに小説を手に取ったという方には特にチェックして頂きたい一冊です。

ヴァイオレットと依頼人の交流はもちろんのこと、彼女の仕事仲間であるカトレア達を描いた話や、ギルベルトとクラウディアの出会いを描いたエピソードなど、ヴァイオレット以外のキャラクターの魅力をより感じることのできる内容になっています。

本編を知らなくても読むことはもちろんできますが、本編を知っているからこそ気が付ける、ちょっとしたエピソードなども満載。ぜひ本編を読み終わった後に楽しんでみてください。

 

『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の劇場アニメの公開日が決定!

 

2020年1月から公開延期になっていただけに、待望のお知らせです!本作の劇場版アニメが2020年4月24日に公開が決定しました。

テレビアニメでも、繊細で美しい作画に感動的なストーリーで人気を博しました。劇場版のテーマは、「愛を教えてくれたギルベルトに向けて書く最後の手紙」。

キャストはテレビアニメから変わらず、ヴァイオレットを石川由依が、ギルベルトを浪川大輔が演じます。特報動画も公開されていますので、気になる方はこちらからどうぞ!

詳細や、今後発表される最新情報は、『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』公式サイトをご覧になることをおすすめします。

 

いかがでしたか?美しい世界観とキャラクターの繊細な感情が魅力の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。上下巻と読みやすい量なのも魅力的なので、サクッと読書したいという時にもいいかもしれませんね。テレビアニメはDVDなども発売されているようなので、興味があればそちらも合わせてチェックしてみてください。

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