「ブレイン・プログラミング」という本をご存知でしょうか?かつて、『話を聞かない男、地図が読めない女』という本がベストセラーになりました。その著者であるアラン・ピーズ、バーバラ・ピーズという夫妻が書いた本が「ブレイン・プログラミング」。 世にいう「引き寄せの法則」を科学的に解明し、その仕組みによって成功をつかめる脳になるという内容です。この記事ではそんな本作を5分で分かるように簡単に解説します。
さて、この本でいっている「ブレイン・プログラミング」とは、いったいどういう意味なのでしょうか。
ナポレオン・ヒルの著書『思考は現実化する』や、「引き寄せの法則」といったものを聞いたことがあるかもしれません。考えていること、潜在意識で望んでいることが、実際の世界で起こっているという法則を説明したものです。
すなわち、今の置かれている環境は「自分が引き寄せたもの」の集合体ということ。それは嫌なこと、嫌な人も同じで、自ら引き寄せているのです。また、それによって感じる不平不満も、同じように引き寄せてしまいます。
引き寄せの法則は、否定形を認識できません。たとえば「いやな人と仕事をしない」と願っても、「~ない」を認識できず「いやな人と仕事をする」に変換されてしまいます。この場合は、「自分が好きな人と仕事をする」と思えば、引き寄せの法則によって、自然と嫌な人とは一緒にならないでしょう。
この引き寄せの法則を信じる人もいれば、もちろん懐疑的な人もいます。しかし「ブレイン・プログラミング」は、科学的に引き寄せの法則を解説し、その方法を記しているのです。結果、世界累計発行部数2700万部という、驚異的な数字をたたき出したのでした。
- 著者
- ["アラン・ピーズ", "バーバラ・ピーズ"]
- 出版日
- 2017-08-10
簡単にいうと、脳には「RAS」という仕組みがあり、その仕組みが引き寄せに大きな影響を与えているのです。それをうまく利用して、達成したい目標を実現するのに必要なことだけを意識する、というやり方を本作では解説しています。
まずは、自分の目標をはっきりと決めることが重要です。そして、成功することだけを考えて進むというのがルールになります。
目標を視覚化する、期限を決める、あきらめない、など多くのルールがありますが、それらを確実に実践していくことで目標へ必要なことが意識され、達成へと近づくのです。
本作の著者バーバラ・ピーズは、2017年に日本のテレビ番組「世界一受けたい授業」にも出演し、大きな反響を受けました。その後、本作は日本でも10万部を超えるベストセラーになったのです。
さて、もう少し詳しく内容を見ていきましょう。
脳には無意識の領域である「潜在意識」と、「こうしよう」という意識が働いている「顕在意識」というものがあります。自分が普段、表面で思っていることは、実に1割程度。なんと「潜在意識」が、全体の9割を占めているのです。
環境やしつけ、これまでの体験など、いままでの出来事は脳に刻み込まれ、潜在意識となって存在します。
たとえば仕事を辞めて旅に出たいと思っていても、過去にあった経験などから、「そんなことできるはずない」と思ってしまう人が多いでしょう。これは、いわば潜在意識に邪魔されているようなものなのです。
しかし、この潜在意識は書き換えることが可能。脳は、さきほども言ったとおり、否定形を認識できません。したがって、望まないものでなく、望んでいるものを考えるようにすると、脳はその情報にフォーカスしていくのです。
こういった脳の仕組みであるRASを利用すれば、脳はどんどん目標に近づくための情報を勝手に拾っていきます。
今まで引き寄せの法則に、科学的な根拠はないに等しかったといえますが、この脳の仕組みによって証明されたといえるでしょう。
では、脳の仕組みであるRASとは、いったいなんなのでしょうか。
RASの働きは、大きく2つあります。1つ目は行動レベルの働きで、人間が生きていくための呼吸、心臓などを動かすこと。そして2つめは、意識レベルの働きです。
意識レベルの働きとは、雑踏のなかにいても自分の名前が呼ばれたら気がつく、というように「脳に入ってくる情報のなかから、自分に必要なものだけを拾い上げ、かつ優先順位付けまでする」という働き。確かに情報量の多いなかでも、自分の名前や今気になっていることだけが聞こえてくる、なんてことは、誰でも経験があるのではないでしょうか。
