2018年は「副業解禁元年」といわれる年でした。さまざまな仕事があるなか、注目されているのが「コラムニスト」です。この記事では、仕事内容や収入、コラムニストになる方法、副業としてのメリットなどを紹介していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
コラムとは、新聞や雑誌、Webサイトなどに掲載される囲み記事のこと。客観的な事実をもとに主観的な見解を挟みつつ、短い文章でまとめているのが特徴です。
コラムニストとはずばり、コラムを執筆する人のこと。新聞記者や編集者など、掲載しているメディアの内部の者が執筆することもありますが、その場合はあまりコラムニストとは呼ばないようです。一般的にはフリーランスのライターなど、外部の者で文章を提供する人をコラムニストと呼びます。
似たような仕事として、エッセイストがあげられます。エッセイは日本語でいうと「随筆」で、さまざまな体験をもとに感想や思想を書いたもの。清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』、吉田兼好の『徒然草』が「三大随筆」と呼ばれるなど、昔から存在していました。
コラムとエッセイの執筆内容にはほとんど違いはありませんが、明確な違いは「著作権」です。エッセイの著作権は著者に帰属し、たとえばエッセイ集を刊行すれば印税をもらうことができます。
一方でコラムの著作権は、納品した時点で依頼元に帰属する契約になっていることがほとんど。収入は原稿料のみの場合が多いのです。
これはコラムが、掲載するメディアから「このような内容で書いてほしい」と依頼されるもので、エッセイは著者が自由に書いたものであるという違いにもとづいています。
コラムの原稿料は、一般的な相場だと400字で5000円ほどといわれています。ただ人気のコラムニストであれば原稿料もあがりますし、反対にフリーランスのコラムニストが増加していることやウェブサイトが増加していることから、400字で1000円を切ることも多いそうです。
日本の有名なコラムニストを紹介していきます。
勝谷誠彦(かつやまさひこ)
1960年生まれ。小説家を志し、大学在学中から作品を書きはじめる一方で、風俗関連を主としたフリーライターとしても活動しました。卒業後は広告代理店を経て文藝春秋に入社。さまざまな雑誌を担当し、35歳でフリーランスになります。
自身のWebサイト「勝谷誠彦の××な日々。」は毎日欠かさずに更新。テレビ番組やラジオ番組に出演しつつ、多くの雑誌での連載を担当。著作も多数発表しています。辛口なコラムニストとして有名でしたが、趣味が豊富で、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のファンという一面もあり、親しまれていました。
山田五郎(やまだごろう)
1958年生まれ。大学を卒業後に講談社へ入社し、雑誌「ホットドッグ・プレス」や「TOKYO1週間」などを担当しました。知人の紹介でテレビ番組「タモリ倶楽部」へ出演したことをきっかけに、メディア出演をするように。フリーランスとなった後も、コラムニスト兼タレントとして活躍しています。
オーストリアのザルツブルク大学に留学し、西洋美術史を専攻した経験があり、『ヘンタイ美術館』など美術関係の著書も発表しています。
辛酸なめ子(しんさんなめこ)
1974年生まれ。「なめちゃん」という愛称で親しまれています。ペンネームの由来は「薄が幸そうに見える」と周囲から言われていたから。高校時代に自主制作した新聞のコラムに使用したものを使っているそうです。
多数の連載を抱える人気コラムニストで、おっとりとした文体の反面、皮肉の効いた文章が「ガーリーな毒」呼ばれ支持を集めています。
深澤真紀(ふかさわまき)
1967年生まれ。大学を卒業後、いくつかの出版社を経て企画会社を設立。書籍のプロデュース業や執筆業をしています。
2006年には「草食男子」「肉食女子」という言葉を生み出し、新語・流行語大賞にノミネートされました。「女性」をテーマにした書籍も数多く発表しています。
マツコ・デラックス(まつこ・でらっくす)
1972年生まれ。個性的なビジュアルとトークが人気を集め、その名を知らない人はいないのではないかというほど、さまざまなメディアで活躍しています。
