5分でわかるドジョウの生態!寿命や種類ごとの特徴、飼育方法なども解説!

更新:2021.12.10

細い体に長いひげが特徴的なドジョウ。かつてはさまざまな場所で見かけることができ、日本人にとっても馴染みの深い生き物でした。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、飼育方法、歴史などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。

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ドジョウの生態は?体の特徴や寿命など

コイ目ドジョウ科に分類される淡水魚で、日本全国の水田や湿地などに生息しています。国外では朝鮮半島や台湾、中国などにも分布していて、食用として養殖もされている魚です。

体長は10~15cmほどで、茶褐色の体色と、上顎に3対、下顎に2対の計10本生えている長い口ひげが特徴です。ひげには味蕾(みらい)と呼ばれる器官があり、これを使って泥の中から餌を探しています。

通常はえら呼吸をしていますが、水中の酸素が足りないときは水面まで上がって空気を吸い、腸で呼吸をすることもできます。魚としては珍しく、おならをすることもあるそうです。

雑食性で、主にユスリカという昆虫の幼虫など、水生昆虫を捕食しています。

水田に棲む野生のドジョウは、水がない時期には泥の中に潜って冬眠するなど生命力が強く、10年以上生きることもあるようです。

 

ドジョウの種類ごとの特徴を紹介!

日本で見ることのできる種類のなかから代表的なものを紹介します。

マドジョウ
日本でもっとも多く見ることができ、一般的にドジョウというとこの種を指します。ウナギほどの大きさにまで成長するため、古くから食用として親しまれてきました。

背中側には灰色や茶色をベースにした暗い色の不規則な斑点がちりばめられています。一方の腹側は白く、斑点はあまりありません。

シマドジョウ
日本の固有種で、地域によってカワドジョウやスナメなどさまざまな名称で呼ばれています。名前に「シマ」とあるのは、体の側面にある円形の斑点を遠目に見た時に、縞模様に見えるからです。

ホトケドジョウ
日本の固有種で、青森と中国地方以外の本州と四国に生息しています。薄い赤褐色系の体に黒い斑点があるのが特徴です。


上述したほかにも、外来種であるカラドジョウが見つかっており、交雑や競争環境による影響が心配されています。ただ全国的な拡散状況はまだ十分に把握されていない状況です。

また開発による環境破壊の影響もあり、かつてはどこでも当たり前のように見られたドジョウもその数を減らしつつあるのが現状です。

 

ドジョウの飼育方法を解説!販売価格や餌、繁殖など

よく見ると愛嬌のある可愛らしい顔をしているドジョウ。ペットとしても人気です。飼育自体もそれほど難しくなく、他の魚と混泳しても問題ありません。

ペットショップなどで購入することができ、販売価格は300~600円ほどです。ただ中国や台湾などで養殖された種類もいるので、絶対に自然界に逃がさないようにしてください。

また水田や用水路などに生息している野生の個体を、ペットボトルなどを用いた簡単な罠で捕獲することも可能です。

飼育をする際は、水槽とカルキ抜きした水を用意し、水槽の底に泥や砂を敷き、水草や石も入れてあげてください。

雑食性なので大抵なんでも食べますが、もし水草を食べているようであれば餌が不足している可能性が高いので、追加で与えましょう。

「水槽の掃除屋」とも呼ばれ、他の魚と混泳すると食べ残しを食べてくれます。ただその場合も沈殿するタイプの餌を与えましょう。

繁殖は、飼育下では難しいといわれています。養殖場などでもホルモン剤を注射している場合がほとんどなので、自然環境下で産卵を見られる確率は低いでしょう。

 

ドジョウと人間の関係の歴史。「どじょうすくい」や食用など

日本人にとっては古くから身近な生き物で、農村地帯などでは食用としても親しまれてきました。

江戸時代から戦前にかけては東京の郊外でも捕獲することができたことから、ネギやゴボウとともに割り下で煮て卵で綴じた「柳川鍋」や、卵で綴じない「どぜう鍋」、その他唐揚げや天ぷらにして食べられてきたそうです。

「ウナギ一匹、ドジョウ一匹」という言葉があるとおり、ウナギに相当するほど栄養価の高い食材でもあります。

また中国では粉末状にしたドジョウを薬膳として用いたり、韓国ではすり身を入れたスープが食べられたりしているそうです。

食以外にも、宴会芸の定番として有名な「ドジョウすくい」として馴染みが深く、泥田でドジョウをすくう姿を安来節に合わせて滑稽に踊る姿がよく見られました。

 

ありとあらゆる情報を網羅した図鑑

著者
中島 淳
出版日
2017-03-01

日本に生息する亜種を含めた全33種を網羅した図鑑です。もっとも詳しいドジョウの図鑑といってもよいでしょう。ドジョウの形態や生態、文化などを豊富な写真付きで解説しています。

また3種の新標準和名まで提唱していて、たくさんの知識が得られる内容です。

身近な存在でありながら、実はまだ研究が十分に進んでいないドジョウ。日夜謎の解明に勤しむ研究者たちの情熱にも頭が下がります。本書には現時点までの研究の成果がふんだんに盛り込まれ、一読の価値がある1冊になっています。

 

ドジョウの生態も学べるかわいい絵本

著者
["高家 博成", "仲川 道子"]
出版日
2009-05-15

優しい絵とストーリーで、ドジョウの生態を自然と学べる絵本です。 おならをする習性は魚のなかでは非常に珍しく、子どもたちの心を鷲づかみにすること間違いなしです。

ストーリーもわかりやすく、読み聞かせにもおすすめです。近年は野生のドジョウを見かける機会が減ってしまいましたが、ドジョウの生態は生き物に興味をもつきっかけとしてもよいでしょう。ぜひ子どもと一緒に読んでみてください。

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