町山智浩のおすすめ本5選!ラジオなどでも活躍するアメリカ在住映画評論家

更新:2021.11.15

映画好きの方であれば、町山智浩の映画評を1度は読んだことがあるのではないでしょうか。アメリカで生活しながらもインターネットなどで情報を発信し、日本のラジオ番組のレギュラーももっています。町山の批評は、映画を観た後に読んでも、観る前に読んでも面白いと評判。そんな彼の著作のなかからおすすめの作品を紹介しましょう。

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町山智浩とは

 

1962年生まれの映画評論家、コラムニストです。早稲田大学に在学中から編集プロダクションや出版社でアルバイトをし、アニメや映画、SF関連の書籍制作に携わってきました。

卒業後の1985年に宝島社に入社。『おたくの本』『裸の自衛隊!』などベストセラーの企画編集をして、編集者として活躍する一方、「映画宝島」シリーズでは取材執筆も担当します。

1996年に退社をすると、アメリカへ渡り、大学院へ進学。また映画学校にも通うようになり、以降はそのまま現地で暮らしながら、アメリカ映画の情報を中心に日本のメディアで発信しています。映画に関連するさまざまな書籍を発表しているほか、ラジオでも複数のレギュラー番組を担当。幅広い世代から人気を集めています。

町山智浩の真骨頂『「最前線の映画」を読む』

 

2016~2018年に公開された映画のなかから20作を選び、町山智浩が解説を加えた映画評です。

多くの人が映画を観る前にその評価を確かめるかと思いますが、町山の批評はひと味違います。映画を実際に観た人の多くが疑問を抱くであろう点に着目し、作品のなかに隠されている登場人物の行動や小道具、BGM、時代背景、はたまた監督の過去作品にまで視野を広げて、謎を解いていくのです。

著者
町山 智浩
出版日
2018-02-07

 

取り上げている作品は「ラ・ラ・ランド」「エイリアン:コヴェナント」「ワンダーウーマン」「ブレードランナー2049」など話題作ばかりです。ただ目の付け所が町山ならでは。たとえば「エイリアン:コヴェナント」のアンドロイドはなぜワーグナーを弾くのか、「ラ・ラ・ランド」の2人はなぜ別れなければいけないのかなどです。

新たなメッセージを読み解くことで、もう1本映画を観たような感覚になるでしょう。

特に洋画の場合、日本で暮らしている我々にはわかりにくい文化や、歴史的背景などが含まれていることが多いです。監督の意図を町山を介して理解することで、より深く作品世界に入り込むことができます。そしてきっと、もう1度観直したくなってしまうでしょう。

映画のセリフに着目したコラム集『映画と本の意外な関係!』

 

町山智浩が雑誌「kotoba」で連載していたコラムをまとめた作品です。

映画のなかに何気なく出てくる本や、登場人物のセリフの引用元に着目し、書籍の内容や作者と、セリフを放った人物のキャラクターがどのように関連しているのかを解説しています。

著者
町山 智浩
出版日
2017-01-12

 

実は洋画のセリフには、著名人の言葉や有名な本の一節が使われていることがありますが、日本人が字幕や吹き替えで鑑賞すると、気付かないまま流れていってしまうことがままあります。

町山は本書で、自身の膨大な知識を元に、隠された背景や言葉遊びなどを解説してくれます。

作中の印象的なセリフから原作となる小説を探り、そうこうしているうちにまた別の作品に繋がっていく思考の転換には驚くばかり。ひとつひとつの項目は短いので、テンポよく読み進められるのも魅力的です。

映画好きの方はもちろん、読書家にもおすすめの一冊です。

TBSラジオ「たまむすび」のコーナーを書籍化『町山智浩の「アメリカ流れ者」』

 

TBSラジオの人気番組「たまむすび」のなかで、毎週新作映画を紹介するコーナーを担当している町山智浩。前身番組から約10年近く続いている、お馴染みのコーナーです。

書籍化するにあたって少し上品にした、と町山は語っていますが、それでも下ネタが強めなのがラジオならではの魅力でしょう。

著者
町山 智浩
出版日
2018-04-04

 

「映画は何も知らずに観ても面白い。でも、知ってから観ると100倍面白い。観てから知っても100倍面白い! 」(『町山智浩の「アメリカ流れ者」』より引用)

この言葉が、町山の映画批評を象徴しているのではないでしょうか。

収録されている作品は、「スター・トレック BEYOND」「ブレイキング・バッド」「この世界の片隅に」など、全部で21本。作品を引き合いに出しつつ、アメリカの社会が抱えている問題を語っています。現地に住んでいるからこそ発信できる情報も多く、アメリカ文化への造詣も深めることができるでしょう。

町山智浩の心に爪痕を残した映画たち『トラウマ映画館』

 

町山智浩がテレビなどでたまたま観て、トラウマになってしまった26本の映画について紹介している一冊です。

1960年代から1970年代に公開された作品が中心。マイナーだったりヒットしていなかったりと一般的には知られていないものが多いですが、ストーリーの解説にとどまらず、監督や俳優の経歴、時代背景などについてもしっかり考察されていて、読みごたえ抜群の内容になっています。

著者
町山 智浩
出版日
2013-09-20

 

「トラウマ」とあるように、紹介されている作品は一癖も二癖もあるものばかり。しかし町山の批評を読んでいると、人の心に残る映画は「良い」映画なのだと実感させられます。

また名前は知られていなくても、後の映画界に影響を与えている作品もあり、広い視野で楽しむことができるでしょう。

トラウマになってでも観たくなること間違いなし。好奇心を掻き立てられる一冊です。

町山智浩がアメリカの女性を語る『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』

 

アメリカに住んでいる町山智浩が、55人のアメリカの女性について語ったエッセイ集です。

有名人を取り上げているわけではなく、女性差別にはじまり、人種や貧困などによって困難な状況にありながらも乗り越え、強く生きた人たちが紹介されています。町山いわく、「もっと日本の女性にも知って欲しいと思った女性たちを多めにしました」だそう。

女性が読んでも男性が読んでも、勇気と気付きをもらえる一冊でしょう。

著者
町山 智浩
出版日
2014-03-31

 

紹介されている女性たちの職業は、女優、経営者、エンジニア、海軍など千差万別。ひとり当たりの分量は多くないので、自然と次から次に成功談を読むことになり、圧倒されます。

アメリカは奴隷制度や人種隔離などの歴史があります。女性に参政権が与えられるまでも、長い闘いがありました。しかし現在は、世界をけん引する企業のトップが女性だったり、政治を女性が引っ張っていったりと、その歴史を塗り替えています。

アメリカを変えていった女性たちから、日本人が学べることは多いはず。彼女たちのパワフルな人生を体感し、エネルギーをもらえる作品です。

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