専門学校を卒業した後、美容師として働いていましたが、ゲイ雑誌の編集部に転職。記者や編集者を務めました。退職した後、中村うさぎ主宰の対談集でトークスキルを評価され、文才もあったことから、タレント活動と執筆活動を開始したそうです。
コラムニストになるための特別な資格などは必要なく、また専門の学校に通う必要もありません。近年ではインターネット上の求人サイトなどでもフリーランスのコラムニストを募集していることが多く、仕事を始めるだけであればハードルは低くなっています。
ただ文筆業のひとつなので、文章力はもちろん必要です。闇雲に難しい言葉を並べたり、テクニックを織り交ぜたりすればよいものでもありません。
コラムニストは、依頼元の編集者などからテーマやタイトル、文字数、締め切り、原稿料などを指示されてコラムを執筆します。つまり依頼元や読者の意向を十分に考慮しながら文章を書くことが重要なのです。そのうえで執筆者の個性をいかに出していくかが腕の見せどころでしょう。
また依頼元が納得する記事を作成するためのネタ探しや取材、ターゲットとしている読者の志向調査なども欠かせません。こうした執筆のための下地を築いていくことが、コラムニストとして活躍する要素となっています。
2018年は「副業解禁元年」といわれ、日本人の働き方が大きく変わろうとしています。副業としてコラムニストを考えている方もいるのではないでしょうか。
実際に現在活躍している人のなかにも、本業が別にある「兼業コラムニスト」の方が多くいます。たとえば、本業が医者で医学関連のコラムを執筆していたり、本業が経済学者で経済関連のコラムを執筆していたりといったケースです。もっと身近な例でいえば、主婦や主夫の方が、家事や子育てをしながら日々の経験をもとにコラムを執筆する場合もあります。
こうした兼業コラムニストのメリットとして、「本業で得た知識や経験」を執筆に活かせることが挙げられるでしょう。コラムニストにとって重要な「ネタ探し」や「取材」が本業でできてしまうのです。
さらに、本業でインプットした情報をコラムという形でアウトプットするなかで、情報や経験の整理ができるのもメリットのひとつです。他人が読んでもわかるように文章としてまとめることで、新たなアイディアが本業に還元できる場合もあり、相乗効果が生まれます。
依頼元から指定された条件や締め切りを守ることは当然必要ですが、仕事をする時間や場所などを自分の都合に合わせられる自由度の高さも、副業としてコラムニストを選択するメリットだといえるでしょう。
- 著者
- 近藤 勝重
- 出版日
- 2014-06-26
毎日新聞でコラムを執筆しているコラムニスト、近藤勝重の作品です。本書は、彼が小学5年生を相手におこなった90分間の「魔法の授業」を収録したもの。
「書く子は育つ」というテーマで、辛いことを乗り越える方法として「文章を書くこと」を扱っています。文章という形にすることで辛さを客観視できるようになり、そこから学びを得ることができるのです。
作者の授業を聞いた多くの子どもたちが、嫌いだった作文を好きになることができたそう。「コラムニストという職業に興味はあるけど、自分にできるか不安」という方も、本書を読むことで文章を書くことへの苦手意識が和らぐでしょう。
実際の授業は子ども向けでしたが、本書は大人向けの解説も加えられています。楽しくわかりやすく、文章を書くということを学んでみましょう。
- 著者
- 尾藤 克之
- 出版日
- 2018-10-15
「影響力のある文章」として定評のある人気コラムニスト尾藤克之が、文章を書くにあたってのスキルをまとめた作品です。
スマートフォンが普及したことで若者の活字離れが進んでいるといわれていますが、実際にスマホで見ているのは活字がほとんど。活字に触れる機会はむしろ増しているのです。その一方で、いざ自分が文章を書くとなると、何を書けばよいのか、どうやって書けばよいのかわからなくなってしまう人が多いそう。
本書では、「うまく」「はやく」書くことに焦点を置き、どんな文章でも10分で仕上げる力が身に付くとして、すぐに効果が出る文章の書き方を紹介しています。それに加えて、「影響力がある」文章を書くにはどうすればいいかも解説しているのが本書の魅力でしょう。
コツさえ掴んでしまえば、文章を書くこと自体はけっして難しいことではないのだそう。ぜひ本書で本物の文章力をつけてみてください。