『紅茶王子の姫君』が面白い!原作の後日談をネタバレ紹介!無料で読める!

更新:2021.11.26

山田南平の代表作『紅茶王子』の後日譚的短編集です。本作には、新しい紅茶王子・ルフナが登場する「夢の中の紅茶王子」、『紅茶王子』の気になる後日譚「紅茶王子の姫君」、宮沢賢治の童話『セロ弾きのゴーシュ』を下敷きに描かれる「セロ弾きの紅茶王子」、そして読み切り「キャベツ畑のキラキラ王子」の4篇を収録。 この記事では、そんな本作の見所をご紹介していきます。スマホの漫画アプリからは無料で読むこともできるので、ぜひご利用ください。

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『紅茶王子の姫君』が面白い!その見所、時系列に整理した順番を紹介!

 

4つの短編が収録されている本作。本編の登場人物の後日譚や、新しい紅茶王子が登場して紡がれる各話は、『紅茶王子』を知っている人にとっては懐かしく、知らない人にとっても、紅茶王子とはどういう存在なのかがわかって面白く読める作品です。

本編『紅茶王子』は、主人公・吉岡奈子(よしおか たいこ)の高校時代のお話。友人・雪子(ゆきこ)、美佳(はるか)と「お茶会同好会」として活動中です。

ある日、亡くなった父親から教わったおまじないをしたら、紅茶王子と名乗る存在が現れて……!?

魔法で「他人に影響を与えないささやかな願い事」を3つ叶えてくれるという2人の紅茶王子・アールグレイとアッサムとの出会いが、彼女達の日常を鮮やかに彩ります。

 

著者
山田 南平
出版日
2006-07-19

本作と『紅茶王子』本編、そして、それぞれ完結している作者の別作品『空色海岸』『桜の花の紅茶王子』は、繋がった世界の出来事です。

時系列順に整理すると「セロ弾きの紅茶王子」(幼少時の奈子が登場)→『紅茶王子』本編(奈子高校生)→「夢の中の紅茶王子」(奈子とアッサムの娘・杏梨5歳)→「紅茶王子の姫君」(杏梨5歳)→『桜の花の紅茶王子』(杏梨5歳)→『空色海岸』(杏梨高校生)となります。


山田南平のおすすめ作品を紹介した<『紅茶王子』で人気の山田南平のおすすめ漫画作品5選!>の記事もおすすめです。

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著者
山田南平
出版日
2013-09-20

『桜の花の紅茶王子』は、サクラティーの紅茶王子・サクラと、その主人・吉乃(よしの)の2人を主人公に描かれるストーリー。

新しい紅茶王子・サクラとジョルジの他、『紅茶王子』本編に登場した王子達や、奈子の高校時代の友人達も顔を出し、奈子の弟・健太が高校生になっている姿も見られます。

『桜の花の紅茶王子』について詳しく知りたい方は<無料で読める漫画『桜の花の紅茶王子』の魅力をネタバレ紹介!>をご覧ください。

著者
山田 南平
出版日
2007-01-19

 

『空色海岸』は、高校生になった杏梨の親友・朝(とも)を主人公に描かれるお話です。

ビーチコーミング(浜拾い)、シーボーンアート(海岸への漂着物を使った作品)が中心で紅茶王子は登場しませんが、『桜の花の紅茶王子』完結で、高校生の杏梨は紅茶王子・ジョルジの主人になっていた事が明かされました。

『紅茶王子』と関連が深いこちらの2作品も、本作・本編の世界をより深く楽しめるかと思いますので、興味がありましたらぜひチェックしてみてくださいね。ちなみにこちらもスマホのアプリから読めるのでまずはそこで世界観を知ってみるのもおすすめです。

 

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「夢の中の紅茶王子」の見所をネタバレ紹介!

「夢の中の紅茶王子」の見所をネタバレ紹介!
出典:『紅茶王子の姫君』1巻

高校生・高畑絵里(たかはた えり)は、紅茶王子・ルフナの主人で、彼を「るーちゃん」と呼んでいます。口が悪いルフナと絵里は、「喧嘩するほど仲がよい」関係。

ある日、絵里に恋の助っ人を頼まれて、彼女の一目惚れの相手だという喫茶店のマスター・アッサムと出会ったルフナは、なぜか彼の事を知っている様子です。ルフナは彼を「裏切り者の紅茶王子」と呼び、憤りをぶつけますが……?

