本作は、日本の絶望的な未来が年表形式で解説されているビジネス書です。私たちの日本には、いったいどんな未来が待ち受けているのでしょうか。この記事では、『未来の年表』で描かれる絶望的な未来から解決策まで、詳しく解説させていただいております。ぜひ最後までご覧ください。
本作はタイトル通り、日本の未来を予測しているビジネス書です。この本によると、日本には暗い未来が待っています。
それは端的にいうと、人口減少。現在ももちろんですが、これからさらに、急激に進んでいと予想されています。では、これにより、いったいどんなことが起きるのでしょうか。
- 著者
- 河合 雅司
- 出版日
- 2017-06-14
本作では、これからの日本にはどんなことが起きるのか、あらゆる予測がたてられています。ここではその内容を怖いと思われる順番でランキングにして、10個、ご紹介させていただきましょう。
各項目の詳細については、後ほど詳しく解説していきます。
『未来の年表』は『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』と合わせて、発行部数が70万部を超える大ヒット作品。「未来の年表2」では、本作よりも読者個人に降りかかることを重点的に紹介して、より身近な内容となっています。
- 著者
- 河合 雅司
- 出版日
- 2018-05-16
『未来の年表』の著者である彼は、どんな人物なのでしょうか。
彼は1963年、名古屋生まれ。中央大学を卒業しています。その後、産経新聞社に入社し。2007年から、社説を執筆する記者である論説委員となっています。
日本の少子化 百年の迷走: 人口をめぐる「静かなる戦争」 (新潮選書)
2015年12月22日
代表作には『日本の少子化 百年の迷走-人口をめぐる「静かなる戦争」』や、共著で『人口減少時代の読み方』『中国人国家ニッポンの誕生-移民を栄えて国滅ぶ』などがあります。
2014年には、産経新聞で執筆した記事「世界に挑む 日の丸医療」で、医療に関する優れた記事に贈られる「ファイザー医学記事賞」の大賞を受賞しました。
さて、ここからはいよいよ読むほどに怖い、日本の未来予想についてご紹介していきましょう。
総務省の2016年の人口移動報告によると、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の転入超過は11万人を超え、21年連続の転入超過となったと報告されています。一方で大阪圏と名古屋圏は、4年連続の転出超過。つまり、大阪府や愛知県を含めた全国から、東京圏に人が押し寄せているのです。
なぜ、このような流れになるのでしょうか。1つは、就職という問題があります。地方には、なかなか自分がやりたい仕事がないという方も、多いのではないでしょうか。
もう1つの理由は、若い世代がいなくなった後に残された高齢者です。介護を必要としたり、経済的援助を必要とする高齢者が、息子や娘が住んでいる東京に移り住むといったようなことも、これから徐々に増えていくと考えられています。
そのために、2025年までは東京圏の人口は増え続け、ピークを迎えるのです。それが地方離れを加速させ、途方での人材不足、それによる企業の倒産を招きます。さらに東京では、人が増えたことによる就職難も予想されるでしょう。
高度経済成長期やバブル時代に建てられた家は、供給過剰で、さらに人口減少に伴い、必然的に空き家となっていきます。日本ではまだまだ新築神話が存在するため、空き家が増えていても、新築を建てることも多いようです。
しかし家は財産という考えた方はすでになくなり、また東京にいる人たちは、地方の実家に対しての価値を見出さなくなっていきます。誰も住まない家を放置しているという例も、少なくありません。住む人も買う人もいなくなった空き家は、腐り、壊れていくだけの運命です。高度経済成長を続けた日本の残骸ともいってもいいのではないでしょうか。
空き家を国が管理したとしても、当然そこには管理費がかかります。税収が確実に減るこの国では、空き家の管理に回せる収入を得ることは、現状厳しいでしょう。今後、このような空き家たちはどうなってしまうのでしょうか。
人口が減少して結婚する人が少なくなると、当たり前ですが、家を買うという行為が非常に少なくなります。また、ひとり暮らしが増加することによって、ひとり暮らし用の賃貸は増えることでしょう。
今までの不動産業界は、新築物件を売り続けてきました。土地とセットで得ることで、莫大な利益を獲得してきたのです。しかし、もはやそのビジネスモデルは成立しません。なぜかというと、そこに需要がなくなるからです。
2033年には、3戸に1戸が空き家になるといわれています。そうなると、現在の不動産流通ビジネスが崩壊してしまうでしょう。不動産業界は、今から手を打っておかないかぎり、倒産という最悪の結末を迎えてしまうのかもしれません。
2015年の労働人口は、2010年の労働人口から比べると、295万人も減少しています。ここから考えると、2030年には900万人減り、2060年には2000万人以上も減少するという試算になるのです。
2023年には、団塊ジュニア世代が50代となります。このなかには、役職がつくような上の立場の人も多くいるかもしれません。つまり、労働人口で1番多い層が高給取りとなるため、人件費が平均的に高騰するということになります。
勘違いしてはいけないのが、労働者全体の給料が高騰しているわけではないということ。現在はどこもかしこも人手不足だといわれていますが、それは、そのサービスを必要としている需要があるからです。
しかし人口減少が決まっている限り、需要は必ず減ります。それに合わせて、全体的な給料も減少していくことが考えられるのです。
このまま人口減少が続けば、地方の国立大学は倒産の危機にさらされると考えられます。
人口減少に伴い、地方には就職先がどんどんなくなり、労働人口が減少します。それにともなって、結婚をし、子どもを育てる世代も少なくなるでしょう。そうすると当たり前ですが、子ども自体が減少します。
