「雀鬼(じゃんき)」という呼び名をもつ伝説の雀士、桜井章一。20年間無敗という、いまでも語り継がれる伝説から名付けられました。著述家としても活躍し、その著書のなかでは数々の名言を残しています。この記事では、そんな彼のおすすめの本をご紹介していきます。
1943年生まれ、東京都出身の雀士です。雀荘を経営するなど経営者としての顔も持ち、さらには著述家として著作も多数発表しています。
桜井章一が麻雀を始めたのは大学時代。歌舞伎町にある雀荘に友人と足を踏み入れたのがきっかけでした。その後はめきめきと頭角を現し、裏プロとして代理で麻雀を打つ「代打ち」稼業で稼ぐようになります。
大学卒業後は、貿易会社社長の元で秘書として働く傍ら、麻雀を打ち、何度も修羅場をくぐり抜け、なんと20年間無敗のまま雀士を引退。麻雀界の伝説の男となりました。
彼の名前が世に広まったのは、引退後にその半生を描いた小説や映画が発表されてから。現在は「雀鬼会」という競技会を設立し、麻雀をとおして独自の自己啓発指導をおこなっています。
代打ちには莫大なお金が賭けられていることも多く、もし負ければ身の危険が迫ることも。そんななかで長期にわたって無敗を貫いた桜井章一の言葉に、多くの人が心を打たれています。
本書は、桜井章一が裏プロの世界で戦う雀士としての経験をとおして身に着けた「流れのつかみ方」を伝授した一冊です。
幸運が天から降ってくるのを待っているのではなく、自分から幸運を取りにいく方法が解説されています。
- 著者
- 桜井 章一
- 出版日
- 2017-06-07
人生において勝負をする時は、相手の攻撃を受け流しながらも反撃の機会を待つべし。成長したければ、五感と身体のすべてを使って自然界から学べ……桜井の言葉には彼の長年の経験が詰まっていて、常に柔軟性を持つことの大切さを教えてくれます。
「裏社会」「ヤクザの代打ち」「雀鬼」などと聞くと、桜井章一のことを知らない人は怖いイメージを抱くかもしれません。しかし本書を読んでいると、その印象は大きく変わります。
無情で冷酷なのかと思いきや、自然体で、あるがままを受け入れ、他人を尊重し、思慮深い勝負士であることがわかるのです。
そもそも「流れをつかむ」とはどういうことなのかという基本から、実際のつかみ方まで網羅され、五感が研ぎ澄まされる一冊です。
大事な局面ほど緊張して、本来の力を出すことができなかったという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。自然体でいれたら……と思いつつも、その方法がわからないという方も多いでしょう。
桜井章一は、20年という長いあいだ、極度のプレッシャーがかかる状況で勝負をし続けてきた人物です。自然体でいるためにはどうすればいいか、具体的に教えてくれます。
- 著者
- 桜井 章一
- 出版日
- 2017-08-31
「重心を下に置く」「ひと口食べる感覚で力を抜く」などまずテーマとなる言葉があり、その後詳しい内容が書いてある構成です。
「自然体というものは軸があってこそ、しなやかな対応ができるのだ。ただし、その際の軸は一本だけではない。一つの軸だけでやっている人は、一つの強い信念にこだわりすぎて、かえって折れやすくなるのである。私がイメージする自然体を生み出す軸は一つでなく、たくさんある。しかも、それらの軸は宇宙ゴマの軸のように、上下左右斜めどこにでも自在に動く。そんな軸を持っている人が、本当の意味での自然体でいられるのである。」(『「自然体」がいちばん強い』より引用)
書いてある内容はどれも、普通の人でも実践できるものばかり。ひとつひとつは単純なことなので、実践してみようという気持ちになります。そうして取り組んでいくうちに、桜井の言う「自在に動く軸」を手に入れられるのでしょう。
目標のために努力をし続ければ、いつか大成する日がやってくる……何度も耳にした言葉です。
しかし桜井章一は、本書でこれを真っ向から否定。そのうえで、さらなる高みへと導いてくれます。
- 著者
- 桜井 章一
- 出版日
- 2010-03-01
どんな時も何かを学ばなければいけない、失敗しないよう入念に準備をしなければいけない、日々コツコツと努力をしなければいけない……私たちを縛り付ける「しなければいけないこと」。
本書はこれらの呪縛から解放してくれる「荒治療」のような一冊です。
苦境を脱しようとした際、桜井は「努めて力まない」生き方を発見したんだそう。執着を捨て、やわらかく生きることでツキが回ってくるのだとか。どうしてこのような考えにいたったのかが記されているとともに、具体的な考え方も教えてくれます。
これまでの常識を大きく覆される一冊。名言も多数載っているので、ぜひ読んでみてください。
勝負ごととなると、ほとんどの人は「勝つ」ことを重視するでしょう。
しかし桜井は本書で、「負けない」ことが大切だと述べています。
- 著者
- 桜井 章一
- 出版日
- 2009-09-18
20年間負けることのなかった桜井章一から、盲目的に勝つことに縛り付けられている現代人に向けたメッセージです。
「行動はいつもシンプルであるべし」「一つのことに集中するな。複数のことを同時に行え」など具体的な技術が語られています。人生に浮き沈みがあるのは当然で、だからこそ沈んだ時にどうすればいいのかを教えてくれます。
桜井の思考や哲学もわかり、読後は視野が広がるでしょう。
雀士である桜井章一と、株式会社サイバーエージェントの代表取締役社長である藤田晋の対談本です。
2人の「運」に関する文章が交互に記載されている構成で、それぞれの立場の思考法を知ることができます。
- 著者
- ["桜井 章一", "藤田 晋"]
- 出版日
- 2015-03-20
「本当に強い人間は『勝つ』ということにあまりこだわらない。『勝つ』ことより『強さ』を求めるから。しかし、何をもって強いというのか、的確な『答え』はない。しかし、その『答え』がないということの中に強さの本質が隠れている。『答え』を求めない。それは勝負だけではなく、どんなことにもいえる大切なことである」(『運を支配する』より引用)
桜井の文章に、藤田が実業家としてコメントを寄せます。桜井は神がかっているようにも見える運を引き寄せる力をもっている、いわば天才。そこに藤田がビジネスの観点からロジカルな疑問を投げかけると、2つがうまい具合に化学反応を起こし、本書を味わい深いものにしています。
自己啓発本としてもビジネス書としても楽しめる一冊です。