アッサムの紅茶王子の存在が「なかった事になった」世界の、その後が描かれる短編です。自分以外のすべてがアッサムを忘れてしまったなかで、彼の記憶を失っていないルフナは「知らないうちに自分がいなかった事になる」恐怖を抱えています。

そんな彼に、元紅茶王子のアッサムが「自分の存在を差し出しても得たかったもの」を示すこのお話は、本編読者にとっては頬が緩んでしまう展開になっています。

「紅茶王子の姫君」の見所をネタバレ紹介!

奈子とアッサムの娘・杏梨を中心に、欠番している「アッサムの紅茶王子」に関する記憶を巡るストーリー。

幼い杏梨は、とある悩みを抱えており、そのため母・奈子に対して素直に接する事が出来ません。紅茶王子・アッサムと過ごした記憶を失っている奈子に対し、伝えたい事があるのにうまく伝えられない杏梨。彼女が抱える悩みとは、一体何なのでしょうか……?

祖母・アリヤの願いに応えて、奈子の記憶を戻したいと願う杏梨ですが、幼さゆえにうまく立ち回る事が出来ません。癇癪を起こしてしまう彼女のもどかしさにやきもきしつつ、本編読者にとってかなり嬉しい展開に思わずにやにやしてしまいます。

読後は思わず「よかったね!」と言ってしまいそうです。大人になった奈子とアッサムの結婚生活、娘・杏梨との家族のやりとりも見所。

「セロ弾きの紅茶王子」の見所をネタバレ紹介!

 

栞(しおり)は、幼馴染みでお隣さんの大学生・純一(じゅんいち)に片想い中の高校生。純一は、従姉妹の和音(かずね)がクモ膜下出血で倒れて寝たきりになって以来荒れていて、栞は心配で堪りません。

目覚めない和音、自暴自棄の純一。同じく幼馴染みの和音の病状を心配しつつも、栞は自分が彼女の代わりになれるかもしれないという思いを捨てきれません。閉塞感で押し潰されそうな彼女でしたが、無理矢理付き合わせたおまじないで、純一のもとに紅茶王女・キャンディが現れて……?

宮沢賢治の童話『セロ弾きのゴーシュ』を下敷きにした本作では、「夢の中の紅茶王子」に登場するルフナの姉・キャンディが呼び出されます。自分の仕事に誇りをもっていて、いささか強引ながらぐいぐい押してくる彼女の存在は、この短編の推進力になっているように思います。

大学でチェロを弾いている純一のプライドの高さ、気遣いを鬱陶しく感じて拒絶する姿を「セロ弾きのゴーシュ」に重ねる栞。彼が「俺のカッコウ」と呼ぶ和音にはなれないと本当は自覚している彼女は、自分を『セロ弾きのゴーシュ』に登場する猫にたとえます。

そんな彼らの想いは、果たして通じ合うのでしょうか。

読むと、思わず『セロ弾きのゴーシュ』を読み返したくなるようなお話です。

 

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「キャベツ畑のキラキラ王子」の見所をネタバレ紹介!

 

本作では、唯一紅茶王子が登場しない読み切り作品です。『紅茶王子』本編とは直接関係のないお話ですが、登場人物の1人・朝比奈貴美(あさひな たかみ)は、本編に少しだけ登場しています。

幼い頃、ヴァイオリンのおさらい会で、緊張して泣きながら弾いた「キラキラ星」の記憶。その時、「舞台の下は夜のキャベツ畑」だと言って励ましてくれた少年。そんな彼の白いシャツについた白いリボンが、モンシロ蝶のように見えたのでした。

名前も知らないその少年の事は、高校生になった今でも冬(ふゆ)の記憶の中に色褪せずに残っていました。ヴァイオリン奏者としての才能の限界に悩む彼女は、「もしかしたらあの時の少年かもしれない」人物・貴美に出会いますが……。

型通りの演奏しか出来ない事に才能の限界を感じる冬、貴美の従兄弟で彼女に好意を持ち伴奏を務めるピアノ奏者・乃木(のぎ)、自分にこれといった特技が無い事に悩む冬の親友・梨花子(りかこ)。

それぞれ悩みや葛藤を抱える彼らに、自信を持って我が道を行く、ロックバンドのボーカルでもある貴美の存在は眩しく見えます。憧れ、反発、自己嫌悪、葛藤、夢、希望……高校生達の青春が、「キラキラ星」のメロディーで彩られ、描かれる短編です。

心に刺さる台詞がたくさんありますが、読後には元気が出る、「自分ももうちょっと頑張ってみようかな」と思えるようなお話になっています。

 

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読むと元気が出る、おすすめの短編集です。ぜひ本編と合わせてお楽しみください。

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