5分でわかるゲンゴロウの生態!大きさや生息地、種類、飼育方法などを解説!

更新:2021.8.2

近年めっきり姿を見かけることが少なくなったゲンゴロウ。泳ぎが得意な水生昆虫ですが、個体数が激減し、絶滅危惧種に指定されている種もいます。この記事では、彼らの生態や種類ごとの特徴、よく似ているタガメとの違い、飼育方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひご覧ください。

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ゲンゴロウの生態は?大きさや生息地など

甲虫目オサムシ上科に分類される水生昆虫です。泳ぎが得意で、体形は水の抵抗が少ない流線型です。太くて長い後ろ脚にはブラシ状の毛が生えていて、水を掻くのに適しています。また翅の隙間に空気を蓄えることができるため、水中に長時間いることも可能です。

種類により差はありますが、成虫の体長は3~4cmです。体色は光沢のある濃い緑色または暗褐色で、体の外周部分が黄色っぽい帯で縁取りされたような模様があります。オスはメスに比べて少し光沢が強く、交尾のときにメスの背中にしっかりと吸着できるように吸盤状になっている前脚が特徴です。

幼虫の体は細長く、8cmほどにまで成長し、大きな顎をもっています。

全国の水田や沼、池などの水辺に生息していますが、環境の変化により個体数が極端に減っている種類もあるのが現状です。

肉食性で、成虫は動物の死骸や弱った魚、動きの遅い昆虫などを食べ、幼虫はヤゴやマツモムシなどの水生昆虫を捕食します。

幼虫は獲物を捕まえると顎にある針状の細い管を突き刺し、毒と消化液を注入して壊れた組織を吸い込みます。噛まれると細胞が壊死することもあるため、むやみに手を出さないようにしましょう。

ゲンゴロウの天敵は鳥類の他、ブラックバスやアメリカザリガニなどの外来生物です。襲われそうになると背中や肛門、口などから非常に臭い白い体液を放ち、敵がひるんだ隙に逃げます。

成虫の寿命は2~3年。他の昆虫と比べると長生きです。

 

ゲンゴロウの種類ごとの特徴は。絶滅危惧種に指定されているものも!

世界には約4000種類が存在し、そのうち日本には130種類ほどの生息が確認されています。そのなかから代表的なものを紹介しましょう。

ナミゲンゴロウ
一般的に「ゲンゴロウ」というとこの種を指すことが多いです。地域によってはタダゲンゴロウやホンゲンゴロウとも呼ばれています。体長は3~4cmと最大級です。

国外では朝鮮半島や中国、台湾、シベリアにも分布しており、日本でも全国に生息していて1950年代頃まではよく見かけることができました。しかし池や沼の埋め立て、水質汚染、外来種の無差別放流、観賞用の乱獲などにより個体数が激減しました。環境省レッドリストでは「絶滅危惧II類」に指定され、東京や千葉、神奈川などの地域ではほぼ絶滅したとみられています。

コガタノゲンゴロウ
体長はナミゲンゴロウより一回り小さく3cmほどで、目が大きいのが特徴です。 

比較的暖かい環境を好むため、日本では北海道を除く本州以南に生息しており、台湾や中国、朝鮮半島にも分布しています。ナミゲンゴロウと同様に個体数が激減していて「絶滅危惧II類」に指定されています。

マルコガタノゲンゴロウ
体長は小さく2.5cm前後です。腹部が明るいオレンジ色で背中の緑色も明るく、他の種類よりも鑑賞に適した美しさがあります。

日本での生息地は本州と九州ですが、上述した2種より深刻な「絶滅危惧IA類」に指定されていて、自然下ではほとんど姿を見ることができなくなっています。

クロゲンゴロウ
体長は2.5cmほどです。体色は黒が基調で、頭部はやや緑色がかっています。

日本では本州と四国および九州に生息し、他の種より個体数は多いものの「準絶滅危惧」に指定されています。

 

ゲンゴロウとタガメの違い。どちらも空を飛ぶ水生昆虫

タガメはカメムシ目コオイムシ科に分類される水生昆虫です。体長が5~7cmほどあり、日本最大のカメムシといわれています。ただ臭くはありません。鳥類の他に天敵がいないため、その必要がないのでしょう。

体形はゲンゴロウとよく似ていますが、やや平べったく、前脚が鎌のように大きく発達しているのが特徴です。 肉食性かつ獰猛で、小魚やカエル、蛇なども食べてしまうそうです。

ゲンゴロウとは成長の過程が大きく異なります。タガメは幼虫から直接成虫になりますが、ゲンゴロウは蛹になり、羽化して成虫になります。

両者とも空を飛ぶことができ、特にタガメは繁殖期になると数kmも飛行することがあるそうです。血縁者との交配を避けるためだと考えられています。

ゲンゴロウも夜間になると電灯の明かりなどに集まってくることがありますが、タガメほど長距離を飛ぶことはできません。

 

ゲンゴロウを飼育してみよう!販売価格や餌など【幼虫~蛹~成虫】

飼育はそこまで難しくありません。ペットショップなどで観賞用として2000~5000円ほどで販売されています。

必要な道具は、大きめの水槽、敷き砂、水草、水質を維持するための濾過フィルターです。また甲羅干しができるよう、流木のような止まり木や浮草なども用意しましょう。

成虫の餌はミミズやオタマジャクシ、メダカなどです。1日に1回与えましょう。

もし幼虫が生まれたら、共食いを避けるために、1匹ずつプリンカップのような容器に隔離します。餌は生きたミミズやコオロギを朝と夜の2回与えましょう。

蛹になる数日前になると食欲が落ち、動きが活発になります。湿らせた土を入れたプランターなどに移動させましょう。しばらくして地中に潜ったら蛹になる準備の完了です。適度に水分を補給しながら成虫になるのを待ちます。

蛹になってから40~50日経つと羽化し、自力で土の中から這い出してきます。1週間ほどすると体ができてくるので、水槽に移してあげましょう。

 

水生昆虫の魅力に迫る1冊

著者
["森 文俊", "関山 恵太", "内山 りゅう", "渡部 晃平"]
出版日

田んぼの水路や沼、川辺などには数多くの水生昆虫が棲んでいます。タガメやゲンゴロウなど見た目が似ている種も多く、見分けるのはなかなか難しいでしょう。

そのようなとき役立つのが本書です。アメンボ、タガメ、コオイムシなどのカメムシ目と、ゲンゴロウ、ミズスマシなどの甲虫目を中心に、カラーの生態写真で特徴や魅力を紹介しています。

飼育のコツも知ることができるので、昆虫採集のよい参考になるでしょう。

 

ゲンゴロウなど水生甲虫のすべてがわかるスーパー図鑑

著者
["三田村 敏正", "平澤 桂", "吉井 重幸"]
出版日
2017-06-07

水生の甲虫類に特化したカラー図鑑です。ゲンゴロウをはじめとした、日本に生息する160種を紹介しています。

生きた標本を前後上下左右から撮影したものや、一部分をアップで撮影したものを載せているので、さまざまな種類の違いを知ることができます。幼虫の写真を豊富に掲載しているのも魅力的です。

分布範囲や成虫と幼虫が見られる時期、見つけやすさなど、昆虫観察に役立つ情報も満載です。持ち運びに便利なサイズなので、フィールドワークのお供にもどうぞ。

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