エロ胸キュンをお探しの女子に、葉月つや子をおすすめしたい【山本裕子】

エロ胸キュンをお探しの女子に、葉月つや子をおすすめしたい【山本裕子】

更新:2018.9.26 作成:2018.9.26

ご本人曰く「オヤジ劇画誌・女性誌・BL誌、同時進行のよろず作家」。これってすごくないですか。全方位エロ対応やんか。その中から今回は女性誌向けの作品をご紹介。胸キュン(死語)とエロの両立、サンキュウ。

山本裕子プロフィール画像
俳優
山本裕子
劇団・青年団所属。1974年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。ドラマ『踊る大捜査線』にはまり、警察官僚を目指すか、このまま司法試験に向け勉強を続けるか、散々迷った末、勢い余って俳優になる。現在長野県在住。四歳の男児持ち。「トマト農家の嫁」と「俳優」二足の草鞋を履く。 【出演情報】 映画「シスターフッド」 監督:西原孝至 アップリンク吉祥寺にて特集上映 2020年1月4日(土)19:50の回 https://joji.uplink.co.jp/movie/2019/4221
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まるっと2カ月ほどお休みさせていただきましたが、お久しぶりです、山本です、お元気でしたか。

わたしですか。わたしは元気じゃなかったです。尋常じゃない、もはや災害とまで言われた暑さの2018・夏、にしてやられました。あるいは加齢。

よくわかんないですけど、連日お医者へ点滴に通い、春からずっと咳が止まらず、ある日、目から急に血が出ましたよ。なんだこれ、呪いか。

あれやね、人間、健康が一番やね。生きてるだけで儲けもんだ。息も絶え絶えだ。免疫が落ちている。心なしか、目もかすんできたような。いや、これはおそらくケータイの見過ぎ。

そこで。今回おすすめするのは、葉月つや子さんのエロマンガであります。

え、なんでここで急にエロ?と思いましたか。まあな。思うわな。

ほら、言うでしょ、DVDとかPCとか、何かしらテクノロジーが急速に普及する原動力は、エロだって。

それならきっと、エロは人体の免疫力をも上げるはず。空も飛べるはず。エロで元気を取り戻そう。エロリハビリだ。あれ、なんだか期せずして不穏な響きに。

『シンデレラ ~被虐の花嫁~』

著者
葉月 つや子
出版日

はい初っ端から「被虐」てー。どうよそれー。

今現在出てる、葉月さんの女性誌向けコミックスは『まんがグリム童話』という月刊マンガ誌に掲載されたものです。

タイトルの通り、童話や民話をベースにするほか、民間伝承や文学作品、歴史上の出来事など、様々な題材を翻案しています。

ここに収録されているのも、表題の「シンデレラ」に加え「美女と野獣」「カエルの王様」「長靴をはいた猫」「かぐや姫」「親ゆび姫」など。

みんなが知ってるザ・童話を、どう面白く、自分ワールドに作りかえられるかが、作家の腕の見せ所と言えましょう。

まず、絵が、なんせ絢爛。豪華。美しい。

設定がすべて、西洋の時代モノなのですが、人物の服装ひとつひとつ、建築物、室内装飾、街並み、風景に至るまで、隅々まで緻密に描き込まれています。

仕事に対する真摯さが、見える、気がする。作品を、尊敬の念をもって読むことができるのは、読み手にとって幸せなことです。

さて、ここで重大なお知らせが。これ、いわゆるレディコミなんすよ。

レディコミ、わかりますよね、大人の女性読者を対象とした、露骨な性描写のあるマンガジャンル。

1つの話がだいたい40ページ前後なので、話の展開も早く、シュッ!ザッ!バサッ!で、あっちゅーまにすっぽんぽん。潔いったら。

黒髪オールバック・メガネ・燕尾服の公爵様、とか。

豪華ドレス・髪アップ・流し目お色気ムンムン未亡人、とか。

立派な体格をした美男美女が、組んずほぐれつ、なにこれ、どっから見た図?くらいの大胆な構図で、どどーんと局部白抜き。

これが普通に本屋さんで購入できるなんて、はぁオラ、たまげたずらー。

物語の設定は、令嬢が借金のカタに売られて~とか、田舎に追いやられた未亡人のところに~とか、娼館の売れっ子が~とか、まあなんやかんや様々なパターンあって、まあすったもんだします。

ここで全てに共通する要素が、そう、愛だろ、愛。

愛ありきの、エロ。または、エロからの、愛。オレゴンからも、愛。

ただエロけりゃいいってもんじゃないもんね。愛のないエロなんて、そんなのキモいだけっすよ。

どのお話もハッピーエンドで、これまたひと安心。

そもそも、葉月つや子著作の、数々の表紙イラストを見ていただきたい。

ほぼ全てが、にやっと悪い貌で笑うおとこまえと、眉をひそめて抗う美人さんの、からみの図。

この様をひと言で形容するならば、「いやよいやよも好きのうち」の一言に尽きる。ここに愛が介在しなければ、それって、ただの犯罪。

そこへどどんと、胸キュンと、ラブを注入だ。

悪評高いドS公爵様が、実は!

胸中に寂しさを抱えた、笑顔の素敵なヒト~とか。

トロくて仕事のできない、イケメン年下・ドM下男が、実は!

