5分でわかる排他的経済水域!意味、領海との違い、漁業等をわかりやすく解説

更新:2018.10.15

ニュースなどでよく耳にする「排他的経済水域」。実は日本は、国土面積の10倍以上もの広さを有していることをご存知でしょうか。この記事では、意味や概要、よく似た「領海」「接続水域」との違い、世界ランキング、漁業などについてわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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排他的経済水域とは?意味や概要を簡単に解説

 

1982年に国連海洋法会議で採択され、1994年に発効した「海洋法に関する国際連合条約」。通称「国連海洋法条約」と呼ばれていて、2018年現在167ヶ国およびEUが締結しています。

排他的経済水域は、この条約にもとづいて設定された水域です。

水域内では、天然資源や自然エネルギーに関する主権的権利、人工島や施設の設置ができる権利、環境の保全や保護をおこなう権利、海洋科学調査に関する管轄権が沿岸国のものとなります。

水域の範囲は、沿岸国の基線(潮がもっとも引いた時に海面と陸地が交わる線)から200海里まで。1海里は1852mなので、200海里は約370.4kmです。

日本と韓国、日本と中国の間など、200海里幅が確保できない場合は、双方で協議をして両者の中間距離までに設置するなどの対策をとっています。

排他的経済水域は、大陸だけでなく島を基点として設定することも可能です。ただそのためには国連海洋法条約で定められている「島」の条件を満たす必要があります。

「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」とされていて、この条件を満たしていれば排他的経済水域を設定できるのです。日本の「沖ノ鳥島」のように、島かどうかをめぐって国際的な論争となる場合もあります。

排他的経済水域と、領海や接続水域との違い

 

排他的経済水域と似たような意味をもつ言葉に「領海」と「接続水域」があります。それぞれ説明していきましょう。

領海

基線から最大12海里(約22.2km)までの範囲に設定することが可能な水域で、沿岸国の主権がおよび、沿岸国の法が適用されます。「領土」や「領空」とともに、国家の領域を構成する「国土」のひとつです。1964年に発効された「領海及び接続水域に関する条約」によって規定されました。

ただ、「領空」へは許可なく侵入するだけで領空侵犯となるのに対し、「領海」は沿岸国の平和・秩序・安全を害さないことを条件に、沿岸国に事前通告することなく通航する「無害通航」が認められています。たとえ軍艦だったとしても、戦闘態勢になければ領海侵犯とはなりません。

また、基線から12海里内にあっても国際航行に使用されている海峡は「国際海峡」とされ、領海とは区別されています。日本では宗谷海峡や津軽海峡など5つが当てはまります。

接続水域

領海の外縁にあたり、基線から24海里(そのうち12海里が領海)の範囲に設定することが可能な水域です。通関・財政・出入国管理・衛生に関する法令の違反に対し、沿岸国が予防措置や処罰措置をとることができます。

基線から「領海」「接続水域」「排他的経済水域」の順に層を成していて、それぞれに沿岸国の権利が認められています。「排他的経済水域」の外側は「公海」で、国家が領有したり排他的に支配したりすることはできません。

日本の排他的経済水域と世界ランキング

 

日本の国土面積は約38万平方kmで、けっして大きな国ではありません。一方で排他的経済水域は約447万平方kmもあり、これはアメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダに次いで世界第6位の広さです。

四面を海に囲まれた日本は、文字通りの海洋国家で、広大な排他的経済水域には寒流の親潮と暖流の黒潮が流れ込み、世界でも有数の漁場だといわれています。さらに海底や海底下には石油や天然ガス、メタンハイドレートなどの資源が大量に存在していることもわかっているのです。

日本最南端の島である沖ノ鳥島は、もっとも近い沖大東島からも約670km離れていて、周辺に島嶼がありません。そのため日本の国土面積を上回る広大な排他的経済水域の基点となっています。

沖ノ鳥島は、満潮時には6~16cmが水面より上に出ていますが、将来的には風化や波による浸食、地球温暖化による海面上昇などによって水没してしまうかもしれません。そうすると島としての条件を満たすことができなくなり、排他的経済水域を設定する基点たりえなくなってしまいます。

そのため現在では、消波ブロックの設置やコンクリート製の護岸工事が実施されています。さらに、島周辺のサンゴ礁を活性化させることで自然に島の高さをあげる計画がなされるなど、沖ノ鳥島を守るために多大な努力が重ねられているのです。

排他的経済水域での漁業について

 

1955年以降の高度経済成長期、日本は遠洋漁業などで漁獲量を伸ばし、大いに発展していきました。しかし1994年に「国連海洋法条約」が発効されて、他国が排他的経済水域内での漁業を規制するようになると、遠洋漁業はかつての漁場を失い、衰退していきました。

一方で日本も、1996年に通称「漁業主権法」を制定し、外国による排他的経済水域内での漁業を禁止しています。

2014年には小笠原諸島周辺海域で中国漁船によるサンゴ密漁問題が注目され、違反者に対する罰金を1000万円から3000万円に引き上げるなど罰則の強化もおこなわれました。

日本近海はもともと魚が豊富な漁場でしたが、1980年代に起きた乱獲や、中国、韓国、台湾などが魚を多くとるようになった影響で漁獲量が減少し、年々価格が高騰しているのが現状です。中国や韓国などの漁船は自国水域の魚をほぼ獲り尽くしてしまい、資源が豊富な日本近海に出現するようになっています。

大きな漁船を用いて、魚が排他的経済水域に入る手前の公海で捕獲したり、ひどい時には排他的経済水域内に侵入して密漁したりするケースも増えているのです。

限られた水産資源を保存していくためには、自国の権利がおよぶ水域を守るだけでなく、関係国間で協議をして漁獲枠を決めたり、「獲る漁業」から「育てる漁業」へ転換したりする必要があると考えられるでしょう。

海洋資源の活用について考える一冊

著者
佐々木剛
出版日
2014-09-01

 

「日本は小さな国だ」「日本には資源が無い」とよく耳にしますが、実際は広大な資源が眠る海洋をもつ海洋大国です。その資源量は、大国と比べても見劣りすることはありません。

しかし、そんな足元に眠っている宝の存在に当の日本人は無頓着。海に囲まれているにもかかわらず、海を利用するのが下手なのです。

本書の作者は、海洋大学の教授を務めている人物。財政問題や環境問題など海洋資源を活用することで解決できる問題を提示し、日本の現状を分析しながら、今後どのように海を利用していくべきか解説していきます。

易しい文体で読みやすく、海の事情を理解することができるでしょう。

排他的経済水域など海から経済を学ぶ一冊

著者
山田 吉彦
出版日
2016-03-18

 

日本にとって外国との貿易は欠かせません。 エネルギーも食料も、貿易によって日本にやってきます。その貿易の99.7%が海を通じておこなわれていて、日本と海は切っても切り離せない関係なのです。

かつては大英帝国によって、そして第二次世界大戦後はアメリカによって、世界の海は守られてきました。しかし現在は、中国の台頭やアメリカの国内事情の変動によって、その秩序が大きく変わろうとしています。広大な排他的経済水域をもっている日本も、その影響を受けざるをえないでしょう。

本書は、漁業や海底資源、海運などさまざまなジャンルの事情を具体的に解説してくれている作品。それぞれは異なる分野ながら連動していて、「海」について一元的に学ぶことができます。海から経済事情を考えられる一冊です。

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