子どもが少なくなれば大学へ行く人数も減るので、学校側は倒産に追い込まれてしまうです。すでに40%以上の私立大学が、定員割れを起こしている現在。大学に限らず、小学校、中学校、高等学校の数も、どんどん減少していくことが考えられるのです。
結婚しない世代、核家族が増加していることにより、世の中には、ひとり暮らし世帯が増加しています。この世帯が国勢調査でトップに躍り出たのは、2010年のことです。夫婦と子供世帯の27.9%を抜き、32.4%となりました。2035年には、ひとり暮らし世帯が37.2%に増え、夫婦と子供世帯は23.3%に減少する計算です。
孤独死が増える背景には、こうしたそもそもひとり暮らし世帯が増加している背景があります。ひとり暮らし世帯が多い現代、結婚しない人が増えているので、生涯ひとり暮らしの方も多いでしょう。
そして家で亡くなった場合、そのまま気づかれず、孤独死となってしまうケースが増えてしまうのです。
2035年には、男性の3人に1人、女性は5人に1人が生涯未婚という「未婚大国」になると予想されています。
少子高齢化が進むということは、それだけ日本の経済基盤が安定しなくなるということ。国による社会保障も、今のように絶対にあるとは断言できません。
つまり、結婚には今以上のリスク、そして子供を産むとなれば、非常に大きいリスクを背負うこととなってしまうかもしれないのです。リスクとなる条件が揃ってしまっているので、結婚をしないという選択肢を選ぶ方も多くなってきているのではないでしょうか。
いよいよここからはワースト3です。
2050年には、団塊ジュニアの世代がすべて75歳以上となります。つまり若い世代は、ほぼマンツーマンのような形で、高齢者を支えなければなりません。おそろしい税負担に、労働者たちは果たして耐えることができるのでしょうか。
労働者が税金を払えなくなれば、現在のような介護負担、医療負担、年金のような手厚い社会補償制度は、当然破綻するでしょう。今の日本は生活保護制度も充実しており、お金が本当になくなってもなんとか生きていくことができる国です。
しかし、それは労働者が多くの税金を収めているからこそ成り立っているシステム。税収入が確実に減る未来では、社会保諸制度を見直さない限り、確実に破綻するといっても過言ではないのです。
2位は、介護職者の不足です。
2025年には、介護が必要な人が253万人いるのに対して、介護スタッフは215万人しか確保できないとされています。約38万人もの介護スタッフが不足するということは、それだけ、介護が必要でもサービスを受けることができない人が増えるということです。
つまり、家族の介護が必要となります。そうなると共働きが増えた現代では、介護をしたくても家族ではなかなかできないのが現状でしょう。そのため、仕方なく会社を辞めざるをえない人が増加し、労働人口が減り、税収がさらに減ります。
税収が減るということは社会保障費が減ることになり、さらに介護スタッフが減るという悪循環に陥ってしまうことが考えられるのです。
そしてワースト1、もっとも恐ろしいのが、女性の高齢化。女性の半数が50歳以上になるということは、子どもを産める人がそれだけ少なくなるということを意味しています。すべての悪循環に繋がるともいえる原因がこれなのです。
そもそも、女性の人口、つまり母数自体が減少しているため、いくら出生率をあげようとしても、人口減少に歯止めはかかりません。1家族が4人も5人も子どもを産むことで歯止めがかかるかもしれませんが、今のままでは経済的なリスクがありすぎるため現実的ではないでしょう。
若い女性が少なくなるということは、人口減少が続くことを意味し、そうなると社会基盤が崩れ、未婚率が上がり、孤独死も増えるという、まさに歯止めの効かない悪循環が起こるのです。
ここまで日本の未来に対して絶望的なことばかり書いてきましたが、この未来をそのまま受け入れるわけにはいきませんよね。それでは、この本の意味がありません。
『未来の年表』には、絶望的な未来に対する10の処方箋も記載されているのです。
現在は、人手不足をAIやロボットに代替するようなことをおこなっている企業が多いと見受けられますが、これは根本的な解決にはなりません。人にしかできない業務は多々あります。
機械は計算など、あくまで単純作業には向いていますが、たとえば認知症の患者の介護などは、まだまだできませんよね。やはり予期せぬことでも対応できるのは、人間ならではなのです。
そのためには私たちは、現在の日本の仕組みそのものを変えなければいけないのかもしれません。
- 著者
- 河合 雅司
- 出版日
- 2017-06-14
現在は、65歳から年金が支給されます。処方箋にも述べられているように高齢者の概念を変えることで(年齢を65歳から引き上げる)、高齢者を減少させ、労働人口を増加させることができるかもしれません。ただ、現実問題これが可能かどうかが難しいところではありますが。
また子供を産むことには、経済的リスクがつきまといます。その証拠に、日本の教育にかけるお金は、年々増加しているのです。しかし、各家庭で3人以上子供を産んでいくことによって、必然的に人口は増えていきます。第3子以降に1000万円の給付、もしくは、教育費を国が代替するということも1つの手法ともいえるでしょう。あなたがパートナーがいる状況だとしたら、どう感じられるでしょうか。
私たち日本人は、未来に不安要素が多いことを、十分に認識することが大事なのではないでしょうか。そして、それを他人事だとは思わずに、自分ごととして捉え、小さなことでもひとつひとう実行に移していくことが大切なのかもしれません。
『未来の年表』の全貌が気になる方は、ぜひ本編をお確かめください。紹介しきれなかった問題しかり、解決策しかり、ご自身で考えてみてはいかがでしょうか。
ひらめきを生む本
書店員をはじめ、さまざまな本好きのコンシェルジュに、「ひらめき」というお題で本を紹介していただきます。