さる名門貴族のご当主サマ~とか。

そんな、笑っちゃうくらいの「実は~」的・お約束メルヘンを容赦なくぶっこみ、夢見る女子の、うれし恥ずかし胸キュンポイントを、凄腕スナイパーのごとく狙い撃ちしてくるところがたまらんわな。

ほらあのー、世のおばさまたちがね、韓流ドラマとかアイドルグループとかにどハマりして、胸キュンキュンさせて、

「○○くんのおかげで、気持ちも若返りました! お肌もツヤツヤ、毎日楽しく過ごしてます!」

みたいなの、あるじゃないですか。

そう、キュンは、女子を、細胞レベルで救うのですよ。ありがたいことです。進んでキュンキュンしていこう。そうしよう。

この『シンデレラ』も、「被虐~」とか大変心配になるタイトルではありますが、でも大丈夫マイフレンド。

たとえば、ジリアン(元ネタで言うところの、シンデレラ)が、クレイバーグ公爵(元ネタ~王子さま)の夜会から戻り、後日、公爵の元へと連れ戻された場面にて。

公爵:「キミにはまず、拘束具が必要のようだ」(メガネきらーん)
ジリアン:「やめてください! そんな…!」
(ぐいっ! ジリアンの左手を掴む公爵)
ジリアン:「!!」
(薬指に、指輪をするり)
ジリアン:「いっ……」
公爵:「“いや" はない。 クレイバーグ公夫人(にこ)」
(つかんだ指先に、ちゅっ。背景にみだれ飛ぶ星のかずかず)
ほーらどうよ。根底に流れる、少女マンガのキュン。

キュンキュンキュン、3キュン獲得~てなもんですよ。ガッテン!ガッテン!ガッテン!


『秘密の花園 ~禁断の契約~』

著者
葉月 つや子
出版日
2012-07-07

はい、引き続きこちらもいっときますか。

表題作の「秘密の花園」の、流れの女庭師と、大邸宅のツンデレ旦那様。

「赤ずきん」の、逃亡中・女スパイと、潜伏先のお屋敷のオトコマエ執事。

みたいな感じでね、相変わらずのキュンをお送りします。

「禁断」の文字が、やや気にかかりますが。

そもそも、他コミックスのタイトルをみるに、

『淫夢にまどろむ眠り姫』
『赤いくつ ~危険な火遊び~』
『艶聞源氏物語』
『野獣と7人の花嫁』
『淫獣の魔窟 ~極悪男(ワルメン)の愛撫~』
『淫獄の聖女』
『罪に濡れた人魚姫』

さあ、どうだ。レンタルDVD屋さんの、ぺらぺらのビニールカーテンかかってるコーナーに足踏み入れたかのような、エロ漢字の数々。

あとがきによると、これらのタイトルキャッチは、編集さんがつけるのだそうです。なるほど、目からエロ欲あおって、購買意欲を刺激する、と。ご商売だ。

これ、もしタイトルを葉月さんご本人がつけた場合、

『人魚姫・北海エレジー、女の忍び泣き、沖へ続く涙の花道』

になってしまう、とのこと。うん、確かにね。買いづらいね。

でも、こういうセンスこそ、だいすきっすよ。大好物っすよ。

ゴージャスな絵柄と、場合によってはエログロありの骨太な物語の中に、ちらりと入れてくるおもしろ1コマ。おもしろ擬音。緩急自在です。

この本に限らず、あとがきや、おまけイラストが大変面白いので、細かいところまでぜひ味わっていただきたい。

なお巻末に、ページ数あわせとして『湯の華酔虎伝』というオリジナルの話が収録されているのですが、「往年のエロレディース」とご本人が言うだけあって、ちょっとなんだこれギャグなのかというくらいのあれで、あの、もう、あはははははは。すきだ!

そして、葉月さんの描く、エリート風メガネおっさんは、もれなく全員かっこいい。

『好色一代男異聞 鷲羽屋みだれ帖』

著者
葉月 つや子
出版日
2014-11-17

井原西鶴の「好色一代男」を翻案、大胆にアレンジを加えて漫画化。現在2巻まで既刊。

時は江戸、京きっての大商家「鷲羽屋」の次男・世之介は、暇と金を持て余し、女遊びに明けくれる日々を送っていた。

生涯で愛した女 3742人
たわむれ抱いた男 725人

て書いてありますけど。本気ですか、井原西鶴。あんたどうかしてるぜ。

江戸時代の一大エロ小説ですが、エロ解禁の平成の世ではぜーんぜん面白くなーい、ということで、どんどん脚色を加え、話を盛り増し、オリジナルの脇役たちを加え、独特のつや子ワールドに変容しています。

ちなみに、2巻の帯のコピーは、

俺に突かれて果てたいか?
年増女中!ナンバーワン宿場女郎!淫乱田舎娘!

ああ。キャッチーだ。編集さん、グッジョブ。家で、そのへんに置いときづらいったら。

このご紹介書くのに、しばらく葉月さんの本が机周辺にあちこち散乱していたのですが、それを拾ったうちのお子・4才男子が、「かあちゃん、みてみて~。はだかんぼ~~」と見せに来ました。あかんあかん、隠さな。

ではまた次回。ごきげんよう。