本作は、忍者好きが高じて忍者になってしまった普通の女子高生が、個性溢れる仲間達とくり広げるドタバタ・シノビコメディとなっています。この記事ではそんなほのぼのギャグ漫画の魅力を全巻ご紹介!
主人公の鹿浪(かなみ)かんなは、ごく普通の17歳の女子高生。金欠気味だった彼女は、偶然手に取ったアルバイト情報誌で妙な求人を発見します。それは、なんと……忍者の募集でした。
- 著者
- はころく
- 出版日
- 2014-11-28
それも伊達や酔狂ではありません。現代に生きる本物の忍者が、人員不足に喘いでかけた募集だったのです。そして持ち前の明るさと、幼いころからの忍者好き、そしてとある特技があったおかげで、彼女はうっかり合格してしまいます。
ごく普通の女子高生なのにくノ一となってしまった彼女は、個性豊かな忍者達と関わっていき、奇妙な魅力でどんどん仲間を増やしていくのでした。
『くノ一はじめました!』はドタバタ・シノビコメディと銘打っているだけあって、非常に荒唐無稽なギャグ漫画となっています。ギャグについては後述するとして、まずは主要人物にスポットを当ててみましょう。
これがまたギャグに輪をかけてアクが強いというか、キャラが濃いというか、癖のある個性的な者達ばかりです。
まずは、主人公のかんな。忍者への憧れだけでくノ一になってしまった変わり者で、天然ボケのきらいのある巨乳の少女です。本人は持ち前の豊満な体に無自覚なので、それを強調したお色気要素もしばしば見られます。そんな彼女の特技は、ベテラン忍者も驚く超高等忍術である、分身の術です。
そして彼女をスカウトしたのが、「黒の里」と呼ばれる忍者集団の1人、黒稲(くろいね)半蔵です。常に全身黒装束で、誰がどう見ても忍者というわかりやすい風体。作中最強の忍者ながら、基本的に争いごとが発生しないため持て余し気味。しかも常識人かつ苦労人の性分なせいで、ほぼ毎回受難の的となっています。
彼ら黒の里と敵対――という名目でなんだかんだ仲良くーーして交わるのが、「白の里」の白雪真白と、彼女に従う白山3兄弟です。真白は透明化の術「陰美自分流(いんびじぶる)」を使うせいか影が薄く、これまで友達がいなかったので、かんなに懐いています。
友達がいないといえば、「金の里」の金霧(かなぎり)かなめも同様。ぼっちをこじらせた挙げ句、ちょっと仲良くなったかんなに執着する、ストーカー気質の少女です。
これらレギュラーキャラクターに加えて、各里の長や関係者、そして妙な存在感を放つ謎のモブキャラ「おばちゃん四天王」など、とても個性豊かな面々が登場します。
『くノ一はじめました!』はドタバタ・シノビコメディですが、特に忍者に関係なくてもひたすらボケが応酬されることがままあります。
もっとも目立つのが、主人公かんなの天然ボケです。たとえば、彼女の分身の術はメンタルに左右されるのですが、調子が悪いと分身が貧乳として出てきたりします。すると、その分身がへこんでへそを曲げたり、どうでもいい場面で感動を演出したり、それを台なしにして調子に乗ったり……と、実にくだらなくて、それがクスリと面白いのです。
基本的に誰かを傷付けることは起こらず、非常に平和。半蔵や白山3兄弟、かなめの関係者である小金井金太郎など、要するに男性キャラクターの受難だけは例外ですが、その不憫な様子も笑いになっています。
そして、登場するだけでインパクトのあるおばちゃん四天王と、どこをとっても誰も傷つけない面白さがあるのです。
1話完結形式で最後はハッピー(?)エンドで終わるので、どんなことがあってもほっこりできます。
本巻の見所はやはり、第1話の忍者面接です。
忍者の募集がしれっと求人フリーペーパーに載ってるのもおかしくて、人員不足からくる募集の経緯もおかしければ、4人応募あったというところまで、何から何まで荒唐無稽。
かんなを除く3人は、ありがちな面接の受け答えをしつつ、どこかズレた者達ばかりでした。そしてその面接の最後に、主人公のかんながいたのです。
- 著者
- はころく
- 出版日
- 2014-11-28
巨乳であること以外はごく普通の女子高生で、応募の動機は忍者好き。他の3人にも増して、忍者に相応しくない人材……かと思いきや、そこで披露されたのが超高等忍術であるはずの分身です。
面接官の黒稲半蔵ですら、長い修行の末にデフォルメされた分身1人を出すのがやっとでした。かんなは瓜二つの分身を、2人同時に出してのけたのです。
こうして予想外過ぎる一芸の特技によって、彼女の忍者生活が始まっていきます。しかし、やはりアルバイトといいますか、なんだか気の抜けた毎日で……!?ハラハラ感とは程遠い、彼女の忍者としての生活から目が離せません。
敵対する白の里の者達とも仲良くなったかんなの前に、第3の刺客が現れます。それは金の里の自称ゴールデン忍者、金霧かなめ(と小金井金太郎)でした。
かんなはかなめの手に落ち、誘拐されてしまいます。彼女の窮地を知った白山3兄弟は、半蔵に先んじて彼らだけで奪回に向かいますが……。
- 著者
- はころく
- 出版日
- 2015-02-28
へっぽこ兄弟がうまく立ち回れるはずもなく、あっさりかなめの術中に陥って洗脳されてしまいました。
真白と合流した半蔵が駆け付けた時、3兄弟が敵として立ち塞がります。悲痛な身内対決かと思いきや、そこはギャグ漫画。魅了されつつも真白への忠誠心で、3兄弟は戦闘放棄してしまうのです。
かなめもなんだかんだで、かんなの優しさにほだされ、心を許していくのですが……。高飛車美少女のキャラ被り、もとい嫉妬に駆られた真白のせいで、ぐだぐだに陥っていきます。
普通だったら緊迫するはずの場面なのに、なんだか気の抜けた展開。しかし、それこそが本作のよさでもあるのです。ぜひ注目してご覧ください。
かんなを中心に、すっかり打ち解けた忍者達。そんな彼らの元へ、1通の依頼状が届きました。それはとある筋が忍者のテーマパークを開催することとなり、その実地点検を兼ねて、本物の忍者を招待したいというものだったのです。
- 著者
- はころく
- 出版日
- 2015-10-03
テーマパークはからくり屋敷と、その道中のアトラクションが売り。心を許したとはいえ、ライバル意識のある忍者達は、それぞれ里ごとに別行動して競争を始めます。
アトラクションには、なぜかことごとくが安全性に難がありました。一般人にはどう見ても攻略不能な垂直の壁など、難関難所のオンパレード。
実はこのテーマパーク、忍者達をはめるための罠だったのです。謎の敵「魔王忍者」の卑劣な計画でした。そうとは知らずに、次々リタイヤしていく忍者達。果たして彼らは無事に切り抜けることが出来るのでしょうか?
本巻では、番外編として温泉の話も収録。本作で温泉となれば、お色気シーンを期待せずにはいられません!襲いかかるハプニング。かんな達の姿にクギづけになること間違いなしです。
いかがでしたか?ゆる~い個性的忍者達の、クスリとくるほっこりコメディ。日常の癒やしにはぴったりです。