秋元康、堀江貴文、キングコング西野など、名だたる著名人が絶賛している、『人生の勝算』。ここには、SHOWROOM株式会社の代表取締役社長としても知られる若き実業家、著者・前田裕二の生き方の全てが書かれています。 この記事では、そんな本作の内容を詳しく解説。ぜひ、最後までご覧ください。
本作は、著者である前田裕二が、どんな思いで生きてきたのか、そして仕事をやってきたのかが書かれているビジネス書です。彼は2018年10月現在、SHOWROOM株式会社の代表取締役を務めています。
小さい頃に両親を亡くした彼は、生きていくことにとても貪欲でした。親戚からギターをもらった彼は、それで稼ごうと考えます。道端で演奏しながら歌う彼は、すでに社会で生きる1人のビジネスマンでもありました。
人生の勝算 (NewsPicks Book)
2017年06月30日
どのようにしたら、自分のギターを聞いてくれるお客様に価値を提供できるのかを考えた彼は、そこで絆の大切さに気づきました。この体験が、現在の「SHOROOM」の原点となっていると、彼は語っています。
『人生の勝算』は、発行部数が3万部を超え、重版もされている人気作。編集はテレビのコメンテーターなどでも活躍する、箕輪厚介が務めました。
本作の著者である前田裕二は、いったいどんな人物なのでしょうか。
彼は1987年、東京都で生まれ、8歳で両親を亡くしています。その後、早稲田大学政治経済学部を卒業します。その後は外資系投資銀行に入社し、働きづくめの毎日。睡眠時間は毎日2〜3時間程度だったようです。
しかしそれもあって他者が追いつけないような圧倒的な成果をあげた彼は、ニューヨーク本社への転勤が決定します。そこでも、現地のスタッフに「裕二はクレイジー」と言われるほど働き続け、圧倒的な成果を残しました。
その後、日本に戻った彼はDeNAに入社。あらためて修行した後に、SHOWROOM株式会社を設立し、代表取締役を務めています。とにかく行動、という人柄が見えてくるような経歴ですね。
先ほどの経歴だけを見るととにかく仕事しかしない人物と思われるかもしれませんが、前田は「思いやり」をとても大事にしているそう。それは新卒で入社した外資系投資銀行にいた、宇田川という先輩がきっかけでした。
彼は日本支社のエースで、圧倒的な成果を残しており、誰もが憧れる人物。前田が彼から教わったことの1つに「思いやり」があったのです。
宇田川は、人から好きになられる天才でしたが、それと同時に、人を好きになる天才でもありました。彼は毎日毎日、受付嬢に目を合わせて挨拶をしていました。1000人以上がとおり過ぎるビルの受付で、そんなことをしてくれるのは彼ただ1人だけだったようです。
その受付嬢は宇田川のためならなんでもできるというくらい、彼のファンになっていました。目を見て挨拶するというのは一見簡単なようですが、毎日、しかも自分に利害関係のない受付嬢の目を見て挨拶するということは、案外誰もがマネできることではないでしょう。
前田は、「今はこの人に勝てないかもしれない」と打ちひしがれたようです。そしてこの経験こそが、彼を成長させるきっかけになったのでした。
前田はギターという原体験をもとにSHOWROOMを設立しましたが、ファンビジネスの根幹はスナックにあると述べています。誰もが1度は疑問に思ったことがあるかもしれませんが、スナックはなぜか潰れることが少ないビジネスの1つでもあります。なぜ、潰れないのでしょう。
それは、根強い常連客がいるから。彼らがそのスナックのママのファンになってしまえば、彼女が酔い潰れたとしても、代わりに店番をやってくれるくらいになるというのです。
そして前田はさらに、もしスナックならば、お店には賞味期限が長いアルコールや、原価の安い乾き物を置いておけばいいと説明します。そうすれば、毎日一定数のお金が入ります。原価はほとんどそれだけ。
ほとんど準備費用のかからないスナックは、まさに人対人で成立している優れたビジネスモデルなのです。
この仕組みが、SHOWROOMのアプリにも参考にされています。仮想ライブ配信サービスを提供しているSHOWROOMでは、いかに自分のファンを作ることができるかを大切にしています。ここが、成功の分かれ道なのです。
常連客さえついてしまえば、あとは口コミで認知されていきます。スナックには商売をおこなっていくうえでの、大事な大事な基礎が多く隠されているのかもしれませんね。
本作には、アツすぎる名言が数々登場します。ここでは、そのいくつかをご紹介させていただきます。
実はどの分野でも、基本中の基本をやり続けている人は、意外と多くない。
何か特別な事をする必要はなく、当たり前の事を徹底的にやり続けるだけで、
他の人とは圧倒的な差がつくんだと、このときに知りました。
(『人生の勝算』より引用)
たいていの人は、基礎をおろそかにしがちなのではないでしょうか。基礎は面白くない、めんどくさい場合が多いものです。しかし成功する人は、基礎をもっとも大切にします。野球で成功をしているイチローであっても基礎を大切にし、来る日も来る日も同じことをやり続けているのです。
前田は、このことを誰にも教わらずに気づいている点が、まさに天才なのではないでしょうか。
バカをしてまでさらけ出すことができるヤツに
コミュニケーションの扉は開く。
(『人生の勝算』より引用)
気づかぬうちに張った心のバリアは、案外他人にすぐ見抜かれてしまうもの。人に好かれたいのであれば、自らそのバリアを壊していくしかないのでしょう。
前田自身もバリアを壊し、上司と丸裸でコミュニケーションをとっていったからこそ、外資系投資銀行で圧倒的成果を残したのかもしれません。
よくビジネス書では、人に好かれる能力を磨きなさいと説かれていますが、
僕は逆だと思っています。
人を好きになる能力の方が、よっぽど大事だと思います。
(『人生の勝算』より引用)
人を好きになる。これは、とても難しいことではないでしょうか。ある特定の人を好きになる経験は誰しも1度はあるかもしれませんが、前田が述べているのは、関係ある人・ない人も含めて、心から思いやりを持って好きになっていくことが大事であるということ。
なかなかマネできることではないと思いますが、成功にはとても重要な条件かもしれませんね。
前田は、とことん仕事に生きています。それはもしかしたら、自分が生きている証を残したいからなのかもしれません。彼は、SHOWROOM株式会社に自分の命をかけると述べています。
人生の勝算 (NewsPicks Book)
2017年06月30日
前田の生き方は誰もがマネできるものとは思いませんが、仕事をしていくうえで、とても参考になる部分が多いでしょう。
秋元康が「堀江以来の天才」と呼んだ、彼の生き方。その全貌がわかる本作は、ぜひおすすめです。これ以外にも心が熱くなるエピソードや、細かい部分も載っていますので、ぜひ本編で彼の生きざまをご覧ください。
ひらめきを生む本
書店員をはじめ、さまざまな本好きのコンシェルジュに、「ひらめき」というお題で本を紹介していただきます。