BURNOUT SYNDROMES熊谷和海が選んだ「機械」がテーマの3冊

BURNOUT SYNDROMES熊谷和海が選んだ「機械」がテーマの3冊

更新:2018.8.16 作成:2018.8.16

パソコンに強い方の助けを随時募集中。iPhoneも使いこなせない男・BURNOUT SYNDROMES熊谷です。機械オンチの僕にかかればGPSは反応せず、なぜかリマインダーは動作しない……しかしこれら情報デバイスとは切っても切れない時代。苦手意識を無くせるように「機械」をテーマに3冊選んでみました。

熊谷和海プロフィール画像
バンド「BURNOUT SYNDROMES」Vo/Gt
熊谷和海
平均年齢23歳、大阪出身・在住の3ピースバンド、BURNOUT SYNDROMES(バーンアウトシンドロームズ)のVo/Gt。バンドメンバーは熊谷の他、石川大裕(Ba/Cho)、廣瀬拓哉(Dr/Cho)。2005年結成。日本語の響き、美しさを大切にした文學的な歌詞やヴォーカル、その世界を彩る緻密に計算されたアレンジ。スリーピースの限界に常に挑戦している。2016年3月にメジャーデビュー・シングル「FLY HIGH!!」を発表。10月には2ndシングル「ヒカリアレ」をリリース。11月に1stアルバム『檸檬』を発売した。2018年2月21日、2ndアルバム『孔雀』がリリースされた。 http://burnoutsyndromes.com/
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機械が嫌いです。そして機械も僕のことが嫌いです。たぶん。昔から、電話する度、相手に「熊谷と話すとき『だけ』電波が悪い」って言われるんですよね。何なんでしょうね。僕から出てるんですかね。ジャミング的な電波が。

ただ仕事上、音楽制作のソフト(しかもほとんど海外製、日本語マニュアル無し!)をバシバシPCに入れる必要があるので、逃げてばかりもいられないのです。USB2.0と3.0の違い、HDとSSDの違い、エイリアスとシンボリックリンクの違い……みたいなのを毎日唸りながら勉強しています。しかし何度もシステムの書き換えに失敗し、涙目でPCを初期化しているうち、だんだんと機械慣れしていく自分に面白さも感じています。

何事も習うより慣れろ。ただイキナリでは何なので、まずはフィクション世界で機械と仲良くなって見るのも手かもしれません。というわけで「機械」がテーマの3冊を、初級編から上級編まで段階を踏んでご紹介。

きまぐれロボット

著者
星 新一
出版日
2006-01-25
「やれやれ、なんとか大発明が完成した」

お金持ちのエヌ氏は、博士が最も優秀と自慢するロボットを買い入れた。オールマイティのロボットだが、時々暴れたり逃げたりする。ひどいロボットを買わされたと怒ったエヌ氏は博士に文句を言ったが……。表題作「きまぐれロボット」他35編を収録。ショート・ショートでは第一級の作者・星新一が綴る、大人と子供のための童話。

まずは初級編から。小学生のときに好きだった短編集を引っ張り出してきました。星新一さんの作品にはユーモラスな発明がたくさん出てきます。周りの音を消す装置。海水中から金を生成する海藻。飲んだ分だけ昔のことを思い出せる薬……それだけでも面白いのに、それを悪用しようとする奴や、過剰な使い方をする奴など、クセのあるキャラクターがお話を盛り上げます。こういうトンデモ発明から科学や物理に興味を持ち始める子どもって多いんじゃないでしょうか。僕もこれを読んで発明家になりたいと思ったこともあったっけ。

ところで今読み返してみると、一作品が平均4ページという短さに驚きます。そして子どもの頃は「なんだこの話!よくわかんねぇ!」と思っていた話も、大人になってから読むと結構深い話であったことや、ある寓話のメタファーになっていたことに気付いたり、様々な発見があります。

子どもも大人も世代を超えて楽しめる。「超名作」とは得てしてその分野の登竜門、それこそ「初級編」になってくれるものなのでしょう。

℃りけい

著者
わだぺん。
出版日
2011-01-19
「はーい 物理部でーす!
 ハンダゴテやりまーす!」

部費のために新入部員勧誘にいそしむ鞍川高校物理部。新入生が見守る部活動紹介の晴れ舞台、悩んだ末、部長・伊藤トノエが新一年に披露したのはハンダゴテの実演! 一般の感性からはかなり外れた、ちょっと残念、でも楽しげな“ド理系”女子高生たちの緩くて濃い生態記録コメディ。

さあ、中級編です。空想科学から実践科学へ。

「サイエンス部活」が舞台なので、物理の定理や化学の小ネタが中心になっています。『実はパーツクリーナーは害虫を一発で殺す』とか『自動車の車のロックは金尺とテコの原理で解除できる』とか……何というか「どーでもいい知識が増える快感」を解する人にはぜひ読んでほしい……そんな一冊。偏差値凄いけど友達いない系男子が、ひっそり家でやってそうな趣味を可愛らしいキャラがワイワイやるというシュールなマンガです。絵はすごくきれいだし、話も読みやすい。表紙もかなりオシャレで本棚に置きたいマンガナンバーワンです。

僕はこういう原作とマンガが分かれている、分業制作のマンガが好物です。ぶっちゃけ当たり外れが大きいジャンルだと思うのですが、この作品は「当たり」だと思います。知識を極めた人とマンガを極めた人がタッグを組んだ時に産まれる「1人では絶対書けない情報量の作品」という化学反応が此処にあります。理系だけに。

パーツのぱ

著者
藤堂 あきと
出版日
2009-05-27
「昔と違って今は多くの人がパソコンを使ってるじゃないスか!
つまりパーツをもっと一般の人に馴染みあるものに広めていけば良いんです!」

電気街・秋葉原にある小さな自作パーツショップ「こんぱそ」。そこで働くアルバイト青年・入輝とその先輩女性・本楽。移り変わりの激しいマニアックな業界で生き残るため、奮闘する小売店の日常を描いた、一話4ページのショートストーリーマンガ。

上級編。「CPUクーラー」や「マザーボード」などPCパーツが頻繁に出てきますが、説明は基本、無しです。PC自作できるのが前提、みたいな速度で話が進んでいきます。それもそのはず、この『パーツのぱ』はパソコン雑誌「アスキー」で連載されていたディープなマンガだからです。

しかし! 知識はまったく不足してるのに、なぜか楽しく読めてしまう……そんな摩訶不思議なマンガなのです!

変わったバイト先に勤める人の職場ネタって面白いですよね。あの感じに近いです。他店との値下げ合戦や季節ごとのイベント商法、変なクレーム……そんなあるあるネタがやけにリアルで、秋葉原のお店ってこんなんなのかぁ、とサクサク読めます。ちなみにここで得た知識が今の僕のPC地獄の助けになっています。人生何が役に立つか分からんね。

この作品がPCへの苦手意識の払拭、ひいてはマシンをより使い易くするカスタマイズへの第一歩になればいい……『パーツのぱ』というタイトルにはそんな願いが込められています。