文章力を向上させるにはどうすればよいのでしょうか。「書く」という作業はスポーツにも似ていて、日々練習をしなければ上達することはありません。今回は基本的なトレーニング方法とともに、おすすめの本をご紹介していきます。
文章力の向上には、日々の積み重ねが必須です。とはいえ、ただがむしゃらに文章を書けばよいというわけではありません。まずは基礎的な力をしっかりとつける必要があります。
言葉を扱う仕事をするのであれば、ひとつでも多くの言葉を知っておいて損はありません。いまよりも質の高い文章を書けるようになるためには、いま以上のインプットをすることが近道です。
そのためにおすすめなのが、とにかく本をたくさん読むこと。できれば名作と呼ばれているものが望ましいですが、はじめのうちは小説でも新書でも、どんなジャンルでもかまいません。たくさんの言葉や文章に触れて、わかりやすい表現や、心に響く言い回しを身に着けていきましょう。
たくさん本を読んでいると、時には知らない単語や、なんとなくしか意味がわからない単語が出てくるでしょう。趣味として読書をしている時は、読み飛ばしてしまってもかまいませんが、文章力を向上させるのであれば、わからない単語はその都度調べるのがおすすめです。
辞書をひいてもよいですし、インターネットで検索をすればその単語を使用している例文を数多く見ることができます。単語の意味だけでなく、活用のバリエーションもあわせて学ぶことが大切です。
また、せっかく意味を調べた時は、あわせて類義語にも目をとおすことをおすすめします。文章を書こうとすると、書きたい想いはあるのに適切な言葉が思い浮かばず、うまく文字に表すことができないことがあるのではないでしょうか。結局いつも同じような単語を使いまわし、語彙力のなさに落胆してしまいます。
本を読んでいて気になる単語が出てきたら、面倒くさがらずに調べる癖をつけましょう。
インプットをたくさんしても、「書く」というアウトプットをしない限り、文章力の向上は望めません。しかしいざ書き始めようとすると、1文字目をかき出すことができず、つまずいてしまう人が多いのではないでしょうか。
書く前に挫折するのはもっとも避けたいことです。何を書けばよいのかわからないのであれば、まずはその心情をそのまま書いてみましょう。
「今日は何を書けばいいのかわからない。」
そしてこの続きを考えればよいのです。
「どうすれば文章力が向上するのか調べ、さまざまな方法があることを知り、かえってどこから手をつければよいのかわからなくなっているのだ。」
これで立派な文章になります。文章を書く動機づけのために、ブログや日記から始めてみるのもよいでしょう。
文章を書くうえでの細かいルールはたくさんありますが、何はともあれ書かないことには前に進みません。「書く」という行為に慣れていきましょう。
ある程度「書く」行為に慣れてくると、長文が書けることに充足感を覚えるようになります。たしかに自分の生み出した言葉がずらっと並んでいるのを見るのは気持ちがいいことかもしれませんが、長文が書けることが、文章力が向上していることには繋がらないのです。
大切なのは、「伝わりやすい」「わかりやすい」文章を書くこと。1度文章を書いた後は、それらを削る「編集」作業にもチャレンジしてみましょう。冗長な表現が多かったり、無くてもよい言葉が使われたりしていることに気づくはずです。
文章を削る作業は、自分の弱点を客観的に知るチャンスでもあります。もったいないと思わずに、どんどん編集していきましょう。
文章には、随所に個人の癖が表れているものです。ファッションのようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。個人的に好みのコーディネートがあったとしても、世間一般からはどのように受け取られるのか、客観的な目線をもちあわせていなければならないのです。
自分で書いた文章を自分で読み、満足していることは、家で洋服を鏡に映し、満足しているようなもの。しかしほとんどの文章は、誰か他人に読ませるためのものなはずです。
書き上げた文章は他人に読んでもらい、ぜひ忌憚のない意見をもらうようにしましょう。客観的な視点も取り入れつつ、自分の個性も表現できるようになれば、より質の高い文章を書けるようになります。
- 著者
- 阿部 紘久
- 出版日
- 2010-06-19
どんなことにおいても基本が大切。文章力も例外ではありません。センスや感覚が重要な文系の能力と、言葉を正しく論理的に組み合わせる理系の能力、両方が必用だといえるでしょう。
本書は、そんな文章力の基礎が学べるトレーニング本です。ポイントは、「課題文をどう修正するか」など実践的な文章の作り方を学べるところ。左のページに問題、右のページに解説という構成になっていて、「チェックポイントカード」を使いながら問題を解いていく仕様です。
問題を解いていくと自然と文章力が身につくとして、社会人にも学生にも人気の一冊。実際に自分の手を動かしながら学びたい人におすすめです。
- 著者
- 出口 汪
- 出版日
- 2014-10-16
作者の出口汪は、大手進学塾で現代文の講師を務め、数多くの参考書を出版しているその道のプロ。本書は、学生ではなくビジネスマンに向けて、国語力を高めてくれる作品です。
問題を解きながら読み進めていく構成ですが、作者が重視しているのは、答えにいたるまでの「プロセス」です。文章には、ルールが存在します。ルールを論理的に理解できれば、誤った文章を書いてしまうこともなくなるはずです。
自分のなかに根付いてしまった癖を今一度見直し、文章力を向上させていきましょう。