その仕組みを利用して自分の目標をインプットすれば、あとはRASがカーナビのように案内してくれるだけ。目標に関連したキーワード、情報が脳にたくさん入ってきて、知らず知らずのうちに引き寄せていくのです。
必要な情報を振り分け、フィルターにかけて、自分に有意義な情報のみをインプットします。そのために、自分の目標ややりたいこと、目標とする状態を、しっかりと自分に言い聞かせる必要があるのです。これを「アファーメーション」といいます。
「自分自身に対する肯定的な宣言」という意味で、自分に「私は幸せです」「私はお金持ちです」というような肯定的な宣言をすることで、潜在意識に働きかけるということができます。
これが、いわゆる引き寄せの法則のカラクリです。自分の願望をアファーメーションによってインプットさせ、刷り込ませれば、あとはRASが自分にとって必要な情報だけを取り寄せてくれる。
そのように日々自分に言いきかせていけば、目標達成に近づいていけるでしょう。
何かを達成しようとするのに大切なのは、「何がしたいのか」をはっきりさせることなのだそうです。
私達は、「どうすれば達成できるのか」を考えてしまいがち。そうしてしまうと、始める前から諦めてしまうことが多くなってしまいます。
そうではなく、あくまで自分のやりたいことを優先して「それをやる」と決めてしまいましょう。「必ずやり遂げる」と決めてしまうことで、RASが情報を勝手に集めてきてくれます。
憧れや、やりたいことがあっても、どうしたらいいのか方法がわからない……と考え出して、無理だなと思ってしまうこともありますよね。でも、どうやって叶えるか(方法)は、考えるべきところではありません。
あくまで、自分がやりたい、叶えたいことを明確にすることが重要なのです。また、そのやりたいことをきちんと手書きで、リストにすることがポイント。何も大きな夢でなくてもかまいません。少しでも自分がやりたいと思ったことを書き出していきましょう。できるかできないかは関係ありません。
そのリストを作り、イメージしていくとが、目標や願望達成の手助けになるのです。
よく、手帳に目標を書くと夢が叶う!ともいわれますが、この「ブレイン・プログラミング」でも、目標を紙に書くのがいいとされています。
手書きで書くとRASが活性化され、目標のことを考えていなくても、RASから指示を受けた潜在意識が、目標達成に向けて働き出すようになるのだそうです。
また、細かく期限を設定することで、「そこに間に合わせよう」と突き進む力が働きます。しかし、だらだらと長い期限を設定しても意味がありません。現実的で、かつ短めな期限を設定してこそ、RASの能力が最大限に発揮できるのです。
たとえば、今25歳の時点で「老後までに○千万貯める!」では、曖昧ですので意味がありません。では、その老後とは何歳のことなのか、そこまでにこの金額を貯めるには、30歳や40歳の時点でいくらあればいいのか、そのために何をすればいいのか……。
目標は細かく、現実的に。どんどん逆算していって、では、1年後にはどれくらいになっているといいのか、この1ヶ月の間は何を達成するのか、というふうに明確な目標と期限を定めるようにしてください。
そうやって、短く現実的な目標を紙に書いて、さらに声に出して読むことが、達成への近道なのです。
人間は、無意識のうちに「やりたいこと」ではなく、「目標達成までにやらなきゃいけないこと」に目をむけてしまいがち。
そうすると、出来ないかもしれない、どうやったら叶うかわからない、といったネガティブな情報に脳が支配されてしまいます。
しかし、人は誰でも願望達成の可能性を持っているのです。
- 著者
- ["アラン・ピーズ", "バーバラ・ピーズ"]
- 出版日
- 2017-08-10
そのためには、自分の本当にやりたいことは何なのか、望んでいることは何なのかをはっきりさせましょう。そして、そのやりたいことだけにフォーカスしましょう。
今まで叶わないと思っていた願望は、あなたのその「叶わない」という思いが引き寄せた結果だったのです。
自分の脳を自分でコントロールし、プログラミングすることによって、自分の人生はもっとすばらしいものになっていくのではないでしょうか。
いかがだったでしょうか?本作に書いてあるとおりに実行していけば、あなたの長年の夢も叶うかもしれません。ぜひ手にとってさらに細かい部分まで実践し、素敵な人生を送る手助けにしてみてはいかがでしょうか。
ひらめきを生む本
書店員をはじめ、さまざまな本好きのコンシェルジュに、「ひらめき」というお題で本を紹介していただきます。