原作小説『フォルトゥナの瞳』を5分でネタバレ解説!死を見通す物語が面白い

更新:2021.12.9

本作は、2019年に映画化も決定している「選択」をテーマにした物語です。ある日を境に、死期が迫った人物が透けて見えるという特殊能力を身につけてしまった主人公。そんな彼は、いったいどのような「選択」をするのでしょうか。 この記事では、本作のあらすじから結末まで詳しく解説。ぜひ最後までご覧ください。

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『フォルトゥナの瞳』が面白い!映画化の原作小説をネタバレ解説!【タイトルの意味、あらすじ】

本作は、「フォルトゥナ」という、ローマ神話にまつわるある能力を身につけた主人公が、その能力をどう使っていくかを描いたラブストーリーです。

フォルトゥナとは、ローマ神話に伝えられる運命の女神といわれています。運命を左右する彼女をモデルに、この作品は描かれているのです。

主人公が身につけた能力、それは死期の迫った人間がわかる、というもの。彼らが、薄く、透明に見えてしまうのです。そんな主人公の名前は、木山慎一郎といいます。

彼は幼いころに両親を亡くし、身寄りのない人生を送っていました。彼の職場は、自動車のコーディング会社。彼のコーディング技術は素晴らしく、お客様や社長の遠藤からも、非常に評判のよい技術者でした。

そんな彼は、ある日突然、人の体が透けて見えるようになります。手だけ透けて見える人もいれば、全身が透けて見える人もいました。最初はこれにどんな意味があるのかわかりませんでしたが、ある時、彼らに共通する点を見つけます。それは死期が迫っていることだったのです。

この彼の能力には、欠点がありました。それは、彼らを助けてしまうと、自分の命が縮まってしまうこと。それでも透けている人を見つけてしまうと、どうしても気になってしまう彼は、自分自身と葛藤し続けるのです。

木山はこの能力と、どのように向き合っていくのでしょうか。

著者
百田 尚樹
出版日
2015-11-28

本作は2019年に映画化も決定しています。神木隆之介有村架純が出演する映画は、世間でも注目を集めており、見所満載です。

小説も、1度読み始めたら止めることができない作品ですが、映像ではどのように表現されるのでしょうか。乞うご期待ですね。


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作者・百田尚樹とは

『フォルトゥナの瞳』の作者である彼は、どのような小説家なのでしょうか。百田は大阪府の出身で、同志社大学を中退。大学在学中には、『ラブアタック』という、関西の番組の常連で出演していました。

その後は放送作家として、『探偵!ナイトスクープ』や『大発見!恐怖の法則』などの番組構成を手がけています。

著者
百田 尚樹
出版日
2009-07-15

2006年には、『永遠の0』で小説家としてデビュー。この作品は文庫本で100万部を突破し、映画化もされている大ベストセラーなので、皆さんもどこかで百田尚樹の名前を耳にしたことはあるのではないでしょうか。

その他にも、『海賊と呼ばれた男』で本屋大賞を受賞したりと、実力も人気もある小説家です。

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苦悩しながらも必死に生きる人物を描くことの多い百田尚樹。読者のツボを的確につく作家で、オチが見事な物語から感動させる物語までそのジャンルは様々。「直木賞よりも本屋大賞ははるかに素晴らしい」と言い切るなど、自身の考えを明瞭に発信する百田尚樹のおすすめ作品をご紹介します。

『フォルトゥナの瞳』登場人物の設定、見所を解説!

本作に登場する人物を、簡単にご紹介させていただきます。

 

  • 木山慎一郎

    主人公である、特殊能力を手にした青年。自動車研磨工として、自動車のコーディングをおこなっています。遠藤に恩があるようです。映画では、神木隆之介が演じます。

     
  • 桐生葵

    携帯ショップの店員であり、木山の恋人。映画では、有村架純が演じます。

     
  • 遠藤

    木山の恩人であり、彼が務める自動車工場の社長。木山の腕を信頼しています。

     
  • 金田

    木山をいじめる同僚。木山は彼にカツアゲなどをされています。素行は悪いですが、腕は確かです。

     
  • 真理子

    木山の憧れの女性。薬に手を出し、風俗に墜ちてしまいます。

     
  • 黒川

    木山と同じ能力を持つ医師。

名言を解説!作品世界の魅力が伝わる

『フォルトゥナの瞳』には、数多くの名言が存在します。ここでは、そんな名言のごく一部をご紹介させていただきます。

人生っていろんな選択肢があるように思えるけど、
実は最初からどれを選ぶか全部決まっているんじゃないかって。
それでね、ひとつだけ分かったことは、
いくら考えてもそんなことはわからないということ。
だって人生はやり直しがきかないからね。
過去に戻って選び直しってできないからね。
(『フォルトゥナの瞳』より引用)

事務員の女性が、木山に発言した内容です。彼は能力を手にしてから、人の運命というものを考えるようになりました。

死ぬとわかっている運命を放っておくのが正義なのか、運命を変えてでも助けるのが正義なのか。そんな彼の悩みをわかっていたのでしょうか。彼女は、このセリフを投げかけました。これが、彼の正義に後押しをしたのかもしれません。

私はね、本当に嬉しいのよ。
慎ちゃんは子供の頃から、たった一人で生きてきて、
やっと、幸せを掴んで良かった....
(『フォルトゥナの瞳』より引用)

木山が、遠藤の妻・美津子に、彼女ができたと報告する場面です。幼少期に両親をなくしている彼は、言葉のとおり、ひとりぼっちで生きてきました。そんな彼にようやく幸せが訪れたのです。

それは、つかの間の幸せかもしれません。なぜならばその出会いは、彼が彼女の死の運命を救ったことから始まっていたから。彼は自分の命を削り、葵という大切な人と巡り会ったのです。

彼もまた何人もの人の運命を変えることによって、
自分の命を削ってしまった不運な男なのだ。
(『フォルトゥナの瞳』より引用)

木山と同じ能力を持つ黒川が死んだときに、木山が思ったことです。同じ能力を持つ黒川は、なぜ死んでしまったのでしょうか。ここに『フォルトゥナの瞳』の本質が隠されているのかもしれません。

『フォルトゥナの瞳』の結末の意味、ストーリーのテーマをネタバレ考察!黒川はなぜ死を選んだ?

著者
百田 尚樹
出版日
2015-11-28

黒川は、なぜ死んでしまったのでしょうか。能力を使って、他人の運命を変えてしまうと、その反動で自分自身の命を削ってしまいます。彼はそのことをわかっていたので、木山に決して他人の人生に関わらないようにと忠告をしました。

しかし、黒川自身も他人が死ぬことを見過ごすことができなかったのでしょう。

彼は他人の命を助けたことで、亡くなってしまったのです。人は人の運命を変えたい生き物なのでしょうか。それとも、この能力を持った人物は、他人を救わずにはいられない気持ちになってしまうのでしょうか。

黒川にはさんざん他人の人生に関わるなと忠告されていた木山が、予想だにしない彼の死に驚くとともに、安堵もありました。ではなぜ、木山は安堵したのでしょうか。

その理由は、最後に明かされます。黒川と同じ能力を持つ彼には、いったいどんな選択が待ち受けているのでしょうか。


この結末が気になる方は、ぜひ本編でお確かめください。人の運命を変えること、自分の運命を変えることから見えてくる、この世界の変化の様子に圧倒されることでしょう。

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