文章力を上げるにはどうすればよいのか……ひたすら自分で試行錯誤するのもひとつの方法かもしれませんが、もしもプロの世界で活躍している達人たちから意見をもらえれば近道ですよね。この記事では、そんな文章のプロたちが執筆した、文章力を上げるおすすめの本をご紹介していきます。
世の中にはさまざまなジャンルの「プロ」が存在しますが、なかでも「文章のプロ」に触れる機会は、あちこちに転がっています。書籍やインターネット上の文章を読み込むだけでも、文章力を向上させる基盤となるでしょう。
さらに、そんな「文章のプロ」が教えてくれる文章術の本が、数多く出版されているのです。日常に役立つものから本格的に仕事にしたい人のためのものまで、バリエーションはさまざま。そのどれもが、プロの文章に直接触れながらノウハウを吸収できるので、実は文章力を向上させる環境自体は整っているのです。
とはいえ文章術に関する書籍は数が多く、一体自分にはどれが向いているのか、どれを参考にすればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。そこでこの記事では、文章力向上におすすめの本を厳選して紹介していきます。
2013年に出版されたベストセラー『嫌われる勇気』の作者、古賀史健が手掛けた作品です。古賀は、以前は映画監督や作家を目指し、挫折した経験があるそう。自分の才能を見つめ直してライターの世界に飛び込み、これまでにビジネス書や教養書などを多数発表しています。
「ライターとは翻訳者である」「文章はリズムで決まる」を信念にしている、まさにこの道のプロ。積み重ねてきた経験がいかに彼の財産となっているのかが、本書のタイトルにも表れています。
20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)
2012年01月26日
他者とのコミュニケーションツールである言葉は、口頭で話す時も、活字にして文章にした時も、同じ言葉です。しかし話すことはできるのに、いざ文章にしようとすると書けなくなってしまう人がたくさんいるのです。
本書では、「話せるのに書けない」人に向けて、「話し言葉から書き言葉へ」変換するノウハウを教えてくれています。古賀によるとこれはある種の翻訳で、メカニズムさえ知ることができれば、まるで翻訳ソフトにかけているかのように言いたいことを簡単に文章にすることができるのです。
これまで誰も教えてくれなかった、文章力向上のための授業を受けてみましょう。
本書の作者の唐木元は、大学在学中からライターとして活動を始め、卒業後は雑誌の編集や執筆、3つの出版社での勤務、そしてインターネットのニュースサイトを編集長として立ち上げています。
さまざまなニーズに対応できる確固たる実績をもっていて、新人の教育も担当しているそう。本書では、誰でもできる方法として文章力を向上させる基本を教えてくれているのです。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
2015年08月07日
本書が目指しているのは、文章を「完読」させること。つまり、読み続けたくなる魅力的な文章についてレクチャーしてくれています。そのための方法をいくつかのカテゴリに分けて解説。指示が具体的なので、ポイントを頭に入れておけば次に選ぶべき言葉が明確になり、スラスラと文章を書けるようになります。
ライター初心者の方はもちろん、レポートや報告書などを書く際にも役立つでしょう。黒と青の2色刷りでわかりやすい構成なのもポイント。文章を書くことに自信のない方は、まず本書を手にとってみてはいかがでしょうか。
作者の山口拓朗は、「伝える力【話す・書く】研究所」の所長を務め、会話や文章に関するさまざまな著書を発表している人物。出版社で記者として6年間務めた後にフリーライターとなりましたが、独立した後に「文章に癖がありすぎて読者に伝わらない」と指摘され、衝撃を受けたそうです。
皆さんのなかにも、自分の書いた文章を指して「これってどういう意味?」と聞かれた経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
本書では、文章を最強のコミュニケーションツールとして活用できるように、解説していきます。すぐに実践できる方法を学ぶことができますよ。
残念ながら、その文章では伝わりません (だいわ文庫 E 353-1)
2017年07月12日
本書が教えるのは、自己満足の文章ではなく、読者に寄り添うことに重きを置いた文章術です。何より大切なのは、「わかりやすい」「伝わりやすい」ということ。本書自体もその内容を反映しているため、説明がわかりやすいです。
NGの文章と改善された文章が並べて比較してあるのもポイント。本書のテクニックをどのように実践すればよいのかが一目瞭然です。またテンプレートの例も掲載されているので、さまざまな局面で文章を書く際の役に立つでしょう。
朝日新聞のベテラン校閲記者による、文章講座を収録した一冊です。校閲とは、書いてある内容の事実確認や誤字脱字の修正はもちろん、読者に誤解や違和感を与えないように文章を直す仕事のこと。校閲作業後の文章は、きっと非の打ち所のないものとなっているはずです。
本書では、「正しい」日本語を記すための基礎にはじまり、物事を客観的にとらえて文章にする実践的な内容まで学ぶことができます。
- 著者
- 前田 安正
- 出版日
- 2017-04-19
エントリーシートを書けない就活生に文章を指導する、という設定で進んでいきます。読者の方も、本書に手をつける前に実際に簡単な文章を書いておくのがおすすめ。それから本書を読むと、自分の文章のどこに欠点があるのかが明確になります。
表現にこだわるばかりで基礎がおろそかになっていたり、助詞の使い方を間違っていたりと、これまで見過ごしてきたことに気付けるはずです。
作者は、大手ニュースサイトに寄稿もしている人気コラムニストの尾藤克之です。インターネットというさまざまな立場の人が目にする媒体で活躍しているだけあり、シンプルで無駄のない、魅力的な文章の書き方が解説されています。
文章とは、表現力だと作者はいいます。つまりこの表現力を身に着けることができれば、それは自身の一生もののスキルになるのです。今後の人生に生かせるスキルを学んでいきましょう。
- 著者
- 尾藤 克之
- 出版日
- 2018-01-15
文章を書くことが苦手だと感じている人の多くは、「書く」ことを目的としているのではないでしょうか。ただ本来の目的は、その1歩先の「読んでもらうこと」にあるはずです。だからこそ本書では、読む相手を思った文章術を紹介しています。
2色刷りで重要な部分がわかりやすくなっているのもポイント。「心をつかむフック」や「漢字にするかひらがらにするか」など、読者を想定したアドバイスが続きます。本書を読むと、日々のメールの文面も変わってくるでしょう。
百戦錬磨のプロに学ぶことは、文章力向上のための、なによりの近道です。ぜひご紹介した本を読んでみてください。